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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

駆動系異音

作者: るぅ

読み切り超短編小説です。

浮気表現があります。

鬱っぽい表現があります。

(上2つがあるため念の為に年齢制限かけてます。)

言い回しがくどいです。


以上が良ければ閲覧どうぞ。

某日、繁華街。とても賑やかな異色のネオンライトを窓辺から見下ろす。なんだか目にも体にも悪そうなその光は見つめているだけなら全くと言っていいほどに害は無い。

蔦の張った建物の四階、部屋内は白と黒でインテリアカラーが統一され趣味の悪い金色のクッションがソファーに置かれている。そして少し大きなベッドが1つ。奥のシャワールームからはザラザラと水が遊ぶ音がする。

「ここから飛び降りたらどうなるのかしら」

ふとそんな疑問を口にした。想像すればわかることなのだ。私が5人縦に並ぶほどしかないこの建物でも落ちれば大きな力が私を包むだろう。痛みと血溜まりで私をじんわりと包んでいくのだ。何故そんな分かりきったことを考えるのか、それはおそらく懺悔の気持ちからなのだろう。信頼してくれている人がいるのにそれを無碍にも払い下げ今がある。かれこれもう数ヶ月、おそらくもう察されているのだろう。だが、それでも構わない。齧り掛けは許されない悪魔の実に手を出してしまったのだから。ぼぅっと繁華街を眺めているとふとシャワールームで水の遊ぶ音が止まり、窓から視線を外す。しばらくしてシャワールームの扉が開く音がした。その瞬間、シャワールームから出てきたその人と目が合う。その人はひたと動きを止めたが、ニコリと微笑みベッドの上に上裸のまま座る。まだ濡れている彼の髪は艶々としている。そんな彼に先ほど使ってきたであろうシャンプーの薄い香りが感じるほどの距離まで近付いて擦り寄った。

「待たせちゃってごめんね、そろそろ始めようか」

彼は優しい手付きで私の頭を撫でてくれる。その優しさに目を細めて猫のように甘えながら抱きつく。正面から抱きついた先では私の右胸で私のではない心臓は拍動しているのを感じた。規則正しく、彼の心臓は動いていて、生きてもがいている。一方で私の左胸で私の心臓が拍動しているが、この拍動は彼の拍動のように美しく感じることはなく、寧ろ生に執着していて卑しく感じてしまう。聴こえるたびにこの音は消えてなくなればいいのにと思うほどに卑しく感じる。まるで何を捨てても息をしたがっているようで嫌なのだ。もう生きてはいたくないのだ。でも死ぬのは怖い。矛盾ばかり抱えているから本当は尊いはずの音すら卑しく聴こえるのだ。

一人でいればその音は常に感じるが、誰かが私を抱いて包んでくれれば相手の音でかき消され、卑しい音は尊い音に変わる。私は孤独は嫌なのだ。だから今日も私は誰かを求めて悪魔の実を齧り続ける。食べ終わって満足することないとわかっていても食べ続ける。いずれ満足するその時まで。それはきっと楽しいこの日々も見失って捨てることになる道だとしても、私の卑しい音が鳴り止むまで齧り続けるのだ。埋まらない隙間は無理にでも埋めなければ崩れていってしまうのだ。今日も彼に言う

「はじめよっか」

お読み頂きありがとうございました。

皆さんの生きる意味はなんですか?

作者の生きる意味は冷蔵庫にあるプリンを毎日美味しく食べることです。

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