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決意

よろしくお願い致します。

両親は、私が生まれた時それはもう喜んだらしい。


ママが呆れながらに語った話では、


パパは私を抱くのもそこそこに、

胸中の喜びを村中に伝えまわったという話だ。



ヒロインの誕生。

それは山奥にある辺境の村には大きすぎる出来事だった。



話はたちどころに広まり、私は村中の大人から愛された。


夏の干ばつや冬の大雪による食糧難が村を襲っても

私には十分な量の食事が用意されたし、

暖かい布団や綺麗な服、ゲーム機、そして魔導書など様々なものが与えられた。


もちろんそれらが高価なものだというのは知っていたし、

私は感謝していた。


だから自分に与えられたヒロインという属性を正しく活用し、

いずれこの村に恩返しをしようと、毎日勉学に励んでいた。


村の子供達には疎まれていたけども、

それは仕方のないことだし、割り切っていた。


友達はいなくとも、未来を見据え充実した毎日だった。



でも、“あの日”。

唐突に、そんな毎日が終わった。



それはよく晴れた冬の朝、

とてもきれいな太陽が、

いつもより大きく輝いていた。



そのまばゆい輝きに村の誰もが空を見上げ──



瞬間、村は蒸発した。



何が起きたのか私にはわからなかった。


ただ、パパがママが、村の大人達が、子ども達が、

骨も残らないほどの熱量で白く塗りつぶされていく光景だけが目に焼き付いた。



そして、


私だけが生き残った。



周りを見渡して、理解した。

──これはヒロイン補正だ。


村が跡形もなく焼かれたあの災害の中、私だけが無傷。

ヒロインの、私だけが。




そして知った。


あれは災害なんかじゃなった。



あの日、村の近くにはドラゴンが迷い込んでいたらしい。


ドラゴンといえば有名な災害だ。


その口から吐くブレスは人なんて簡単に殺すし、

村どころか街ですら1匹のドラゴンが滅ぼすこともある。



でも、


“とても運の良いことに”


あの場所には主人公(ヒーロー)がいた。



その主人公(ヒーロー)は転生者タイプと呼ばれる種類で、

前世の記憶を持ったままこの世界にやってくるらしい。


まるでゲームの世界だ──そう呟いて彼は、ドラゴンを倒すため己の最強の技を放った。


ドラゴンはたったの一撃で消滅。

英雄の誕生だ。


街ひとつ滅ぼしうるドラゴンは英雄の手によって最小限の被害で討伐された。



被害は辺境に住む村人46人。


彼がゲーム感覚で放った一撃で私の大切な人たちはみんな死んだ。



その後、私は麓の街の衛兵に救出され、ドラゴン討伐の話を聞かされた。


衛兵は浮かれていた、英雄の誕生だと。

街は浮かれていた、我が街にも英雄が来たと。


『ドラゴンを倒し』『ヒロインを救った』街の英雄!!


殺してやりたかった。


衛兵を、街のやつらを、

主人公(ヒーロー)を──!!



ああそうだろう。

価値のない村だろう。


私以外の村人はみんな


“モブ”だったのだから。


パパもママも子どもたちも、みんな名を持たないただのモブだった。


それでも、私の大切な、かけがえのない家族だった!


唯一名を持ち“ヒロイン”である私が生き残っていたのだ。

世間的に被害などなかったに等しい。


それでも私の世界は、この日滅びたのだ。




私は復讐する。


主人公(ヒーロー)に。


たとえ、神に剣を向ける行いであろうとも、私は主人公(ヒーロー)を許さない。



でも私には力がなかった。


同じ街にいる仇に直接会うことが怖かったし、

怯えている間に仇は違う街へと旅立って行った。



『国立NR学園入学通知書』


だけど、ついに来たのだ。


ここには私に必要なすべてが揃っている。


この学園には仇である“あいつ”がいる。

この学園には力をつける術がある。

この学園には主人公(ヒーロー)が集まる。


私のヒロインとして最も高い属性は“女生徒”。

学生である間、私のヒロイン属性は最も力を発揮する。



私、アリアナの復讐はここからはじまるのだ。



待っていろ主人公(ヒーロー)


私はお前たちを根絶やしにする!



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