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6/8

6ターン目:奔走

【プレイヤー】

 デスゲーム2回目 :仏井正蔵(部長)

 コロナ禍アジア留学:安治篤史(新人)

 ペーパードライバー:静道走吾(新人)

 ベテラン委員長  :引鳥はじめ(新人)



【ルール】


①0~4の中から好きな整数を1つ選ぶ

 何を選んだかは他のプレイヤーには秘密にする


②選んだ数字の分だけ同時に列を移動する


③ ①②を繰り返し、折り返し地点を経由して

 一番早くスタート(ゴール)に戻ってきた人が勝利


ただし、


④移動する際、使用済みの椅子は撤去される


⑤移動先の椅子が足りなければ「ドボン」

 その列の椅子はすべて撤去される


⑥3回ドボンした人はその時点で脱落


⑦3人脱落した時点で残り1名が勝利


⑧全員脱落した場合はゴールに一番近い人が勝利


⑨同着ゴールの場合はドボン数が少ない人が勝利


⑩折り返し地点には必ず止まる


⑪プレイヤーは後ろを見てはならない



【5ターン目終了時点(仏井視点)】


※□:残りの椅子

 ?:状況不明

 (名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)

 【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)


スタート(ゴール):□□□□

1列目 : ??

2列目 : ??

3列目 : ??

4列目 :(仏井1)(安治1)

5列目 :( ? 2)【仏井5】【安治5】

6列目 :( ? 2)□

7列目 : □□

8列目 :(仏井2)(安治2)

9列目 :(静道3)(引鳥3)【仏井4】【安治4】

10列目 :(引鳥5)□

11列目 : □□

折り返し:(仏井3)(安治3)(静道4)(引鳥4)

     【静道5】


=======================



<Side:仏井正蔵>


(うわぁ、追いつめられちゃった……)


 仏井は2連続ドボンという結果に思わずあんぐりとした。


 折り返してからゴールまでは4ターンかかる。その内2回までドボンしてよいなら勝算は高いだろうと仏井は考えていたが、中々どうして現実というのは甘くない。



 恐らくこのドボンは仕組まれたものだろうと仏井は予想した。帰りに通る列を見抜かれ、先んじて椅子を減らされたのだ。


(今年の新人は見どころありそうだなあ。ちゃんと育てたら立派な戦力になってくれそう)


 管理職としての立場からそんな事を考える仏井。崖っぷちに立たされながらも、彼は冷静を保っていた。



 なぜなら、仏井にはまだゴールへの道筋が見えていたからである。


(大丈夫、まだ勝ち目が無くなった訳じゃない。次をしのげば僕の勝ちだ)


 仏井は現在5列目。次に移動するなら1~3列目のどこか。ここまでの状況から、椅子は4席も残っているはずである。



(問題はどこに移動するのが一番いいかだけど……)


 これまでのドボンはすべて仏井と安治が同じ列に移動したため起こった。また同じ事が起こる可能性はある。次は脱落だ。


 ここが正念場。数字は慎重に選ぶ必要がある。


 仏井はこれまでのゲームの展開を振り返りながら、少しでも安全な列を割り出そうと頭を回転させた。



 そして、1つの気付きを得た。



 仏井が着目したのは6列目。そこに残っている椅子は1席のみである。


(2ターン目に誰かが6列目に座ったのは明らか。って事は、1列目には少なくとも1つは椅子が残ってるって事じゃん!)


 1列目に座れば次4を選んでも5列目までしか行けないからである。



 ただしあくまで1つ以上というだけ。1つしか残ってないという可能性もある。


(……本当に?)


 かつてなく慎重になった仏井は首をひねった。


 確かに可能性としてはあり得るが、あくまで可能性である。初手1という極端すぎる手を打つ者がどれほどいるだろうかと仏井は思った。



 仏井は改めて5・6列目に着目した。


(あそこ、9列目でドボンした僕たちが異常に気づいて4じゃなく3を選んでもドボンするように罠が張られている。だったら今回も同じ可能性が高いはず)


 つまり本命はこうだ。


=======================

残りの椅子(仏井の予想)


※□:残りの椅子


1列目 : □□

2列目 : □

3列目 : □


~略~


=======================



 連続ドボンの結果仏井と安治は選ぶ数字を変える、と読んで罠が張られているはず。だからこそ、1列目は(4を選ぶのが)安全。


 さらに言えば、たとえ1列目に1席しか残ってなかったとして、安治が別の列に移動する可能性も十分ある。


 仏井はそう判断したのだった。




『シンキングタイム終了です。それでは6ターン目、移動してください』


=======================

(1)プレイヤー起立

(2)スタッフが使用済みの椅子を撤去

  この際嘘の音も立ててプレイヤーを攪乱

(3)プレイヤー移動

  移動中は目を閉じ、スタッフが手を引いて誘導

  移動後は目を開けてよいが、まだ立ったまま

(4)ドボン判定

  スタッフがドボンした列の椅子を撤去

  この際嘘の音も立ててプレイヤーを攪乱

(5)プレイヤー着席

  ただしドボンしたプレイヤーは立ったまま

(6)勝者判定

  勝者が現れなければ次のターンへ

=======================





 そして仏井は――


=======================

6ターン目終了時点(仏井視点)


※□:残りの椅子

 (名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)

 【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)


スタート(ゴール):□□□□

1列目 :(仏井6)(安治6)

2列目 :( ? 1)□

3列目 :( ? 1)□

4列目 :(仏井1)(安治1)

5列目 :( ? 2)【仏井5】【安治5】

6列目 :( ? 2)(引鳥6)

7列目 : □□

8列目 :(仏井2)(安治2)

9列目 :(静道3)(引鳥3)【仏井4】【安治4】

10列目 :(引鳥5)(静道6)

11列目 : □□

折り返し:(仏井3)(安治3)(静道4)(引鳥4)

     【静道5】

=======================



(やった!)


 無事ドボンを回避し、後はゴールするだけとなったのだった。






<Side:引鳥はじめ>


 一方で1ターン遅れて先頭集団を追う引鳥は、


(もう勝敗は決したな)


 6列目の椅子からの景色にそんな感想を抱いていた。


 ゲームもいよいよ大詰めである。

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