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華麗に捌いてます

本編はここで終了です

私とアイレンルーガ殿下はシセリド陛下の戴冠式に参列し、そしてその夜に開かれたお祝いの会に出席する予定だ。そしてその会場で…私はある者から目が離せないでいた。


「…アイレンルーガ殿下」


「…なんだ?」


「あの、小柄でド派手な化粧のアノ…アノ…」


「フローア、目を合わせるな!…襲って来るぞ」


魔獣扱いかいっ!…と心の中で叫んでから、ド派手な…あのマリア=リルワンド伯爵令嬢を見詰めた。公子殿下を狙っちゃうもんね!発言から察するに、本日の夜会も絶対参加してくるだろうとは踏んでいたのだが…今日も化粧が濃いなぁ。


ライフェルーガ様は大丈夫かな…アイレンルーガ殿下の隣にいるライフェルーガ様を見ると若干、顔を引きつらせてはいるが、私の視線に気が付いたのかこちらを見て、何度も頷いている。


そうだ…いざとなったら、ピソア中佐を盾にすればいいよ…


マリアは夜会会場に入って来ると、すぐにアイレンルーガ殿下に気が付いてこちらを見たが、その横にいるライフェルーガ様を見て驚愕している。


「何で驚いているんだ?」


「さあ…」


アイレンルーガ殿下がそう聞いて来るが、私に聞かれても困るけど…本当に何故驚いてるんだろう?


私は私達の斜め後ろにいるピソア中佐に顔を向けた。


「中佐…ピソア中佐!」


「はいはい、何でしょうかねぇ~」


緊張感の無いお返事を返してくれるピソア中佐に近付いて囁いた。


「何かあったら、ライフェルーガ様をお守りして下さいね」


ピソア中佐は、あ~と気の無い返事を返しながら…マリアの方を見ている。


「いや…案外大丈夫じゃないかなぁ~」


「なっ…何を吞気な…あの大暴れマリア…」


と叫びかけた私の声に重なるように、大公陛下のご入場です!との声が上がったので、慌てて淑女の礼をした。


何が案外大丈夫なのよっ!ピソア中佐だってヒルズ少佐の、間接的なパンプス殴打事件を見ているでしょう!もうっ…いざとなったらマリアの方にヒルズ少佐を解き放っておきましょう。戦闘力はゼロでもヒルズ少佐が睨みつけて眼圧だけで威嚇してくれるはず…


会場に入られたシセリド陛下の祝賀の会のご挨拶を聞き終えて、私は気合いを入れて顔を上げて……何故ピソア中佐が大丈夫なんじゃね?と言ったのか…理由が分かった。


顔を上げた先、ライフェルーガ様の周りには……すでにビアンレア公国のご令嬢方がひしめいていた。ええ…もうびっしりと二重三重の囲いになってライフェルーガ様を取り囲んでいた。


「……」


唖然とする私の後ろに立ったピソア中佐が囁いた。


「ほ~らな、俺達が護るより鉄壁の防御だろ?」


まさに自然の要塞…違った、淑女の絶対障壁が立ちはだかり…ここからマリアの姿を捜そうにも小柄な彼女の姿は全然見えない。そもそもここに近付こうとしているのかな…私なら人垣を見て諦めるけど。


ライフェルーガ様はビアンレア公国でも継承権持ちの王族、そしてワイリアーリアリドル王国でも元王族…生まれは超一級品だ。そして美形だし…まあ性格は俺様気質ではあるが、今は反省して少しは丸くなっているようだし…優良物件なのは間違いない。


「ライフェルーガ…大丈夫かな」


「本当ですわね…」


群がる令嬢の中、アタフタして見えるライフェルーガ様には、今度は別の心配も出てきている気もするが、取り敢えずはマリアからパンプスを投げつけられたりは距離的にもなさそうだし、それはそれで安心か。おまけによくよくライフェルーガ様の足元を見れば、ちょこまかと動く小さな令嬢が二人いるのが見えた。


「あれぇ?公女殿下じゃ…」


と、私が気が付いたようにライフェルーガ様もご自分の足元に近付いて来た、幼女殿下二人に気が付いたみたいだ。


ライフェルーガ様は笑いながら両殿下を抱き抱えて、人混みの中から掬い上げていた。


「こらっ危ないですよ?」


「きゃあ!」


可愛らしい歓声を上げて、公女殿下は堂々とライフェルーガ様にしがみ付いている。そしてこちらからは幼い二人の表情は見えないけど、何となく群がる令嬢達に


「ほ~ら御覧なさい?私の美しい従兄弟は私達のモ・ノ・よ!」


と、不敵に笑って見せているような気がする。何故かと言うと、私の方から見えるご令嬢方の表情が悔し気であったり、羨ましそうであったり…嫉妬を滲ませていたり…と、そんな感じだからだ。


生まれた時から女は、女の武器を使っている…誰かが言ってたっけ?


「…っと……と…し…通しなさいよっ…私はライフェルーガ…ちょっと…」


ああやっとマリアを見付けた……頑張っているなぁ。人垣の向こう側からマリアの金切り声が上がっている。そして…その人垣を避けて、丸っこい三兄弟の下の二兄弟、公子殿下達が笑顔で私達の方に近付いて来るのが見えた。


「うちの甥っ子人気だね~」


「確かにライフェルーガは美形だしね~」


叔父様達はそう言って、令嬢達に囲まれているライフェルーガ様を見ている。ライフェルーガ様は笑顔で腕に抱いている公女殿下二人に


「ホラ、お父様がいらしたよ?」


と聞いている。


「お父様よりライフェルーガお兄様がいいの!」


「お兄様の抱っこがいいの!」


「うそぉ?!あれが公子殿下?!」


………ん?


丁度、令嬢達の歓声と公女殿下二人の声に被せて何か叫び声のようなものが聞こえたけど…?


令嬢方にもその声が聞こえた人がいるようで、少しざわついている。


皆が言葉を発した先にいる令嬢…マリア=リルワンド伯爵令嬢を顧みた。やっぱりマリアは驚いて、指まで差してしまっている。


「うそっ…うそよ…そんな…」


マリアは最初は叫んでいたが段々ブツブツとした言葉に変えて…くるりと向きを変えて会場から出て行ってしまった。その後を取り巻きっぽい男の人達が追いかけて行った。


なんなの、アレ?


マリア退場後、恙なく夜会は続けられて最早、ライフェルーガ様のお披露目会?の様相を呈していた会は無事に終了した。


その後、暫くアイレンルーガ殿下もマリアの襲撃?を警戒していたが、結局帰国する日になっても彼女が現れることはなかった。


その状況を見てピソア中佐が


「もしかしてさ~ビアンレア公国の公子殿下のご年齢とか…その他諸々を調べもしないで、公子殿下が~とか騒いでたんじゃないの?」


と言っていたので、そう言えばそうかも?と思ってきたのだ。私も前情報を知らないで王子様と聞いただけで、金髪碧眼のキラキラと思い浮かべてしまうし…まあこれは異世界人だからかもだけど、それにしてもマリアもつくづく馬鹿だよね~と思った。


ライフェルーガ様が一緒に…と言った時に手を取っていれば良かったのにね。


ライフェルーガ様はビアンレア公国で継承権をもった王族に迎え入れてもらったし、更に伯爵位も拝して外交官として働き口も確保。


城の離れにセリナージャ様とヌクヌクと生活して生活費の心配なし。優良物件だよね…ホント馬鹿だ。


°˖✧ ✧˖°°˖✧ ✧˖°


婚約の儀まで後、数日なのだけど私は事務官としてまだ働いている。アイレンルーガ殿下は先日、立太子の儀に臨んで、王太子殿下になられた。自動的に私も次期、王太子妃になるわけだ。


王太子の執務室の隣の部屋に、私の執務室が設置されているのだが、私はその両方の部屋を行き来している。私の執務室には外務省から引き抜いたガラムさんと他二名の女性事務官がいる。


アイレンルーガ殿下とは部屋が別れて政務をしているのだが、いつの間にかどちらの部屋でも同じことをしている感じになり…今では皆は掛け持ちで王太子と王太子妃の政務を手伝っている。


私が王太子妃か実感湧かないな…とフィナンシェっぽいお菓子をお箸で摘まんで食べながら、本日は婚姻の儀の予算のチェックをしている。前は手掴みでお菓子を食べて書類を脂でベタベタにして、ガラムさん怒られたので、「箸」を自作してそれで摘まんで食べている。


お箸は良いね、小さな焼き菓子もヒョイと摘まめるしね。


モグモグ…


「いつまで食べてるんですか?試算は出来ました?」


またガラムさんが鋭い目で私の手元を見ている…まだヒルズ少佐の方が優しかったな。ガラムさんは容赦なしだもん…ああ隣の執務室に帰りたい。


「アイレンルーガ殿下は不在ですよ…」


ガラムさんに先手を打たれて釘を刺された…早くお昼にならないかな。


甘さ補完の為に番外編的な何かを掲載予定です^^スパダリの出番だぁ!

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― 新着の感想 ―
[一言] >まあこれは異世界人だからかもだけど その異世界こと現世も今は良いお年頃の王子様はほぼ居ないはず、30代既婚かその子供か 王国も減ってるし 現実は厳しい
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