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3/8

2~4ターン目:疾走(仏井・安治視点)

【プレイヤー】

 デスゲーム2回目 :仏井正蔵(部長)

 コロナ禍アジア留学:安治篤史(新人)

 ペーパードライバー:静道走吾(新人)

 ベテラン委員長  :引鳥はじめ(新人)



【ルール】


①0~4の中から好きな整数を1つ選ぶ

 何を選んだかは他のプレイヤーには秘密にする


②選んだ数字の分だけ同時に列を移動する


③ ①②を繰り返し、折り返し地点を経由して

 一番早くスタート(ゴール)に戻ってきた人が勝利


ただし、


④移動する際、使用済みの椅子は撤去される


⑤移動先の椅子が足りなければ「ドボン」

 その列の椅子はすべて撤去される


⑥3回ドボンした人はその時点で脱落


⑦3人脱落した時点で残り1名が勝利


⑧全員脱落した場合はゴールに一番近い人が勝利


⑨同着ゴールの場合はドボン数が少ない人が勝利


⑩折り返し地点には必ず止まる


⑪プレイヤーは後ろを見てはならない



【1ターン目終了時(仏井視点)】


※□:残りの椅子

 ?:状況不明

 (名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)

 【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)


スタート(ゴール):????

1列目 : ??

2列目 : ??

3列目 : ??

4列目 :(仏井1)(安治1)

5列目 : □□

6列目 : □□

7列目 : □□

8列目 : □□

9列目 : □□

10列目 : □□

11列目 : □□

折り返し:□□□□


=======================




<Side:仏井正蔵>


 4列目に座ったのは仏井と安治。多くの者の予想を裏切り、ゲームはドボン無しという静かなスタートを切った。


 この結果は4を選んだプレイヤーにとっては非常に幸運と言える。1着争いにおいて彼らは圧倒的有利を手にしていた。仏井もその一人である。


 にもかかわらず仏井は残念がっていた。それは、彼の戦略が早くも潰えてしまったからである。


(みんなで一緒にゴールする作戦、失敗かあ)


 蹴落とし合うのではなく協力したい。そんなデスゲームへの反逆とも言える思いを抱いた仏井は、ある展開に期待して4を選んでいた。


 仏井が期待した展開は以下の通りである。



=======================

3ターン目までの展開(仏井の期待)


※□:残りの椅子

 (名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)

 【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)


スタート(ゴール):□□□□

1列目 : □□

2列目 : □□

3列目 : □□

4列目 :【仏井1】【安治1】【引鳥1】【静道1】

5列目 : □□

6列目 : □□

7列目 : □□

8列目 :【仏井2】【安治2】【引鳥2】【静道2】

9列目 : □□

10列目 : □□

11列目 : □□

折り返し:(仏井3)(安治3)(引鳥3)(静道3)


=======================


4ターン目~ゴールまでの展開(仏井の期待)


スタート(ゴール):(仏井7)(安治7)(引鳥7)(静道7)

1列目 : (仏井6)□

2列目 : (引鳥6)(安治6)

3列目 : (静道6)□

4列目 :

5列目 : (仏井5)□

6列目 : (引鳥5)(安治5)

7列目 : (静道5)□

8列目 :

9列目 : (仏井4)□

10列目 : (引鳥4)(安治4)

11列目 : (静道4)□

折り返し:

=======================



 重要なのは折り返し直後(4ターン目)にドボンしないようにうまくばらける事。ばらけ方は様々なパターンがあるが、ドボンさえしなければどのようにばらけてもよい。


 ここでドボンしなければ5ターン目、6ターン目と全員4を選ぶことで互いの位置関係はそのままに移動でき、そして7ターン目に全員同着でゴールできるのである。


 3回ドボンした者は脱落するというのがこのゲームのルール。内2回を行きに費やす事で、ぎりぎりこの戦略は実現可能と言う計算だ。


 無論、全員が行きに4を選び続ける事が大前提であるが。



(4を選んだのは2人だけかあ。残念)


 肩を落とす仏井。全員同着という終わり方が潰えた以上、以降は普通に1位を目指すしかないかと仏井は考え、急ぎ次の戦略を練った。


(とはいってもこの状況、僕が選ぶべき数字ってこれしかないよね……?)




<Side:安治篤史>


(おっしゃ! これもうほとんど勝ち確だろ!)


 安治は小さくガッツポーズを取った。ドボンする覚悟がいい意味で無駄になったのである。ただのパイプ椅子が、今だけは高級ゲーミングチェアのような座り心地に感じられた。


 この後の展開を予想して不敵に笑う安治。彼の予想は以下の通りであった。



=======================

3ターン目までの展開(安治の予想)


※□:残りの椅子

 (名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)

 【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)


スタート(ゴール):□□□□

1列目 : □□

2列目 : □□

3列目 :(引鳥1)(静道1)

4列目 :(仏井1)(安治1)

5列目 : □□

6列目 : □□

7列目 :(引鳥2)(静道2)

8列目 :(仏井2)(安治2)

9列目 : □□

10列目 : □□

11列目 :(引鳥3)(静道3)

折り返し:(仏井3)(安治3)□□


=======================


4ターン目~ゴールまでの展開(安治の予想)


スタート(ゴール):(仏井7)(安治7)□□

1列目 :(仏井6)(安治6)

2列目 :(引鳥7)(静道7)

3列目 :

4列目 :

5列目 :(仏井5)(安治5)

6列目 :(引鳥6)(静道6)

7列目 :

8列目 :

9列目 :(仏井4)(安治4)

10列目 :(引鳥5)(静道5)

11列目 :

折り返し:(引鳥4)(静道4)

=======================



 行きに4を選び続けなければゴールが1ターン遅れる。それがこのゲームの特性である。順調にいけば、4を選んだ安治と仏井が先にゴールするだろう。


(不確定要素があるとすれば引鳥と静道が本当に今3列目に居るかだが……)


 さらに予想が外れた場合をシミュレートする安治。有利を手にしてなお彼の心に油断の色は無かった。



 他のパターンで可能性が高いと思われるのは、2を選んだ人物がいる場合である。


 4列目でのドボンを避けるために皆3列目に移動しドボンする、というリスクを避けるために2を選ぶ者が居てもおかしくはない。


=======================

3ターン目までの展開(安治の予想2)


※□:残りの椅子

 (名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)

 【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)


スタート(ゴール):□□□□

1列目 : □□

2列目 :(静道1)□

3列目 :(引鳥1)□

4列目 :(仏井1)(安治1)

5列目 : □□

6列目 :(静道2)□

7列目 :(引鳥2)□

8列目 :(仏井2)(安治2)

9列目 : □□

10列目 :(静道3)□

11列目 :(引鳥3)□

折り返し:(仏井3)(安治3)□□

=======================



(だがその場合でも問題はない。俺が帰りに通るのは9・5・1列目だ。ドボンすることは無い)


(なんならそれ以外のパターンになっても大して問題ないな。脱落するのはドボン3回目だ。帰りの4ターンで3回もドボンする方が難しいだろ)


 考えれば考えるほどに勝利の確信が深まる。安治が選ぶべき数字は変わらず4。彼は確かな自信と共に解答欄へ数字を書き込んだ。




『シンキングタイム終了。それでは移動してもらいます』



 その後2ターン目、3ターン目とゲームはつつがなく進んだ。折り返しに到達した安治の視点は以下の通りである。



=======================

3ターン目終了時(安治視点)


※□:残りの椅子

 ?:状況不明

 (名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)

 【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)


スタート(ゴール):????

1列目 : ??

2列目 : ??

3列目 : ??

4列目 :(仏井1)(安治1)

5列目 : ??

6列目 : ??

7列目 : ??

8列目 :(仏井2)(安治2)

9列目 : ??

10列目 : ??

11列目 : ??

折り返し:(仏井3)(安治3)□□

=======================



 後ろを見てはならないというルールにより引鳥と静道の姿はずっと見えていない。事前に分かっていた事である。安治からすれば何も問題は無かった。


(次は予定通り9列目に移動だ)


 順風満帆。今の状況を現すならこの一言に尽きるだろう。ゲームは安治の予想通りに進んでいた。




『では4ターン目移動してください』


=======================

(1)プレイヤー起立

(2)スタッフが使用済みの椅子を撤去

  この際嘘の音も立ててプレイヤーを攪乱

(3)プレイヤー移動

  移動中は目を閉じ、スタッフが手を引いて誘導

  移動後は目を開けてよいが、まだ立ったまま

(4)ドボン判定

  スタッフがドボンした列の椅子を撤去

  この際嘘の音も立ててプレイヤーを攪乱

(5)プレイヤー着席

  ただしドボンしたプレイヤーは立ったまま

(6)勝者判定

  勝者が現れなければ次のターンへ

=======================



 移動中、プレイヤーは目を閉じさせられる。折り返し以降は後ろへ移動するが後ろを見てなならないからだ。スタッフに手を引かれながら安治は、変な所で考えが行き届いているなと感心した。


 そうして移動を終え、司会に促されて目を開ける安治。隣には仏井もいた。これまでも横並びだったのだ。変な事ではない。にもかかわらず思わず目を合わせる2人。



(マジかよ……)



 彼らのいる9列目には、椅子が1つも無かった。


 仏井・安治、1回目のドボンである。



=======================

4ターン目終了時(安治視点)


※□:残りの椅子

 ?:状況不明

 (名前+ターン数):プレイヤー位置 (着席)

 【名前+ターン数】:プレイヤー位置 (ドボン)


スタート(ゴール):????

1列目 : ??

2列目 : ??

3列目 : ??

4列目 :(仏井1)(安治1)

5列目 : ??

6列目 : ??

7列目 : ??

8列目 :(仏井2)(安治2)

9列目 :【仏井4】【安治4】

10列目 : □□

11列目 : □□

折り返し:(仏井3)(安治3)(引鳥4)(静道4)

=======================

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