双子のパラドックス
「もう逮捕したのか?」
「やっぱり、何か知ってるみたいだな!」
まあ、隠す理由もないので、青ざめた顔で階段を、駆け抜けた失格者の一件と、その前の耳に入った会話も話した。
鏡は、じっと聞きいったあと、一言
「きにいらないな!」と言った。
「なにが?俺が嘘言ってると言うのか?」
「そう 怒るなよ、事件の事だよ。」
そう話すと、彼には珍しく黙りこくった。
「神よ、またその非常識な 論理の 頭脳を 少し貸して くれないか?」
「だから いつも言ってるだろ、俺は、警察と国家権力嫌いの Anarchistだと。」
「アナーキストか、もう 日本では死語だよな!」
「まあ、勝手に話してる事に、生で、脳細胞のツッコミは入れられるけどな」
「生で、いれる?エロいな?」
「あのな、話すのか?話さないのか?」
「まあまあ、スーパーカテキョの先生が、…。優しく指導しようよ。」
次の言葉を言う前に、
「ミラールーム密室 殺人事件かな?」
どんな顔してそんな妄想を語るのかと思うと、意外に真剣な表情に少し驚いた。
「正確には、ツインルームだよな」
そう、スタジオは A、B二つあり、その真ん中に、通路兼道具、器具 置き場があるのだ。しかし、俺の記憶通りなら、確かに あの瞬間、スタジオには、誰もいなかった。
だが、やっぱりその時感じた あの違和感が、解けない高次方程式のように
なんども俺の脳細胞に、苛立ちを覚えさせた。