http:寿命買わせていただきます 15《劣等死神と優等死神①》
その日はあんなの49日最後の日だった。
「母親の所に行かなくていのか?」
「行ってきたよ」
「そっか」
その後はしばらく二人は座ったまま話すこともなくディスプレイを見ていた。
「モルテ・・・」
「ん?・・」
その時、ワルキューレPCに死神界のニュースがポップアップしてきた。
※ハーデス、最速にて昇進!
「ハーデス?、いくらなんでも早すぎるだろう?」
普通のPCにも同時にニュース速報が流れた。
”飛行機事故発生、多数の死傷者が出ている模様”
モルテはワルキューレPCに日時を打ち込み事故の詳細と飛行機の乗客名簿を引き出した。
一覧で流れて行く顔写真と名前。
「えっ、まり!?」
あんなは叫んだあと青ざめ口を押えた。
「知り合いか?」
「友達・・・まりは無事なの?」
モルテはそのあんなの友達の詳細を調べる。
川口満里奈20歳
寿命、残り64年
「64年?」
ただ、その寿命は見ている間に減っていく。
64,63,62・・・・・4.3.2.1.0
「なに?これ?、どうして減っていくの?、まり、死んじゃったの?、どうして?、だって64年あったじゃない」
モルテはこぶしを握って両手をデスクにたたきつけた。
「ハーデスか・・・・」
===
20分前、飛行機の中にハーデスはいた。
満面の笑みで、大きな鎌を振り下ろす。
まずはコックピットの機長、副機長
「さよならぁ~」
墜落していく機内は叫び声で溢れ、シートベルトを外していた乗客が壁や椅子に身体をぶつけている。
ハーデスはその中を水中バレエの様にくるくると回り、乗客に鎌を自在に振り下ろしていく。
「なにあれ?」
「死神?」
機内で何人もの乗客がハーデスの姿を見たが、そべてそのハーデスの鎌で寿命を絶たれた。
===
「そのハーデスって死神が事故を起こしてたくさんの人間を殺したの?」
「たぶん・・・あいつならやりかねない」
「死神ってそんなに簡単に人の命を奪っていいの!?」
「良いのかどうかは別として、残念ながら、それを出来る力は与えられている。
天災は私達の力では起こすことが出来ないけれど、事故は起こせるから。
原因不明の事故の場合、死神がかかわっていることも多い」
「まさか、さっき、昇進って、昇進がしたくて事故を起こしたの?」
「だろうな・・・」
「モルテの力でどうにかできないの?」
「無理だ、俺には時間を戻す力はない」
「もっと偉い人なら?」
「管理職の死神にとってどんな死に方をしても、誰の寿命でも犯罪者でも有名人でも同じものだよ。
寿命をたくさん集めてきた死神は優秀な死神。
でも、死神だって元は人間だ。
安易に人の命を奪っていいものだとは思ってはいないはずだ。
好き勝手に誰の命も簡単に奪っているわけじゃない!
一部の死神を除いて」
「その一部がハーデスってやつ?、そいつは死神じゃない!悪魔よ!」
「ごもっとも・・・・」
「まりは・・・死神が殺したから事故で、怪我で痛い思いはしなかったの?」
「そうだな・・・」
「そう、それだけは良かったよ
死神の世界はそのハーデスを昇進させ、権限を与えちゃうんだ。
モルテのような死神なら死神になっても良いと思っていたけど、
そのハーデスの下になるなら死神なんてごめんだ」
「俺だって誰かの寿命を奪う事はある。
あんなには死神は向かない」
「モルテはいつも誰かの事考えて出してる決断だった。
そんなサラリーマンみたいに昇格したくて頑張らなきゃならない世界なら人間やめてまでやりたかないわ」
「そうだな・・・、俺もハーデスに言いたいことはある」
「それは昇進祝いの言葉ですか?、同期の落ちこぼれのモルテくん」
「ハーデス!」
つづく




