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(三)-3
立木君は力なくそう言った。それはハッピーエンドではないか。それがどうやったら、屋上から飛び降りることにつながるのか。
「でも俺さ、その後、彼女に聞いたんだ。どうしても確かめたくて……。あの日、男とラブホテルに行ったのか、って。あと、ネット上の画像のことも……」
なんてことを……。私は言葉が見つからなくて、「それで……」と続きを話すよう立木君に促すことしかできなかった。
立木君の方を見ると、彼の目からは大粒の涙が次々の流れ落ちていた。
「そうしたら、彼女、いきなりフェンスをよじ登って、『ごめんなさい』って言って、飛び降りてしまったんだ」
(続く)