2~4ターン目:疾走(仏井・安治視点)
【プレイヤー】
デスゲーム2回目 :仏井正蔵(部長)
コロナ禍アジア留学:安治篤史(新人)
ペーパードライバー:静道走吾(新人)
ベテラン委員長 :引鳥はじめ(新人)
【ルール】
①0~4の中から好きな整数を1つ選ぶ
何を選んだかは他のプレイヤーには秘密にする
②選んだ数字の分だけ同時に列を移動する
③ ①②を繰り返し、折り返し地点を経由して
一番早くスタートに戻ってきた人が勝利
ただし、
④移動する際、使用済みの椅子は撤去される
⑤移動先の椅子が足りなければ「ドボン」
その列の椅子はすべて撤去される
⑥3回ドボンした人はその時点で脱落
⑦3人脱落した時点で残り1名が勝利
⑧全員脱落した場合はゴールに一番近い人が勝利
⑨同着ゴールの場合はドボン数が少ない人が勝利
⑩折り返し地点には必ず止まる
⑪プレイヤーは後ろを見てはならない
【1ターン目終了時(仏井視点)】
※□:残りの椅子
?:状況不明
(名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)
【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)
スタート:????
1列目 : ??
2列目 : ??
3列目 : ??
4列目 :(仏井1)(安治1)
5列目 : □□
6列目 : □□
7列目 : □□
8列目 : □□
9列目 : □□
10列目 : □□
11列目 : □□
折り返し:□□□□
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<Side:仏井正蔵>
4列目に座ったのは仏井と安治。多くの者の予想を裏切り、ゲームはドボン無しという静かなスタートを切った。
この結果は4を選んだプレイヤーにとっては非常に幸運と言える。1着争いにおいて彼らは圧倒的有利を手にしていた。仏井もその一人である。
にもかかわらず仏井は残念がっていた。それは、彼の戦略が早くも潰えてしまったからである。
(みんなで一緒にゴールする作戦、失敗かあ)
蹴落とし合うのではなく協力したい。そんなデスゲームへの反逆とも言える思いを抱いた仏井は、ある展開に期待して4を選んでいた。
仏井が期待した展開は以下の通りである。
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3ターン目までの展開(仏井の期待)
※□:残りの椅子
(名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)
【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)
スタート:□□□□
1列目 : □□
2列目 : □□
3列目 : □□
4列目 :【仏井1】【安治1】【引鳥1】【静道1】
5列目 : □□
6列目 : □□
7列目 : □□
8列目 :【仏井2】【安治2】【引鳥2】【静道2】
9列目 : □□
10列目 : □□
11列目 : □□
折り返し:(仏井3)(安治3)(引鳥3)(静道3)
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4ターン目~ゴールまでの展開(仏井の期待)
スタート:(仏井7)(安治7)(引鳥7)(静道7)
1列目 : (仏井6)□
2列目 : (引鳥6)(安治6)
3列目 : (静道6)□
4列目 :
5列目 : (仏井5)□
6列目 : (引鳥5)(安治5)
7列目 : (静道5)□
8列目 :
9列目 : (仏井4)□
10列目 : (引鳥4)(安治4)
11列目 : (静道4)□
折り返し:
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重要なのは折り返し直後にドボンしないようにうまくばらける事。ばらけ方は様々なパターンがあるが、ドボンさえしなければどのようにばらけてもよい。
ここでドボンしなければ5ターン目、6ターン目と全員4を選ぶことで互いの位置関係はそのままに移動でき、そして7ターン目に全員同着でゴールできるのである。
3回ドボンした者は脱落するというのがこのゲームのルール。内2回を行きに費やす事で、ぎりぎりこの戦略は実現可能と言う計算だ。
無論、全員が行きに4を選び続ける事が大前提であるが。
(4を選んだのは2人だけかあ。残念)
肩を落とす仏井。全員同着という終わり方が潰えた以上、以降は普通に1位を目指すしかないかと仏井は考え、急ぎ次の戦略を練った。
(とはいってもこの状況、僕が選ぶべき数字ってこれしかないよね……?)
<Side:安治篤史>
(おっしゃ! これもうほとんど勝ち確だろ!)
安治は小さくガッツポーズを取った。ドボンする覚悟がいい意味で無駄になったのである。ただのパイプ椅子が、今だけは高級ゲーミングチェアのような座り心地に感じられた。
この後の展開を予想して不敵に笑う安治。彼の予想は以下の通りであった。
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3ターン目までの展開(安治の予想)
※□:残りの椅子
(名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)
【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)
スタート:□□□□
1列目 : □□
2列目 : □□
3列目 :(引鳥1)(静道1)
4列目 :(仏井1)(安治1)
5列目 : □□
6列目 : □□
7列目 :(引鳥2)(静道2)
8列目 :(仏井2)(安治2)
9列目 : □□
10列目 : □□
11列目 :(引鳥3)(静道3)
折り返し:(仏井3)(安治3)□□
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4ターン目~ゴールまでの展開(安治の予想)
スタート:(仏井7)(安治7)□□
1列目 :(仏井6)(安治6)
2列目 :(引鳥7)(静道7)
3列目 :
4列目 :
5列目 :(仏井5)(安治5)
6列目 :(引鳥6)(静道6)
7列目 :
8列目 :
9列目 :(仏井4)(安治4)
10列目 :(引鳥5)(静道5)
11列目 :
折り返し:(引鳥4)(静道4)
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行きに4を選び続けなければゴールが1ターン遅れる。それがこのゲームの特性である。順調にいけば、4を選んだ安治と仏井が先にゴールするだろう。
(不確定要素があるとすれば引鳥と静道が本当に今3列目に居るかだが……)
さらに予想が外れた場合をシミュレートする安治。有利を手にしてなお彼の心に油断の色は無かった。
他のパターンで可能性が高いと思われるのは、2を選んだ人物がいる場合である。
4列目でのドボンを避けるために皆3列目に移動しドボンする、というリスクを避けるために2を選ぶ者が居てもおかしくはない。
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3ターン目までの展開(安治の予想2)
※□:残りの椅子
(名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)
【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)
スタート:□□□□
1列目 : □□
2列目 :(静道1)□
3列目 :(引鳥1)□
4列目 :(仏井1)(安治1)
5列目 : □□
6列目 :(静道2)□
7列目 :(引鳥2)□
8列目 :(仏井2)(安治2)
9列目 : □□
10列目 :(静道3)□
11列目 :(引鳥3)□
折り返し:(仏井3)(安治3)□□
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(だがその場合でも問題はない。俺が帰りに通るのは9・5・1列目だ。ドボンすることは無い)
(なんならそれ以外のパターンになっても大して問題ないな。脱落するのはドボン3回目だ。帰りの4ターンで3回もドボンする方が難しいだろ)
考えれば考えるほどに勝利の確信が深まる。安治が選ぶべき数字は変わらず4。彼は確かな自信と共に解答欄へ数字を書き込んだ。
『シンキングタイム終了。それでは移動してもらいます』
その後2ターン目、3ターン目とゲームはつつがなく進んだ。折り返しに到達した安治の視点は以下の通りである。
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3ターン目終了時(安治視点)
※□:残りの椅子
?:状況不明
(名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)
【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)
スタート:????
1列目 : ??
2列目 : ??
3列目 : ??
4列目 :(仏井1)(安治1)
5列目 : ??
6列目 : ??
7列目 : ??
8列目 :(仏井2)(安治2)
9列目 : ??
10列目 : ??
11列目 : ??
折り返し:(仏井3)(安治3)□□
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後ろを見てはならないというルールにより引鳥と静道の姿はずっと見えていない。事前に分かっていた事である。安治からすれば何も問題は無かった。
(次は予定通り9列目に移動だ)
順風満帆。今の状況を現すならこの一言に尽きるだろう。ゲームは安治の予想通りに進んでいた。
『では4ターン目移動してください』
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(1)プレイヤー起立
(2)スタッフが使用済みの椅子を撤去
この際嘘の音も立ててプレイヤーを攪乱
(3)プレイヤー移動
移動中は目を閉じ、スタッフが手を引いて誘導
移動後は目を開けてよいが、まだ立ったまま
(4)ドボン判定
スタッフがドボンした列の椅子を撤去
この際嘘の音も立ててプレイヤーを攪乱
(5)プレイヤー着席
ただしドボンしたプレイヤーは立ったまま
(6)勝者判定
勝者が現れなければ次のターンへ
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移動中、プレイヤーは目を閉じさせられる。折り返し以降は後ろへ移動するが後ろを見てなならないからだ。スタッフに手を引かれながら安治は、変な所で考えが行き届いているなと感心した。
そうして移動を終え、司会に促されて目を開ける安治。隣には仏井もいた。これまでも横並びだったのだ。変な事ではない。にもかかわらず思わず目を合わせる2人。
(マジかよ……)
彼らのいる9列目には、椅子が1つも無かった。
仏井・安治、1回目のドボンである。
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4ターン目終了時(安治視点)
※□:残りの椅子
?:状況不明
(名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)
【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)
スタート:????
1列目 : ??
2列目 : ??
3列目 : ??
4列目 :(仏井1)(安治1)
5列目 : ??
6列目 : ??
7列目 : ??
8列目 :(仏井2)(安治2)
9列目 :【仏井4】【安治4】
10列目 : □□
11列目 : □□
折り返し:(仏井3)(安治3)(引鳥4)(静道4)
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