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http:寿命買わせていただきます 16《劣等死神と優等死神①》

「ハーデス!」


モルテの部屋にモルテとは別の黒いマントの死神が姿をあらわした。

身長はモルテより少し低く、体形はさらに細い。

瞳は赤く鋭い。


「この死神がハーデス?」

「ん?、誰?こいつ、モルテ、助手でも雇った?、そりぁ必要ないよなぁ、一人で十分処理できる数の仕事しかしないんだし」

あんなを凝視するハーデス

「ふ~ん、まもなくの天界の迎え待ちか、まあ良い」

「何しに来た?」

「お前が俺の昇進を知ってイライラしている顔を見に来た」

「そりゃあどうも、でも期待には応えられない。

イライラしているとしたらお前の昇進ではなくお前の所業だ!」

「所業?、飛行機事故の事か?、俺だってわかった?、まずはパイロットをグサッと、あとは簡単だったけどな。

モルテもやればいい、飛行機はすぐに寿命が集められて昇進できる」

「まだ、寿命の残っている人間を簡単に殺してもか?」

「なんか勘違いしてないか?、俺たちの仕事は死神、命を奪うことに躊躇したり遠慮することは無い」

「死神としてのモラルは?」

「モラル?、お前はいつまでも人間が抜けないんだな。

そんなんじゃ、いつまでたっても回収するだけの死神だ」

「本来の死神の仕事は回収だけだよ。

やり方が汚い命の回収は死神であっても断罪されるべきだ!」

「ほぉ、そうだな、確かにやり方が極端で残忍なのは認める。

でも、結局はこの業界ではたくさんの寿命を集める死神が良しとされる。

それを罪としたいのなら、方法は一つしかない。

飛行機に搭乗していた人間が私の姿を見た証言だけだ。

でも、それは無理だ。

俺は一つ残らず命を回収したから。

じゃましたな。

やっぱり、俺とお前は共感することは今後も出来ないだろう。

この世界にいるのなら、もう少しこの世界のことを勉強したほうが良いぞ。

これは助言だ。

じゃあ、上司に呼ばれているのでこの辺で失礼する」


ハーデスはマントを翻し、灰色の煙をまとうようにして消えた。


「モルテなんであんなやつに人の命を簡単に奪える力を与えるの?」

「死神だからな」

「あいつの言っていた罪をとえる唯一の方法って?」

「無理だよ、ハーデスはミスを犯すような人間じゃない」

「人間?」

「ああ、人間じゃないな死神だ」

「そうだよ、元は人間、ミスだって犯すよ。

調べる価値はないの?」


モルテはワルキューレPCに向かい飛行機事故の被害者名簿を見ている。


寿命0が並ぶ。


「全員死んでるか・・・・」


ピッピッ


「モルテ!、見てこの人の寿命、0だったのに増えてるよ」

「なに?、息を吹き返したのか?」

「でも、27時間だけ・・・」

「27時間か、重体だな、話すことも無理だろうな」

「その生きてる人間がどうしたら?」

「死神の存在を見たことを命のあるうちに証言出来たら・・・、ハーデスはあんな性格だ。

全員殺すつもりで、姿を見せているかもしれない。

それだけがあいつの罪を問える唯一の方法だ」

「その人の所に行ってみようよ」

「無駄だと思うけどな」


あんなはモルテの腕をつかみモルテをまっすぐに見つめた。

「ねぇ行ってみようよ。最後のお願い、まりの仇を討たせて」


「また仇討ちか・・・可能性は低いぞ」

「私は死ぬ前にモルテに会うことが出来て、死んでからもお母さんと和解できた。

私の事わかっているかはわからないけど。

うん、だから私は運がいいのよ、だから大丈夫」

「死んでるのに運が良いか?、ポジティブすぎるな。

まぁ、無駄足になるだろうけど行ってみよう。

あいつが気が付く前に行くぞ。

ハーデスは上司に呼ばれていると言ってた。

しばらくはワルキューレを見ることは出来ないから今がチャンスだ。

あいつが搭乗客の命の灯に気が付いたら、唯一の光さえも消える」


===

ICU、いろんな器具が付けられて生死をさまよう男性。


あんなは必死に呼びかけている

「意識戻らない・・・モルテもなにか声をかけてみて」

「無駄だ」

「死神の仕事は奪う事だけなのね」


その時、男性の瞼が動く


「あっ、死神に反応した?」

「お前、死神を見たのか?」


またピクッと瞼が反応する


「これでは証言したことにはならない」

「意識は戻せない?」

「意識が戻るまでに時間がかかればハーデスが気が付く、この状態から意識が戻ることは、たぶん、無い」

「せっかく見つけた光なのに消えるのを待つしかないの?」

「移行する・・・か」

「移行?」


モルテはベットの横に椅子を持ってきて座ると両手を軽く上に向けると、ワルキューレPCが現れた。


苦しむ患者の上でワルキューレを操作している


「なにするの?」

「最近集めて報告していない寿命を圧縮している。よし出来た」


患者の手元にワルキューレを置き、その画面には契約書が置いてある。


患者の耳元でモルテが何かをささやくと、かすかに自分の意志で手が動き画面に触り契約は結ばれた。


重体だった男性の目が開いた。

「3日の健康な日を差し上げる代わりに約束のお話をしてもらいます。

健康なは言い過ぎですね。

意識を戻し会話ができる3日間です」


男性は機内で死神の姿を見たことを証言した。


その映像が死神界に届き、ハーデスの昇進は見送られ、厳重注意を受けた。


不正を暴くためとはいえ、集めた寿命を勝手に使った事でモルテも厳重注意を受けた。


===


一時体調が改善した男性

彼のベットの周りには喜ぶ家族の姿。


人間や動物が死の前にまれに数日間元気な日があることがある。

その元気になる数日を、神様の贈り物だとか、人生のおまけの時間などと言われることがある。


しかし、この男性の3日間は神様の贈り物ではなく、死神によるものだと考える人間は皆無である。




つづく












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