はじまり
一瞬黙りこんだ彼女は 何事もなかったようにさっていった。その後ろ姿を 見送り、もう一度身体をマットにつけ、スプリットの態勢をつくろうと 思った瞬間 強烈な悪寒が背中を襲った。案の定、前の鏡には1番逢いたくない人物の醜い体型が 写っていた。確認するまでもなく、その姿は醜い。太っている人がすべて悪いとは言わないが、自分の体重管理もできないやつは、アメリカでは管理職失格らしいが、同感である。その失格者は、こっちに話しかけてくるかと思いきや、さっき入ったスタジオから でてきた 担当 イントラの野川優女に、いきなり今のエアロの 振りの文句を つけはじめた。俺は、しめたとばかりマットから起き上がり ランニングマシンの方へ、回ろうと横を通り過ぎようとすると、彼女と目があった。その助けを求めるような 目を無視してランニングマシンに乗った。彼女を見たのは、それが最後となったのだが…,その時声をかけていれば、時空が歪んで、彼女の運命も変わっていたかも知れない。その時は、もち知るよしもなかった。30分走っているうちに、そんな事はすっかり忘れて、今から行く、新しい生徒の事を考えていた。久しぶりの女の子 いわゆる花の女子高生?である。金大工学部志望の羽島高校三年生らしい。べつに変な期待をしてる訳ではなく、
久しぶりに数学三Cができるのがうれしい。しかし、化学二は大変かも。少し、有機と高分子は 復習しないとだめかなと…。その時俺の妄想の世界をぶちやぶる悲鳴がジムのフロアー中に響いた。