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Episode 4 - 終わらなかった夢
その夜、セルヴァは早く眠ったが、深い眠りではなかった。
夢を見た。静かで、言葉のない夢。
祖父が古い家の縁側に座っていた。
雨は優しく降っていた。
ただそこにいるだけで、何かを語っているようだった。
セルヴァが近づこうとした瞬間、夢は途切れた。
朝、彼女はゆっくりと上体を起こす。
胸の奥に、言い表しにくい余韻が残っていた。
キッチンに降りると、母が朝食を用意していた。
「早いね。」
母が言う。
「うん、ちょっと夢見た。」
母はそれ以上聞かなかった。
それが、優しさだった。
「明日から学校だよね。」
母の声は柔らかい。
「うん。少し不安だけど、ゆっくりいく。」
「ゆっくりでいいのよ。」
母は静かに微笑んだ。
無理に強くならなくていい。
その言葉は、そっと心に染みていく。
外に出ると、薄い霧が道の上に残っていた。
濃くはないが、確かにそこにある。
今日も、少しずつ前へ進む。
そう思いながら、セルヴァは歩き出した。




