ＹＯＵ＿ 詩集

皇帝

十二月に縮みきった前線は

その日を境に反攻に出て

今日　私が真東から真西へ行進することで

中間点まで持ち直した

人々は火を灯し　夜と　将軍に抗った

草木は　沈黙を守り

動物達は　眠りについたり

将軍の気がそれた僅かな時間に命を繋いできた

私は将軍と五分の所まで来たのだ

今日という日を言祝(ことほ)ごう

私の時代がやって来る

将軍の兵は疲弊し　泥の海に沈んでいく

将軍はじりじりと　後退する

将軍が己の領土に引き下がるのは時間の問題だ

あと半歩進めば　鳥や獣達が歌い始める

あと一歩進めば　花の乙女達も着飾り

共に歩み　踊り始めるだろう

生命よ　声高く進め

私が空の高みを極めるのも　そう先の話ではない

いずれ再び将軍が立ち上がるその日まで

我が世を謳歌しようではないか