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P.5 布団にもぐる
布団にもぐって目をつぶっても、なかなか寝つけなかった。
静かにしているほど、へんな音がよく聞こえる。
家じゅうが、呼吸しているみたいにきしんだ。
時計の音だけが、じっと何かを数えていた。
いつのまにか、風も止まっている。
カーテンは動かず、空気がすこし重たい。
まぶたを閉じていても、何かの気配が部屋のどこかにある気がした。
起きていたほうがいいのか、それとも、このまま寝てしまうほうがいいのか。
ぼくは動けないまま、息をひそめた。
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→ 布団から出ない → P.20