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婚約破棄からヘッドハンティング?

思いつきで連載を始めました。スパダリ殿下に癒される女子最高!のんびりと掲載予定です。

誰だって傷付きたくない。それでも傷付けられてしまうこともある。逃れようと傷を負わないように…と気を付けていても相手から傷つけられてしまったら避けられない。


私は泣いた…ひとり、声を殺して泣いて…泣いて…そして諦めた。まだ顔を見れば悲しいが、無表情の仮面を被り、傷を負わせた男と対峙していた。


「フローア嬢、私は君との婚約を破棄をする」


「……そうでございますか」


それしか言えない。色々とシミュレーションしていたが、やはり私は動揺していたのか平凡で普通の返ししか出来なかった。意外とこんなものか…


私に婚約破棄を申しつけたこの国の第二王子のライフェルーガ殿下を見る。この人もそれなりに綺麗な人だな…と思う。綺麗だけれど…王族としてはダメだとも思う。自分の立場、これからの事本当に何も分かっていない。


私は確認の為に聞いてみることにした。


「婚約破棄は…本日をもって…ということでしょうか?私の王子妃の政務もそのままにしておいても構わないという事でしょうか?」


ライフェルーガ殿下は少し鼻で笑った。今、笑うとこだったか?


「ああ…構わない」


私はまだ婚約段階なのに既に王子妃の政務をこなしていた。本当…この一年が無駄だったと言わざるを得ない。私は、意を決してドレスの内ポケットの中から紙を取り出した。


「であれば、殿下…こちらの魔術誓約書に署名をお願い致します」


ライフェルーガ殿下は眉間に皺を寄せて、紙を手に取った。


「『ライフェルーガ=カレシオンはフローア=ゼルベデシに関わることを禁ずる』これは…何だ?…まあいいか、もう君に会うことも無いだろうしな。この誓約書に書き加えてくれないか?フローアがマリアに接触することを禁ずると…いいだろう?そうでもしないと君は()()マリアを苛めるだろ?」


「……」


一瞬、顔が歪みそうなほど頬に力が入ったが…何とか堪えた。


苛めるだって?マリアがご令嬢方に挨拶していなかったのを注意しただけで苛めになるなら、他の高位貴族の方も苛めていることになるでしょ?ライフェルーガ殿下の大好きなマリアちゃんは本当に馬鹿で生意気な子爵令嬢だから、注意しても直らない性格だったからね?私以外の令嬢方からも本当に嫌われていたけどね。


もう…どうでもいいか。


私は『マリア=プーデに関わること禁ずる』と書いた書面に署名を入れてライフェルーガ殿下に渡して、殿下に署名してもらった。魔術印が輝いている。


これで終わったか…


「では御前、失礼致します」


カーテシーをして立ち上がると、ガゼボから離れた。


「ふぅ…」


気を抜けば顔の仮面がはがれてしまいそうだ。その時、私の前に人が立った。先程までいなかったので…急に現れたということは魔術使いだ…そして城の裏庭に堂々と現れることの出来るのは…


「アイレンルーガ殿下」


顔を上げると…背の高い威風堂々とした第一王子殿下が立っていた。相変わらずの美丈夫様だ…アイレンルーガ殿下は第一王子殿下だが継承権は第二位だ。


彼のお母様は侯爵家の出身なのだ。先程、婚約破棄を言いつけてきた第二王子のライフェルーガ殿下のお母様は他国の王女殿下で今は国王妃だ。


今はというのは…先に結婚していた侯爵家のご令嬢を押し退けて、他国の王女殿下が後釜に座り…そして権力を揮っているという訳なのだ。


因みに侯爵家のご出身の元国王妃はまだご健在で…私の母の親友なのだ。今はのんびりバツイチ生活を満喫している。


はい、この言葉を考えていることでお分かりでしょうが私、元異世界人です。


だからかな…婚約破棄ね、ハイハイ…とも思うし、自由恋愛ね~ハイハイとも思う。


でもね


王族というか責任ある立場の人はそれは難しいと思うんだ。いくら綺麗事を言っても我慢しなきゃならないことがある。それは立場が違えど大なり小なりあることだ。


ライフェルーガ殿下はそれを分かっていない。嫌なことから逃れて生きられない血筋に生まれてしまったのだから、腹を括らねばならない。


「おーい大丈夫か?」


物思いから意識を浮上させると、目の前に立つ美丈夫の第一王子殿下アイレンルーガ殿下を見上げた。私は殿下に微笑んで見せた。


「殿下、御助力感謝します。殿下にお手伝い頂いた魔術誓約書…本当に助かりました」


私がそう言うとアイレンルーガ殿下は破顔した。本当にカッコイイ方だ。綺麗なのはライフェルーガ殿下だけど、この方は全身からカッコイイオーラ?が出ている。顔は綺麗というよりカッコイイ、精悍なんだよね。


「じゃあ…行こうか」


「…?はい」


何だろうか…アイレンルーガ殿下がそう言って手を差し出された。


どこに行くの…?エスコートされて城内に戻り、城の奥へと移動する。これ…プライベートエリア…王族の居住区に入ってるんじゃないの?


不安になりアイレンルーガ殿下をチラチラと見るが、その度に笑顔を返されるだけだ…


やがて、最奥のこぢんまりとした扉の前に辿り着いた。近衛の…団長がいらっしゃる?もしかして中におられるのって…近衛の団長と目が合うと優しく微笑まれた。


扉の中に入ると…やはり国王陛下がおられた。慌ててカーテシーをしてご挨拶をした。


「此度の事は令嬢には本当に申し訳無く思う。アイ…大丈夫か?」


国王陛下は私に言葉をかけて下さった後にアイレンルーガ殿下に確認されたけど…?どういうこと?国王陛下にもう婚約破棄をしたと話が伝わっているの?


あ、アイレンルーガ殿下に「円滑に婚約破棄をしたい」とご相談した時に、既に国王陛下に報告済みだったのね!


私はアイレンルーガ殿下に促されて、国王陛下と対面のソファに腰掛けた。


「フローアの渡した魔術誓約書に署名し、術は完璧に発動しています」


「そうか…」


何か…言葉の端々に引っ掛かりがある気もするけど…?


国王陛下が私を見た。


「フローア=ゼルベデシ公爵令嬢…急で申し訳ないのだが本日をもって、アイレンルーガ付きの事務官に任命する」


「へ?」


非常に不敬だが、ついうっかり変な声が出てしまった。国王陛下は意に介さず、ホラ、これが任命書だよ、と本当に御璽が押された証書を渡してこられた。


何度読み返してもフローア=ゼルベデシをアイレンルーガ付きの事務官に任命する、と書いてある。頭の中は??が浮かんでいる。


「詳しい話はアイレンルーガより聞くがいい」


と言って国王陛下の御前を失礼した私とアイレンルーガ殿下は、今もどこかへ移動中だ。


「歩きながら説明するね、君は婚約者になってから既に王子妃としての政務をおこなっているよね?」


「あ…はい」


「この一年弱位の間…主に外交関係の政務が上手くいっている」


「はあ…」


上手くいっていることが何だろう?


ライフェルーガ殿下の王子殿下のご公務は外交関係ばかりだ。それに付随する外交先の情報を集め殿下に資料として渡し、渡航先の宿や護衛や使用人のスケジュール管理…その他諸々を手配と手続きをしていただけだ。その残りは王子妃としての慰問活動と王子殿下のご領地への視察の同行等々…


元々、前の世で転職を何度か経験して事務職、営業職、人事…学生の頃は販売のバイトなどを経験していたから幅広く活かせる知識があるだけだ。


「君のお陰で内務省と外務省の事務官の仕事が大分楽だった…と聞かされた。お陰で俺の方も余裕が少し生まれた」


「はあ…」


よく分からない…ライフェルーガ殿下の政務が捗ると、アイレンルーガ殿下も助かるってどういうこと?


やがて…王城の敷地内にある軍の詰所にやって来た。入るのは初めてだ…


「一階の奥だよ」


え?廊下を突き進みアイレンルーガ殿下と共に辿り着いた部屋は、第一執務室と書かれている部屋だった。


「ここ俺の執務室」


「はあ…」


扉を開けると、軍服を着た方…共に20代くらい?のふたりが物凄い書類のタワーに埋もれていた。


なにこれ…


「殿下~明日決裁期限の書類が見つかりませんよ!」


「ああ…これ間に合わない…」


必死になって書類の山と格闘している軍の方…アイレンルーガ殿下は私を室内へと誘った。


「見ての通り、事務官の手が足りない。助けて欲しい」


本当に元王子妃候補で今、婚約破棄ホヤホヤの私が事務官ですか!?


ここでお詫びを…色々と他サイト様でもゴソゴソ活動していて、更新滞ってしまっております。まったり更新ですが気長にお付き合い下さいませ

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― 新着の感想 ―
[一言] 長子相続なり血統相続に拘るのなら周りは能力主義にしないと駄目だけど、それすら理解しないバカボンではねぇ 王妃ごと排除されるのかなぁ
[一言] 現王妃とライフェルーガ殿下は「この親にしてこの子あり」の典型みたいな親子なんですね。息子のライフェルーガ殿下の方はすでに第一話の段階で「我儘・考えなし・無能」の三拍子そろったクズ確定 (^^…
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