達磨さんが、転んだ。
俺はたまらず、
「で、先生 何か御用があるのではないですか? 」と 聞いた。
「え! そうよ、昨日、あなたの通っている サムデイジムで、殺人事件があったって聞いたから…。心配したんですよ。」と 鏡は しめたと、
「はじめまして、私は事件を 担当している 警部の鏡です。」と名乗った。
「あら 神さん 警察に お知り合いが いらっしゃるの? 確か 反権力がポリシーじゃなかったかしら?」と 俺の返事をまたもおしのけて、鏡は、「ゴスペルでも、彼がアナーキストなのは、知れてるみたいですね!」
「アナーキス…?」
「とにかく 、先生 俺は なんともないので、心配御無用ですよ。」と いうと 「先生申し訳ありませんが、今から、この鏡警部と、現場へ行かなくてはならないので」
と、曖昧に理由をつけて、その場のがれをしようとすると、
「あのー、実はちょうど昨日 ジムの近くのコンビニで、事件があった頃に。失礼な人にぶつかったんですよ…。」俺は、なんかその話しを聞いて、ふと 空上の姿が浮かんだ。
「そいつは ジムの方から来たんですか?」鏡はすかさず、問い掛けた。
「ええ、走って、何て言うのかしら タンクトップ?ランニングシャツていうのかな?下は短パンで、さすがにこの季節に ジョギングする恰好では、なかったですよ!」
「で、何を急いでいらしたのか…。わたくしがレッスンが終わって、楽しみにしてる、おいしいBOSSのホットコーヒー無糖を買おうと、車を降りて店の中へ入ろうとすると、横から突然走ってきて、達磨さんのような身体が、わたくしと、ぶつかったんざますよ!」
そこまで聞いて、隕石の衝突と、またも対称性の破れで残ったC#の音波を放つ、素粒子を思った。