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砕かれた幻想の霧の向こうの切嗣  作者: Lyneetra Works
7/10

EPISODE 7 : 食堂

昼休みのチャイムが鳴った瞬間、教室は一気に賑やかになった。

ビオが素早く立ち上がり、セルヴァの机を軽く叩く。


「急ご!早くしないと“チョコミロン”なくなるよ!」


セルヴァは小さく笑った。

「そんなに人気なの?」


「人気どころじゃないよ。アステルヴェイル高校の名物だからね。」

ビオの自信満々な言い方に、セルヴァは肩をすくめた。


ふたりは混雑した廊下を抜け、食堂へ向かう。

すれ違う生徒たちが、ちらりとセルヴァを見る。

好奇心が混ざった視線。でも、いやらしさはない。


食堂に入ると、温かい香りと活気が広がっていた。

パン、スープ、カレー……どれも食欲をそそる匂いだ。


「ほら、あった!残り二つ!」

ビオがトレーの上のパンを指差す。


「危なかったね。」

セルヴァは笑いながらひとつ掴んだ。


ふたりは窓際の席に座り、包装を開ける。

昼下がりの陽光が机に落ち、どこか懐かしいぬくもりを作っていた。


「ねえ、戻ってきてどう?」

ビオがパンをかじりながら聞く。


セルヴァは少し考え、静かに答えた。

「変わったようで変わってない感じ……でも、自分だけは変わった気がする。」


「分かるよ、それ。」

ビオは優しく笑った。


ふと横を見ると、少し離れた席にカエルが座っていた。

ひとりで昼食をとり、外を静かに眺めている。


「カエル、相変わらず一人だね。」

ビオが小さな声で言う。


「話しかけないの?」とセルヴァ。


「うーん……話すけど、あの人のペースって独特だから。悪い人じゃないよ。ただ、距離感の使い方が上手くないだけ。」


セルヴァはその姿をしばらく見つめた。

落ち着いていて、まるで周囲の時間とは別の流れにいるようだった。


「そういう人、嫌いじゃないよ。」

セルヴァがそう言うと、ビオは嬉しそうに微笑んだ。


窓の外では、風に乗って城下町の匂いが流れ込んでくる。

遠くの景色に、薄い霧がゆらゆらと立ち始めていた。

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