表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お姉ちゃん、vtuberは幸せ?

作者: 永進
掲載日:2026/04/09

お姉ちゃんはvtuber。

「ただいま」

ドアを開けて、僕は口にする。


返事はない。

家の雰囲気も、やっぱり暗い。

人は見えないけど、どこかしんみりしたような、何かを諦めてしまったかのような。


『こんにちは、いや、こんばんはかな』

声が、聞こえてくる。


僕は歩いて、自分の部屋に向かう。

部屋に入ると、スマホをONにし、動画サイトを開く。


「じゃ、推し活しよう」

読書は、後でいいか。今は推し活、vtuberの。




『いやー、最近どう。入学式はもうあった?』

明るい口調のvtuber。少女の姿をしている。

企業じゃなく、いわゆる個人勢。チャンネル登録者数は、1000くらい。メンバーシップ、登録して毎月お金を払う人も、たったの1人。


『私? 行ったよ、もちろん。高校生だから。私の所はね、えっと、今日入学式があった』

不登校かよ、嘘乙、などのからかうコメントが書かれる。僕はそれをただ眺める、コメントはしない。


『いやいや、嘘じゃないって』

あくまでも、明るく。


家の雰囲気は暗い。

なのに、隣の部屋から聞こえてくる声は、あくまでも明るい。


はあ、と僕はため息を吐く。


16歳のお姉ちゃんは、vtuberをしている。

不登校になって、3年くらい。

高校にも、なんとかして入学できたのに。

昨日あったらしい入学式にも行かず、ただ部屋で少ないリスナー相手に、明るく話しかける。




「配信終わったし、読書するか」

僕は本を開く。


幸せって、何だろう。

お姉ちゃんが学校に行かなくなり、僕は考えるようになった。


水泳、ピアノ、そんな贅沢な趣味をするのが、幸せなのだろうか?


誰かに幸せを与えるのが、幸せなのだろうか?


分からない、いくら本を読んでも。


何が幸せな人生で、何が幸せな家庭なのか。

分からない。


でも、

「お姉ちゃんが幸せだったら、それでいいか」

大切な家族、たった1人しかいない、姉。

お母さんやお父さんも大切だけど、お姉ちゃんはもっと大切。お姉ちゃんは何があっても変わらないし、お母さんやお父さんは離婚したら、アレだけど。


なんて、唯一のメンバーシップ登録者の僕は、考える。

コメントしたらいつかバレるような気がするから、しないけど。


まあ、vtuberを頑張ってよ、お姉ちゃん。

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ