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P.4 郵便受け

玄関の外に出ると、空気がすこし冷たくて、ぼくは肩をすくめた。

ポストのふたがほんの少し開いていて、中をのぞくと、しめった紙が折れて入っていた。

そっと引っぱると、紙きれは手の中でくしゃっと音を立てた。まるで誰かがそこに入れたばかりみたいに、紙は少しあたたかいような気がした。

「ピ」って書かれたような、でもはっきりしないにじんだ文字。

それを見たとたん、耳の奥がピクリと反応した。何かを思い出しかけたような、

遠い音がふっと揺れた。

→ P.6へ(a)


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