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第75話 そして、最後の一人は暴かれた

「あのー、すみません。いい感じなところ悪いんですけど〜……」


 僕はそのエルの言葉で思い出した。


 エルはさりげなく僕を嵌めた『真の仲間』メンバー最後の一人、フードの少女を捕らえていた。


「ああ、そいつの話だろ」


 僕はそのフードの少女に近づき、フードを捲る。


 僕はその顔を見た時、驚きを隠せなかった。


「エルが……二人?」


 そこには確かに、エルが二人いた。


 真っ白な肌に綺麗な透き通った海のような髪の色。


「いいえ、わたしたちは双子で、彼女はそんなわたしの実のお姉ちゃん、アルです」


 エルはフードの中でぐるぐると目を回している少女を起こす。


 そうか、双子か。


「うーん、ここは……」


 アルは意識を戻すと、辺りを見渡す。


「おはよう。なあ、僕のことを覚えているか?」


 僕は極めて抑えているつもりだが、殺気が漏れだしてしまっている気がする。


「……はい、全部覚えています。私はあの時、確かにいました」


「…………っ」


 あの腹を貫く刃の温度を、罵声を、リカンツちゃんに迷惑をかけた不甲斐ない惨めな気持ちを、鮮明に思い出す。


 忘れたかったあの気持ちを。


 黒々とした己の中の邪悪を。


 僕は気持ち悪さに耐えながら、彼女の話を聞いた。



 彼女曰く、こういうことらしい。



 彼女は入学試験の日、ある人と契約を結んだ。


 その人から300万ポイントを渡され、後日200万ポイント返す代わりにシュトリという男についていくように促された。


 彼女はただついて行けばいいという話だったから快諾したところ、僕が騙され腹を貫かれた現場に居合わせ、500万ポイントを獲得してしまった。


 それ以来ずっと僕にそのことを謝りたかったが、僕への接点がなかった。


 そこで双子の妹に頭を下げて僕と親しくなってもらおうと試みていたが、気がついた時には何故かシュトリの使用人(コンパニオン)になっていたとのことだ。



 僕は彼女に『名前をつけ』てプロパティからアジェンダを監視していたが、嘘をついている様子はなかった。


 つまり彼女もまた僕と同様に詐欺の被害者ってことか。


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