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第10話 僕とチーム編成


「それじゃまずはチーム分けを始めようか」


スクトさんは改めて僕達へと向き直り話を始めた。


「今この場には約5000人の生徒がいるという話だったね。

 今回の活動の為集められた調査隊員の人数が約500人だから1チームで10人程の構成とし、各チームに1人ずつ調査隊員を付けることにする。

 チームメンバーは君達で自由に決めてくれて構わないよ。

 普通は前衛や後衛、サポーターなんかをバランスよく考える所だけどまだまだ実践慣れしてない状態なら見知った人同士で組んだ方が連携は取れやすいだろうしね。

 それじゃあ、出来上がったチームから僕らに声をかけてくれ。

 調査隊員が付いたら早速活動開始だ!」


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


ってな訳で、チームメンバー探しということなんだけど……


「きゅっきゅるー!

 ボクは勿論フィルと一緒だよー!」


「ライバルの貴方には特別にわたくしの華麗なる討伐劇をご覧に入れて差し上げましょう」


「「「当然、我々はアリスリーチェ様のお傍に!」」」


という訳で早くも6人が確定だ。

あと4人程となると……


「おう、いいぜ!

 あのトカゲに俺の自慢の斧を叩きこんでやるよ!」

「俺もだ。

《アイス・ブレード》でぶった斬ってやるぜ」


ミルキィさん、ヴィガーさんが加わり、残り2人程。


う~ん、これ以上の知り合いは……


「ちょっといい?」

「ん?」


悩んでいた僕に声をかけて来た人物、それは……


「貴女は……キャリーさん!」


薄緑の髪に眼鏡をかけたその人は、まさしくあの『中級魔法師』のキャリー=ミスティさんだった。


「私を仲間に入れて貰いたい」

「えっ!?貴女が僕達のチームに!?」


キャリーさんならどのチームからも引く手数多なくらいだろうに……!


「私の魔法は威力が高すぎて周りを巻き込みかねない。

 いざという時アリスリーチェがいてくれると安心。

 ダメ?」

「い、いえ!そんなことは全然!」


この人の実力はもはや語るまでもない。

断る理由なんてあるはずもなかった。


「あとついでにこの子も一緒にお願い」

「ど、どうも……」


「えっと、貴女は……?」


キャリーさんの隣には気弱そうな黒髪おさげの女の子の姿もあった。

どっかで見たことあるような……


「この前の模擬戦でウォッタ=ガーデニングに瞬殺されてた子」

「うぐッ!」

「ああ、あの時の!」


確か、バニラ=タリスマンさんだったっけ。


「うう、瞬殺……瞬殺………」

「あ、えっと!大丈夫ですよ!

 あの模擬戦ではアリーチェさんのお付きの皆さんにはミルキィさんもヴィガーさんも瞬殺されてたんですから!」

「おいテメェそれ俺達に流れ弾食らわせただけで何の慰めにもなってねぇからな」


後ろからヴィガーさんの声が響いた。


「この子は戦闘技術はいまいちだけどサポート能力は人並み以上。

 周囲の状況判断や他人の体調管理に気が回り、最適なタイミングで補助魔法やマジックアイテムで手助けしてくれる。

 実際サポート能力ランキングでは断トツ1位」

「へぇ……」


今の僕達のチームは戦闘能力に偏重気味だから来てくれればかなり助かりそうだ。


「それなら勿論大歓迎ですよ!

 よろしくお願いします!」

「は、はい!よ、よろしくお願いします!」


バニラさんが緊張気味に頭を下げた。


これで2人が確保出来て目標の10人に到達だ!

よし!早速―――


「おい!フィル=フィール!!」

「――え?」


……早速調査隊の人達に声をかけよう、と思っていた矢先に聞き覚えのある声がかけられた。



…………このあまり思い出したくない声は…………



僕はゆっくりと振り向いた。

オレンジ色の太陽を彷彿とさせる髪をライオンのたてがみのように広げ、同じく燃えるような金色の瞳でこちらを睨みつける、その人の名は……



「私もお前のチームに入れて貰おうか!!

 このコリーナ=スタンディをな!!

 嫌とは言わせんぞ!!」



こうして、計11人のチームメンバーが集まったのであった……


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「キャリーさんとバニラさんはどういうお関係ですの?」

「この子とは同郷の出。

 大陸北東部の街から2人で勇者学園に来た」

「キャリーちゃんは昔からなんでも出来て私の憧れなの。

 それだけにこの前の模擬戦でキャリーちゃんが負けちゃった時なんてすごくビックリしちゃったよ……」

「ふふん!相手はアリスリーチェ様なのですから当然です!」


「きゅる!アナタはこの前フィルをいじめた人!

 今度フィルに酷い事したら許さないからね!」

「いじめられているのはこっちの方だ!

 私の計画してた底辺魔力勇者の痛快サクセスストーリーを台無しにしてくれて!

 おかげで私は全く目立つことが出来ないじゃないか!」

「いや十分目立てると思うぞ……」

「イロモノ枠としてな……」


そんなメンバー同士の交流の会話を耳にしながら、僕達は調査隊の人達に声をかけるべく移動していた。

………このメンバー戦力過剰な気もするなぁ……

なんてことを考えていると、調査隊員の姿が見えてきた。


「すみません!こちらのチームメンバーが決まりました!

 調査隊の人を―――」


「君達のチームには僕が入ろう」


「―――え?」


調査隊の人達へ声掛けをしようとした僕の言葉の途中に割って入ったその人は―――


「す、スクトさん!?」


スクト=オルモースト……勇者一行のメンバーの1人だった!


「調査隊ではないけどここら辺の魔物の知識や土地勘は持っているつもりだよ。

 勿論、僕じゃ不安なら調査隊員に変わってもいいけど」

「ふ、不安だなんてそんな!

 むしろこの上ないくらい安心ですよ!!

 っていうかホントにいいんですか!?」

「ああ。君、フィル=フィール君だろう?

 コーディスさんから中々面白い生徒達がいるって話を聞いてね。

 僕も興味が湧いたんだ」

「うわあ!まさか勇者一行のお1人から名前を憶えて貰えるなんて……!

 か、感激です!!」

「いやまあ、一応コーディスさんも勇者一行の1人だからね?」



そうして……いよいよ僕達の魔物討伐活動が始まるのだった――――


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