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(二)-8
私は耳を疑った。加奈江がそんなことするはずがない。ギャルとかビッチとかでもなく、男遊びをしていることもない子だった。それどころか、立木君に一方的に恋心を抱いていたけど、それをずっと言うことができないでいたのだ。スカートだって校則の規定より長めだし、眼鏡は縁の太い黒いものだった。これも校則に則ったものだった。部活の帰りに買い食いだってしたことがなかった。そんな子が一体どうしたら援助交際なんてするのだろうか。
きっと誰かの口からひょいっと出た、いい加減なでまかせだ。
(続く)