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僕と君との再会
その場にいる誰もが必死の形相で『それ』を見つめていた。
「フィルーーーーー!!!!」
場違いなほどに明るく、喜びに満ちた声が『それ』から発せられる。
『それ』は漆黒の身体を持つものであった。
人間の女の形をしているように見えるが、その身体は粘液で形成されており、足首から先は黒い水たまりと一体化している。
その姿は紛れもなく異形。
人類の天敵。
すなわち魔物であった。
「ボクね、ボクねーーーー!!!」
その異形が、一人の少年に向かって叫ぶ。
とても嬉しそうに、万感の思いを込めているかのように、とても大きな声で―――
「魔王になったよーーーーーーーーーー!!!!!」
少年は呟いた。
「………マぁジで?」
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