Episode 3 - 同じ部屋、同じ景色、違う自分
三年ぶりに故郷へ戻ったセルヴァは、ただ普通の高校生活を送りたいと願っていた。
しかし、雨上がりに現れる薄い霧は、人々の「隠したままにしていた心」をそっと映し出す。
罪悪感、恐れ、言えなかった本音。
霧の中に揺らめく“影”は、まるで自分自身のもう一つの姿のようだった。
仲間たちと向き合いながら、セルヴァは気づいていく。
影は倒すものではなく、受け入れるものだと。
そして、その瞬間に初めて、人は前へ進む力を手に入れる。
これは、「戻る」物語であり、
「もう一度、自分になる」物語である
朝は静かに訪れた。
カーテン越しの光が、部屋の空気をゆっくりと温めていく。
セルヴァはベッドの端に腰を下ろし、部屋を見回した。
ポスターも、本棚も、机も、あの頃のままだ。
けれど――感じ方だけが、確かに変わっていた。
同じ場所に戻っても、戻る前の自分には戻れないんだな。
軽く息を吐いて、立ち上がる。
指先で机に触れると、薄く積もった埃がふわりと舞った。
「セルヴァ、ご飯できてるよ。」
階下から母の声が聞こえる。
「うん、今行く。」
キッチンには、温かい朝の匂いが満ちていた。
二人で並んで座り、ゆっくりと朝食をとる。
「今日、無理しなくていいからね。」
母はそう言って、微笑んだ。
セルヴァは小さく頷く。
「分かってる。少しずつでいいよね。」
無理に強がる必要はなかった。
それをこの家は知っている。
食事を終え、玄関に立つ。
外の空気はまだ少し湿っていて、霧がほんのかすかに残っていた。
よし。歩いてみよう。
そう心の中で呟き、彼女は一歩を踏み出した。




