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砕かれた幻想の霧の向こうの切嗣  作者: Lyneetra Works
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EPISODE 5 - 校門

アステルヴェイル高校の校門は、昔と同じ場所にあった。

けれど、戻ってきた自分は同じではない。


セルヴァは小さく息を吸い、歩き出そうとした。


「セルヴァ!」


ビオが手を振りながら駆け寄ってくる。

制服は少しラフで、自然体のまま。


「ほんとに戻ってきたんだね! 昨日、夢かと思ったよ。」


「夢にしては、空気がちょっと冷たいよ。」

セルヴァは控えめに笑った。


ビオは嬉しそうに隣へ並ぶ。

歩調が自然と合う。


「みんな見てると思うよ。噂じゃなくて、ただ…セルヴァだから。」


「セルヴァだから?」

セルヴァは首を傾げる。


「いるだけで、空気が少し変わる人っているでしょう?」

ビオはそれを当然のことのように言った。


言われたセルヴァは、否定も肯定もしなかった。

ただ受け止めた。


「もし、つらいことあったら言ってね。」

ビオの声は静かだった。


「言うのは、少し時間かかるかも。」


「うん。聞く準備だけはしておくから。」


その言葉は、押しつけではなく、ただの「居場所」だった。


霧はもうほとんど消えていたが、

どこかにまだ、やわらかく漂っているように見えた。

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