表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/21

夜だかの許(もと)へ

いつか星になりたいと願われたから

私は一握(いちあく)の灰になった君を瓶に詰め

朝一番のロケットで

大空へ飛び立った


夜明け前の濃密な大気は

憐れみを込めて私を送り出した

嘆きを(とどろき)に変えて

私は空を駆け上がる


空が 薄闇から青へ

青からまた闇へと変わる

エンジンの轟音とキシキシという機体の振動の中

私は君を握りしめる


夜だかは キシキシと鳴きながら どこまで飛んだのだろう

夜だかのいる カシオピアの隣りとは 何処だろう

今も燃えるという 夜だかの燐光は どれだろう

君も 近くになれると良いな


地球を振り切って

火星の重力()が ロケットを引っ掛けるまで翔ぼう

そこならば

星になったと 胸を張って言えるだろう?


さよならを呟いて 君を納めた衛星を(そら)(もと)へ手放す

信号機を起動させたから

私が帰る頃には

君の小さな歌声が 地球に届くだろう


遠ざかっていく君の光に背を向けて

私は 地球に帰る

私は まだ 人だから

私は 星には なれないから


星には星の 人には人の 営みがある

君は 星として 歩み始めたのだから

私も 人として 歩み続けよう

いつか軌道が再び交わるその日まで


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ