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現代孔明  作者: フジオ
3/5

美濃の国

タイムスリップ――――――。

なんて現実的でない言葉だろう。

漫画やアニメじゃないんだから、時間移動なんてするわけない。

だが、この目の前に広がる光景をどう説明すればいいのか……。

ここから見る限りでは、電気的な明かりのようなもの、街灯や信号機といったものが見当たらない。

それどころか電線が全く見当たらない。

商業区と見られる町並みと、その町を少し離れたところには田畑が広がっている。

とても現代日本に見られる風景ではない。

どこか、日本の田舎では見られる風景なのかもしれないが。

『現存する日本の城』の近辺は観光化が進んでいるのもあり、割と近代的な風景が広がるはずだ。

少なくとも電灯が一つも見当たらないなどということはありえない。

整備されたコンクリの道路はなく、ただ土を踏み固め、雑草を整備しただけのような道が伸びているのもありえない。

それに安藤守就さんのような武士の格好をした人間がいる。

いくらなんでもドッキリにしては手が込みすぎている。

つまり、現状を見るに、『何かよくわからない力』が働き、『よくわからないままに』タイムスリップしてしまったと考えるほうが、まだ納得できるというわけだ。

「たいむすりぷ?」

安藤さんが訝しげな顔で聞いてくる。

そりゃそうだ、ここが本当に戦国時代なら英語なんてわかるわけがない。

キリスト教の伝来で多少は英語のようなものが入ってきているだろうが、はっきりいって認知度は低いだろう。

「いえ、その、タイムスリップとは……ですね。」

ここで、本当のことをいっても信じてもらえるだろうか?

正直いって、もし自分が安藤さんの立場なら、こいつアホじゃねぇの?で終わりである。

だが、戻る方法を探すにしろなんにしろ、このまま放り出されては野垂れ死に確定である。

金もないし、武器もない。

この状況では野盗なんかに襲われて確実に死ぬ。

嘘八百を並べて乗り切ってもいいが、もし万が一バレたらこれも危ないだろう。

その場で切り捨てられなくても、確実に放り出されてやっぱり野垂れ死にだ。

どちらも同じだけリスクがあるのなら、ここで背負えるだけのリスクを背負って、庇護を求め、この後を安泰にしたほうがいい気がする。

駄目だったとしても、この場ですっぱり駄目だったとわかったほうが、次の方策が立てやすい。

ここは、正直に話して庇護を求めよう。

「今から話すことが突拍子もないことは、百も承知です。その上で聞いていただけますか?」

安藤さんは頷くと、

「何やら長くなりそうじゃな。一先ず、客間にいこうではないか。」



そうして通された客間は落ち着いた雰囲気の部屋だった。

畳のいい匂いがする。

大きく開いた障子からは大きな庭が見渡せ、初めて通された屋敷の一室だが、圧迫感を感じさせない居心地のいい空間になっている。

安藤さんは小姓を呼ぶと、二人分のお茶を持ってこさせた。

「さて、話を聞こうか。たいむすりぷとは?」

「その話をする前に、先ほどもいった突拍子もない話をしなくてはなりません。」

俺は軽く呼吸を整えると、その言葉を口にした。

「私は、およそ400年後の未来からやってきました。先ほど南蛮の商人から買ったといったこの着物は未来の着物なのです。」

「400年後の未来とな!?にわかには信じがたいが……。」

「その証拠となるものは生憎何もないのですが……、精々が多少の未来の知識を話せる程度でしょうか?」

「ほぉ、未来の知識とな?」

「はい。」

「では、未来のこの齋藤家はどうなったのだ?」

「それは……。」

この質問、素直に答えていいのか?

齋藤家は織田家に滅ぼされて滅亡します。

なんていったら殺されてもおかしくない。

「申せぬのか?やはり出鱈目か?」

そういわれ、意を決して事実を伝える。

ここまで短い間だが話をして、即切り捨てなんていう短慮には走らない人のような気もするし。

「齋藤家は……、齋藤家は織田家の織田信長の手によって滅ぼされます。」

その瞬間、目の前の武士から凄まじい殺気が発せられた。

これでも小さなころから剣道をやってきた身だ、本当の達人が放つ剣気には覚えがある。

とてもではないが太刀打ちできるレベルではない。

殺される。

「齋藤家が織田家に滅ぼされるとな?」

その鋭い眼光を向けられ、背を向けて逃げ出したくなるのを必死にこらえつつ応える。

「美濃齋藤家は志半ばで滅亡いたします。少なくとも私のいた未来の歴史ではそうでした。」

そう応えた瞬間だった。




安藤さんが放っていた殺気は霧散した。


「そうか……。やはり、か。」

「信じていただけるのですか?」

「助かりたい一心で嘘八百を並べるのであれば、齋藤家は天下を取りますとでもいえばいいのに、殺されるかもしれない覚悟で、その真逆のことをいったのだ、信じようではないか。」

俺は体中の力が抜ける思いで、その場に突っ伏してしまった。

「ありがとうございます!」

「ははは、そのように力が抜けてしまうほどに恐ろしかったか!」

「本気で殺されるかと思いました。」

「こちらの殺気に怯え、あわてて言い繕おうものなら殺そうと思っておったからな。」

(アブねえええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!)

一歩間違えば本当に殺されていたようだ。

「しかし、そうか……。やはり齋藤家は滅ぶか……。」

安藤さんは、どこか遠くをみるような顔でつぶやいた。

「やはり、とは?」

遠くをみていた視線を俺に向けると、

「利政さまが尾張の大うつけに国を譲るといったときは何を言い出すのかとおもい、義龍さまが当主の座を簒奪するのに手も貸した。だが、どうだ?織田の大うつけは今や尾張清洲を完全に平定し、利政さまの国譲り状を現実のものとするべく、この美濃に侵攻してきている。大うつけの真の姿を見抜いていたのは利政さまのみだった。大うつけの本性を見抜けず反旗を翻した義龍さまとでは…、かろうじて義龍さまにはまだ希望があるかもしれん。だが、龍興さまではとても……。」

そういうと、沈んだ顔になってしまう。

だが、ハっと顔をあげて、

「おお、そうだそうだ。お主を拘束するときに身に着けていたものは全て預からしてもらったが、それらを返さなくてはな。」

そういうと、先ほどの小姓を呼び、俺の持ち物を持ってきてくれた。

「おお!」

携帯、腕時計、生徒手帳に、財布!それと…あの采配だった。

「奇天烈なものばかりだとは思っておったが、未来からきたとあれば然もありなん。これはなんじゃ?」

といい、俺の携帯を指差す。

「これは、携帯電話といい言葉を瞬時に遠くに届けるものです。」

「瞬時に?」

「はい、例えば今ここで安藤さまが尾張の織田信長に何かをいったとしましょう。本来であれば文にしたため、早馬を駆って届けなくてはなりません。ですが、これを使えば安藤さまがここで口頭でお話しした言葉が次の瞬間には織田信長の元に届いているのです。」

「なんと!?そのようなものが!それは便利じゃのう!どれ早速使って見せてくれんか?」

「残念ながら、この携帯電話を話しを伝える双方が持っていないと使えないのです。つまり、未来の世ではない、この世ではほとんど無用の長物ですね……。」

「なんと……、便利なんだか不便なんじゃかわからんのぅ!」

そうして、色々と雑談をした。

どうやら俺はこの屋敷の庭で倒れていたらしい。

怪しいやつと捕らえられ、牢屋に放り込まれたみたいだ。

そして、俺はなぜこうした未来のことを話したのか理由をいい、庇護を求めた、そのときであった。


ドーン、ドーン、ドーン!


太鼓の音が鳴り響いた。

「何事じゃ!?」

どたどたという音とともに伝令が乗り込んできた。

「はぁはぁ…、安、どの!お、て、せ!」

全力で走ってきたのだろう、呼吸がままならないのかぜぇぜぇはぁはぁと喘いでいる。

「ええい!落ち着かんか!まずは息を整えよ!」

そして、息を整えた伝令が言い放った言葉は…、




「織田の手勢がこの美濃に攻め入ってまいりました!ご出陣です!」

前回は大分ぶったぎりだったのであとがきをかかなかったんですが、2話と3話は元々一つの話しのつもりだったんで、今回で書こうとおもいます。


元々一つの話しを2と3にわけた理由として、単純に1話にして納めるには長いかな?っていうのがあったんです。

なんでサブタイトルも「目覚めたのは、美濃の国」っていう風につながってます。

まぁだからなんだって話しですが。


さて、今回でやっとタイムスリップってどこのどの時代よっていうのが判明しましたね。

まぁ歴史好きな人なら半兵衛主人公の話なら斉藤家からでしょ!っていうのでわかっていたとおもいますが…。


次はやっと戦争が始まります。

やっと戦争が始まるっていうとなんか戦争狂みたいですねw

ただ、やっぱり戦国時代へのタイムスリップ物としてはやっぱり戦争って一つの見せ場だとおもうのでね・・・。

次回投稿も出来るだけ早くしたいとはおもいますが、いついつにします!とはっきりとはいえなくて申し訳ないです。


それでは、ここまで読んでくださった方に最大限の感謝を!

評価を下さった数人の方々もありがとうございます。

評価をいただけたことを励みにこれからも頑張っていきたいとおもいます。

活動報告でもなんでも一言くださるとモチベーションがすごい上がるので、もしよかったらお願いします。

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