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丸っこいですね

終わる終わる詐欺になりそうです…予定よりもう少し完結が先になりそうです

宜しくお願いします

アイレンルーガ殿下の強いご希望により、ビアンレア公国に発つ前に、私と殿下は正式な婚約を交わし、大々的に発表をした。その間も私は事務官として仕事をしている。


不思議と周りのみんなは、私がアイレンルーガ殿下の婚約者になったことにお祝いは言ってくれるけど、私に対して変に構えたりせずにいつもどおりだった。


正直、拍子抜けだった。


だが私的には嬉しいお祝いを頂いた。昼のランチを普通料金で大盛りにしてくれるサービスが、妃特典?として私にだけつけられることになったのだ。私はその情報を知ると、お昼一番に食堂に駆け込んでランさんにお礼を述べていた。


こういう特別扱いは大歓迎だぁぁ!!


「ありがとうございますっランさん!」


「アーハハッ!そんなに喜んでくれるなんてねぇ〜ご婚姻へのお祝いさぁ!宝石やドレスより喜んでくれてるんじゃないかい?」


そう言って、食堂のおばちゃん…ランさんは豪快にシチューを特大ボウルに入れてくれた!ひゃほぅ!


「森の恵みゴロゴロの魔獣肉のシチュー大好きなんです〜」


私が歓喜の悲鳴をあげながら周りを見ると、アイレンルーガ殿下以下、軍人さん達は笑顔なんだけど…遠巻きで私を見ている。


「どうりでな…宝石やドレスを贈っても、心のこもっていない謝礼をしてくると思ってた……そうか食べ物か、ランに負けた…」


小声で何か呟いたアイレンルーガ殿下の周りをギナセ中尉とピソア中佐や軍人達が、取り囲んでいる。食堂の中で円陣組むのはやめなよ…暑苦しい。


「殿下しっかり!」


「城下町の菓子店の全商品を買い占めましょうよ!」


「そうだなっ!それが一番心に響く贈り物だな!」


「それよりも…魔獣を1頭丸ごと贈られては?」


「いいなっそれ!」


………漏れ聞こえてくる声から察するに、私に魔獣を一匹ドーンと、一応乙女の私に向かってドーンとプレゼントしてくれようと思ってるわけだ。血濡れの頭とか付いたままなのか?血がブシャーーッと吹き出していたらどうしよう。


別に宝石やドレスが嬉しくないことはないんだよ?あくまでドレスよりは食べ物の方が若干嬉しい…というだけだ、そう…若干だよ?


私はボウルに入ったシチューを口に運び入れながら、円陣を組んでいる将来の国王陛下を見詰めた。


アイレンルーガ殿下の婚姻が本決まりになったが、私の妃教育等は免除されることになった。既にライフェルーガ殿下の時にみっちりしごかれていたし…ということでビアンレア公国に出発ギリギリまで事務官として働くことになっている。


忙しいっちゃ忙しいけど…なんだか平和だな~


そして時間が過ぎ…


二ヶ月後、準備が整ったのでビアンレア公国へ出発する日がやって来た。


ライフェルーガ第二王子殿下は継承権を放棄して、無位となった。セリナージャ元妃は国王陛下と離縁が済み…大人しく公国行きを待っている。


それから大暴れしていたマリア=プーデ子爵令嬢は、すでに国外追放の刑が処されていた。これでも温情をかけられた…ということだ。公爵令嬢でもあり…妃殿下(候補)の私を暗殺しようとしたのだから処刑にされてもおかしくないと言われた。


ただ、貴族令嬢だから国外…市井に放逐されても無事に生きていくのは難しいと思う。


ライフェルーガ様はそれでも一緒に行かないか…と、マリア=プーデに声をかけたらしい。しかしマリアは王族になれないならいらない…と言ってしまったそうだ。


マリアも馬鹿だね…例えば外国に住んでいる知り合いがいたとして、そこに転がり込んで居候していても裕福な生活の保障はない。どこかの金持ちの後妻に入れる可能性や外国の貴族の息子…もしくは外国の王族に擦り寄るつもりなのかもしれないけど、そう上手くいくとは限らない。


まあ…あの子は悪運は強そうな感じだから、案外どこかの王族に潜り込めそうな気もする、あくまで気がするだけだ。


さて、ビアンレア公国への普段の移動手段だが、普通なら『転移陣』を使う。転移陣とは異世界風に言うとテレポート発生装置だ。この世界の動力源は魔力なので、魔力を使って国同士を行き来できる訳だが…今回はビアンレア公国と我が国との間に二ヶ国が跨っている為、まずは転移陣で国境沿いまで移動→入国そして転移陣を乗り継ぎ移動…という他国に王族が直接ビアンレア公国の王城に乗り込むことは出来ないとのことで、面倒だがそういう移動手段を取ることにした。


今…私達はその国境沿いの転移陣の待合室で起動を待っている訳なのだが、待っている間に眠気が襲って来ている。


眠い…そうだ、眠気覚ましに……


「……お嬢様、寝るのか食べるのか、どちらかにして下さいませ」


「んぁ?……え?」


メイドのミナの声に瞼を上げると、半眼で私を見詰めるミナと笑いを堪えたような顔をしてる、王城勤めのメイドのミレーヌが此方を見ていた。


「そんなに食い意地がはっていたら、アイレンルーガ殿下に嫌われてしまいますよ!」


子供の時から私の側付きをしているミナは容赦ない。


食い意地がはっているのは、もうずいぶんとさらけ出しているので今更だと思う……


転移陣の乗り場の待合室の中には私達しかいない。恐らくアイレンルーガ殿下がご使用になる為、一般人立ち入り禁止の規制でもかけているんだろう。


そのアイレンルーガ殿下は護衛のお兄様とピソア中佐とヒルズ少佐と三人で、待合室の外で雑談をしているみたいだ。


今回のビアンレア公国の訪問にはピソア中佐とヒルズ少佐が同行してくれるようだ。


行きたい…!と騒いでいたギナセ中尉は色々と煩いから…とアイレンルーガ殿下に留守を言いつけられていたのは可哀そうだったけどね…


さて…寝食べ?をしている間に転移陣の準備が出来たみたいなので、待合室から外に出てアイレンルーガ殿下の近くに立った。


「フローア、もっと近くにおいで」


ひぃぃ~皆、見てますよ?!


振り向いたアイレンルーガ殿下に手を差し出されてしまったので、プルプル震える自分の手を殿下の掌に乗せた。


周りから生温かい目で見られている!恥ずかしい…アイレンルーガ殿下は恥ずかしくないのか…あっそうかっ!公女殿下からの婚姻を避ける為のお芝居かな?仲良しアピールをここから見せつけておくという作戦かな?


私はそのお芝居に付き合う事にして、アイレンルーガ殿下の傍に近付いた。


うん?腰を掴まれたぞ?ううん?しかも何故、腰を撫でまわしているの?


やめて下さい!という懇願を籠めてアイレンルーガ殿を見上げて微笑んだ。アイレンルーガ殿下は微笑みを返してきた。


お互いに微笑みあっていると…後ろでピソア中佐の呟きが聞こえた。


「若いっていいなぁ…」


°˖✧ ✧˖°°˖✧ ✧˖°


そんな感じで私達はビアンレア公国に入国した。


移動中、セリナージャ様とライフェルーガ様にはアイレンルーガ殿下が付き添っていた。なんだかんだ言ってお兄ちゃん気質のアイレンルーガ殿下は面倒見がいいよね。


そうして国境の転移陣から城の近くの転移陣まで移動して城に入ったのだけれど…取り敢えず表門付近には幼女殿下っぽい姿は見えない。


私も緊張しているけれど、アイレンルーガ殿下も緊張しているのか…また私に近付いて来て腰を触っているのだが、その手から魔力が私に向かって垂れ流されている。


そうして城内に案内されて……公子殿下方とご対面したぁぁ!!!!……あれ?


セリナージャ様って割と童顔なんだけど…そのセリナージャ様の弟、シセリド第一公子殿下と思われる方以下、弟殿下方は…見た所その童顔が悪い作用を及ぼしているようだ。


中年太り?かなコロンと丸い体型に…えっ?三つ子なの?と思ってしまうほどの同じようなフォルム…アラサーからアラフォーの三兄弟は三人共、可愛い顔のTHEおじさん体型だった。


殿下と言えば…私の隣をご覧ください!こちらにアイレンルーガ殿下がおります!スラーーッと長い足、バサバサの長い睫毛、神が創りしこの世の最高傑作…って感じなのが一般的な『王子様』の想像図じゃない?


腐っても(失礼)殿下。30代でも殿下は殿下だった……現実ってこんなものなのか。


アイレンルーガ殿下と宰相閣下が我が国代表で、丸っこいおじさま殿下達とお話をされているので、私は大人しく横に控えていた。


そんな大人しく控えていた私を誰かが見詰めている。魔力が私に突き刺さってくるのだ。方向的に丸っこい殿下達の後ろからだが、チラッと見た時に丸っこいフォルムの……女の子と目が合った。


体型も顔もそっくりの、丸っこい公女殿下が私を睨んでいた。

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― 新着の感想 ―
[一言] まあ現在のイギリスは高齢の女王が現役だからチャールズ王子には孫まで居るしね なにも王子だからといってキラキラピカピカとは限らないよね
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