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http:寿命買わせていただきます 29 《頑張る人と頑張れない人①》

「ねぇ、モルテ」


暗闇の中でワルキューレPCを見ているモルテにあんなが声をかける。

「ん?」

「頑張っても無理な事ってあるけど、それでも頑張って、頑張ってやっぱり無理なのって運命?」

「お前と運命について語り合う時間は俺にとって有益か?」

「そっか・・・そうだよね、無駄だよね」

「今日は諦めが良いな」


「頑張っても無理なことがあることは、アイドルになりたかった私は理解しているつもりだから。

努力は必ず報われるなんて言う人いるけど必ずではない。

報われなかった人間に、報われた人間は努力が足りないって言うんだろうけど、必ずとか絶対とか言う人間は信用できない」


「お前は思い描くアイドルにはなれなかったかもしれないけれど、充分有名にはなれたな」

「若くして事故死したアイドルって?、有名になりたいと思う事とと人気者、アイドルになりたいは違うね。

私はアイドルになりたかっただけで、有名になりたかったわけじゃないのに」

「じゃあ、お前の夢は叶っていたんだな。

お前はちゃんとアイドルだったんだろ?

努力は報われていたんだよ。

それが地下であってもな。

願いが叶ったら、神様が叶えてくれたと思い、叶わなかったら神様はいなかったと思うのか?、自分の努力が足りなかったと思うのか?、信仰心の強い人間は叶わなかった時に信仰心が弱かった悪いのは自分だと思ってしまうのなら自分の努力はどこで評価されるんだ?と思うこともあるしな。

俺は今、お前と無益な会話をしているのかもしれないな」


「地下アイドルとは言っても、地上アイドルとは言わない」


珍しくモルテの優しい言葉にあんなは少しだけ顔を赤らめた。


********


もう、頑張れません。

私の寿命を買ってください


高木たかぎさな22歳



********


頑張っているけど無理なんでしょうか?

寿命を買うならわかるんですよね?

どれくらいの寿命が私に残っているのか教えてください。


前原まえはら紗菜さな23歳


********


ほぼ、同時に年齢も近い女性からのメールが届いた。


頑張ることをやめたい人と頑張っているけれど望む結果が出てない2人のさな。

同年代の2人の「頑張る」の意味が気になったモルテは、時間差でワルキューレのチャットルームを解放した。



高木たかぎさなには


本日の24時、サイトにリンクされているライブチャットルーム99に入室してください。

入室キーは@death


前原まえはら紗菜さなには


本日の25時、サイトにリンクされているライブチャットルーム99に入室してください。

入室キーは@death



24時、初対面で可愛いとは言い難いぽっちゃりした容姿の女性が画面に映し出された。


「あなたが寿命を買ってくれるの?」

「条件が合えばな」

「条件って?」

「条件は私がお前の命を欲しいと思うかどうかだけだ」

「っで、見てどうなの?、私の命をあなたは買うの?」


高木たかぎさな22歳

残りの寿命59年、時給25円、命の値段、おおよそ1,300万

アイドル志望、事務所等には所属はしていないし、地下アイドルとしても活動はしていない。

かなりの加工をした自撮り写真をSNSにアップしている程度

フォロワーも多くないし、たまに入るコメントは嬉しいものばかりではなくコメント欄は閉じている。


「っで、お前は何を頑張って、なにに疲れた?」

「アイドルになるために、オーデション受けまくって、SNSでも頑張って自分をアピールしてるけど、オーディションは受からないし、フォロワーは増えないし」

「外に向かってではない自分自身のために頑張っている事は?」

「レッスンとか言う事?」

「自分を磨く事」

「必要ないからしてない」

「なぜ、必要ないと言い切れる?、頑張る事にも種類があるんだと心底思う」

「なに?私がアイドルになれるわけないとか、頑張ってないと言いたいの?」

「お前の身長や体重を測るための計測器はあるけれど、量れないのは自分の中に存在するいくつもの器だ」

「器?」

「喜怒哀楽、それ以外にもいくつにも器がある。

努力もその中の一つ。

その器の大きさはみんな同じではない。

どの程度入ったら溢れだすのか?、あるいはひびが入るのか?、そして壊れてしまうのかには個人差がある。

その差が自分と違うと人はその人を認められずに批判する。

お前の頑張る器はかなり小さいのだと思っただけだ」

「ひどいこと言われているのだけはよくわかるし、私の怒りの器が小さいのもわかった」


「私もわかった。

お前の命は私にとって魅力的ではないことがな。

お前は有名になりたいのか?アイドルになりたいのか?」


「私はアイドルになって有名になりたい」


「そうか、良かったよ。

アイドルになりたいとだけ言われたら、お前には無理だとしか言えなかったが、有名になりたいのなら、他にもお前の夢が叶う道はあるだろう。

どんなに願っても叶わない事はある。

そして、どんなに努力をしても叶えられない事もある。

ただ、努力は報われなくて無駄ではない事だけは覚えておくと良い。

長い時間立ち止まって悩んでいるほど、人間の寿命は長くない。

次の約束があるから、私はこれで失礼する」

「話が途中でしょ?、私の命は」

「買わない、いや、いらない。

ただ、まぁ、このまま、待ってろ」


ワルキューレのさなの画面が暗くなり、数秒後にスマホ画面には自分以外の女性が映し出された。



続く















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