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季節の忘れ物

冬が去ると

鯨が海を()るように

そこかしこから 春がぬうっと顔を出す

春に触れた分だけ雪は静かに溶けていく


春の通った跡から冬の忘れ物達が顔を出す


折れた枝 潰れた木の実 落ち葉達

片っぽの手袋に 点字タイルのカケラ タバコの吸い殻


中には変わったものもある

髪飾り 看板 アイスの棒


路傍の溶け残った雪達は

揃いも揃って 薄汚れた小石の宝冠を被り うつむきながら立ち尽くす。

いずれ滅びる王族達の様に


いつしか それらも春に呑み込まれていく

そして 夏が来る頃には 春の忘れ物達が顔を出すのだ


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