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第9話 アルミナと奥の手


「さぁーてと!!」


ウィデーレとの話を終えたアルミナは剣戟をピタリと止めた。

空中に囚われていた水晶ゴーレムが地面へと落下する。


―――ガッキャァァァン!!


轟音を立てゴーレムが大地へと叩きつけられた。

この程度の衝撃ではゴーレムへのダメージなど全く期待できないことは今更言うまでもない。


そしてゴーレムは失われた人型の身体を急速に再生させていった。

無くなっていた腕と足を……

身体中に付いた傷痕を……


ものの数分もしない内にゴーレムは完全に再生を終えてしまうだろう。


だが、アルミナはそれには目もくれずゴーレムと距離を取り始めた。


「ふーーむ!これくらいか……?

 いや、もうちょっと離れた方がいいか!

 かなり久しぶりだからなー……

 ちゃんとタイミング合わせられるかなー?」


そんなことを言いながらアルミナはどんどんゴーレムから離れていくのだった……


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


「あーあ……

 まだ色々と未発見の植物もあっただろうにな……」


ウィデーレが未だに未練がましい声を出し肩を落としていた。


「あの……ウィデーレさん。

 準備出来ましたけど……

 知っての通り『超』高等防御魔法は展開できる時間がかなり短いのでいつ発動すればいいのか教えて貰わないと……」

「あ、うん分かった。ありがとね。

 タイミングは向こうに合わせれば大丈夫だから。

 アルミナー。準備完了したよー」



「よぉーーーし!!

 それじゃあこれを預かっていてくれーー!!」



そう言ってアルミナはウィデーレ達に向かってあるモノを2つ投げた。



「了解ーーー。

 よっ……と」

「わっ、わっ!」


投げられたモノをウィデーレとスクトがそれぞれ掴み取る。

それは鞘に納められた状態の2対の剣であった。

先程までアルミナが振り回していた物である。


「大事にしてくれよーーー!!

 国王から貰った高級品なんだからなーーー!!

 そいつの丈夫さは十分承知しているが流石に『コレ』には耐えられないだろうからなーーー!!」



「うん、分かってるよー」



「それじゃカウントダウンは20から始めるぞーーー!!

 20ーーー!

 19ーーー!」



「それじゃスクト。

 あのコのカウントダウンに合わせて魔法発動よろしくね。

 もしタイミングがズレちゃったら多分私達死んじゃうから気を付けて」

「あのう!!いい加減何する気なのか教えてくれませんかね!?」



受け取った剣をとりあえず腰に差し、スクトはウィデーレに問い詰めた。



「まぁ、やることは非常に単純だよ」


 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


アルミナの剣戟が止み、ゴーレムが地面に落ちてからほんの2分程。

ゴーレムの身体は再生を終えていた。


アルミナの《ルビー》の力で深々と付けられた傷は全て綺麗さっぱり消え失せており、初めてこの場に現れた時と何一つ変わらない姿へと戻っていた。

まるで、先程までの凄まじい戦闘など無かったかのように……


そしてゴーレムは再び歩み始める。

大陸東側……人類生存圏へ向かって……


―――ズゥン……!ズゥン……!


今まで戦っていた敵はいなくなっていたがゴーレムにはそんなことを疑問に思う余地などない。

ただひたすらに、与えられた機能を果たす為だけに、歩を進める。


―――ズゥン……!ズゥン……!


やがて―――遠くにまたあの敵の姿が見えた。


―――ズゥン……!ズゥン……!


だが、関係ない。

どれ程の力を持ってしても、この身を壊すことは不可能なのだから。


「3ーーーー!

 2ーーーー!

 1ーーーー!

 0ーーーー!

 《ヴァリアブル・コランダム-サファイア》!」


敵が何か言っているが関係ない。

もはや何をしようが、この身を―――



















「《ルビー》」


突然、目の前に敵が現れ――――


















 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆


《 数秒前 》






「まず、敵に向かって《サファイア》で限界まで加速する。

 そして敵にぶつかる直前で《ルビー》に変わる。

 敵をぶん殴る。

 以上。

 これだけだよ」





「……………あの、それってつまり?」





「うん。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 ただそれだけ。

 単純にして効果は非常に絶大。

 ただまぁ、一つ問題があって―――」






その時のカウントは残り3だった。







「あまりに威力が高すぎて、その衝撃で周りが吹き飛んじゃう―――――」







 ◆ ◆ ◆ ◆ ◆




















――――その瞬間、世界から音が消えた。




















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