表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/21

グライダー

高度500

 曳航機(えいこうき)のロープを切り離し 私は自律する


 もう慣れたもので 地上を離れてしまえば機体と身体の区別は無い

 風防(ふうぼう)に当たる風も頬を撫でていくようだ

 夏の終わりの日差しが作る上昇気流(サーマル)

 塔のようにいくつも立ち上がって

 風を吹き上げる様を幻視する

 手近なサーマルに滑り込むと

 くん と私は上昇を始める

 サーマルの輪から出ないように旋回して

 上昇する大気を翼に受け 高みを目指す


高度850

 サーマルを登り切ったら次のサーマルへ機体を滑らせる

 サーマルに辿り着くと くん と体が持ち上がり 再び高度を稼ぐ

 昇り詰めたらまた次のサーマルへ


 そしてまた旋回を始める

 傾いた視界に 世界が流れて行く


 この瞬間を愛している


  空には 私独り

  鼓動と 呼吸と 機体の振動

  空と太陽と私

  他には何も要らない 

  

高度950

 今度はサーマルから出て 飛行場を背に飛ぶ

 風に乗って

 風に乗って


高度600

 飛行場が見えなくなる

 今日は何処まで渡れるのかな


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ