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最終回 そして、憎しみを乗り越えて

 僕たちは演説を終えると、一同に集まり祝杯をあげた。


 テーブルいっぱいに料理が並べられていて、どれも美味しそうだ。


 特にステーキとか最高だな。


「それいただき!」


 エリカはエルからステーキを強奪する。


「あー、返してくださいよ〜! うぅ、私のお肉……」


「では、これをあげよう!」


 そう言って、エリカはパセリを押し付ける。


 こいつ、なんて非道な。



「大丈夫よ、お姉ちゃんはお肉あまり食べないから、貰って」


 アルはエルの皿にステーキを配る。


「うぅ、ありがとうお姉ちゃん」


 それを見たツモイも寄る。


「私は少食ですので、よければどうぞ」


「えー、ありがとうございます!」


 エルの肉は結局エリカの総量を上回っていた。


 無欲なエルが強欲なエリカより得をするという、なんとも童話めいた結末に僕は思わず苦笑する。



「なんだか賑やかでいいね」


 リカンツちゃんは僕に寄り添う。


 その綺麗な髪を僕は撫でる。


「ああ、嫌いじゃないな。こういう賑やかなのも」



 僕はかつての生活から決別し、楽しい豊かな生活を手にした。


 実は、神とか魔王とかどでかく名乗ったが、これから特に何かする訳でもない。


 これが僕たちがそれなりに豪華に遊んで暮らすための真の作戦。


「本当にすんなり上手くいったなぁ。でかい風呂に毎日美味しい料理。世界中のテーブルゲームだって揃ってる。ロクト、お前は天才だなぁ!」


 僕はアベルの言葉に思わ照れくさくなる。


「やめろよ恥ずかしい。まあ、今回のは学園の評判が落ちてるから丁度運が良かったんだ。大陸をまとめる気のあるやつがいたら誰だって良かったのさ」


 そう、僕たちは肩書きこそ偉くなったが、実際の統治のシステムは今までと変わらない。


 これほど大きな大陸なのだ、そうそう一瞬にして統治の在り方が変わるわけがないのだ。


 やることと言えば、吟遊詩人を雇って各地に送り、神話と僕たちの存在を歌わせることくらいだろう。


 もっとも──。


「『天地創造』。行ってくれ、ゴーレムたち」


 僕は無限に何でも生成できるようになったので、吟遊詩人を雇うのもコストはかからないが。


 これからはこの領地でのどかに僕たちは君臨する。


 「追放剣士の改変無双~実家と仲間に追放された剣聖の息子は世界を改造する力に目覚め最強快適ライフを目論む~」


 リカンツちゃんは呪文のような何かを唐突に呟く。


「なんだそれ、最近流行りの小説か?」


 僕はリカンツちゃんに問う。


「ロクトくんの今回の戦いに命題をつけるのだったら、こうかなって」


 リカンツちゃんははにかむ。


「長いな、それ。ロクト戦記とかじゃダメなのか?」


「マーケティング戦略だよ、ロクトくん」


 僕はそういうものなのか、と渋々納得した。


「はは、なんだそりゃ。じゃあそのタイトルで体験記でも出版してみようかな。売れたらいいけど」


「いいね。帝都でロクトくんの物語が流通してたら、ちょっと面白いかも」


 面白い、ねえ。


 面白半分の企画ではあるが、僕は僕自身の物語を綴ってみようと思った。


 これを読んでくれた人が少しでも絶望に立ち向かう勇気を貰えたら、と。


 そんな気持ちを込めて、僕は物語を綴る。




──僕の物語はこれからも続いていく。


 穏やかな日常を、綴っていく。


 願わくば、こんな日々がずっと続きますように。



 僕は窓から外を眺める。


 満天の星空は、僕の生まれた日からずっと変わらず輝き続けている。


 なのだけれど、星は今日に限って一等輝いているように見えた。



「あ……」


 空に一条の流星が駆ける。


 今まで僕は流星を見た事がなかった。


 いや、見なかったのだろう。


 修羅の日々の中では気づけなかった小さな発見だ。


 僕はこれから、どんなものを発見するのだろう。


 未来は誰にも分からない。


 けれど不安はない。



──きっとそれは、明るく輝く未来なのだから。

今回で最終回です。


長々とここまで読んでくださってありがとうございます。


私ごとではございますが、激務により当分の間文字が書けなくなってしまいました。


ただし、きっと私は戻ってまいります。


心地よい1ヶ月でした。



たくさんの評価、感想をいただきました。



そこには色んな気持ちが込められていましたね。


当然辛口の意見も頂きました。


ですが、そんなこんなで読んでいただけて、作者冥利に尽きるというものです。


しかもわざわざこのあとがきを読んでくださっているそこの貴方、本当にありがとうね。



本作は一旦終わりを迎えますが、ロクトたちの物語は皆様の心の中で続いていきます。


最後にちょっとしたお願いです。


もしちよっとでも面白いと思われましたら、高評価、ブックマークをいただけると幸いです。


今回はかなりの読者様に読んでくださっていただけたようで、ポイントもめっちゃ入りました。


嬉しい、めちゃくちゃ嬉しい。


おかげでここまで毎日2回とかいうむちゃくちゃスケジュールで書き切ることができました。


私のモチベーションのためにも、作品のためにも、評価、ブックマークください!(切実)



それらをいただけると、私が戻ってきた時にその数だけ嬉しくなれますので。


評価は広告下の星のボタンでできます、よろしくお願いしますね。



長くなってしまいましたね。


では、いつかまたお会いしましょう。



お読みくださり、ありがとうございました!

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