第7話 そして、新天地へと赴いた
「ここだ、この洞穴だ。行こう」
僕たちはシュトリを先頭に、ずんずん突き進んでいく。
それにしても、シュトリはやたら道を把握しているな。
まるで以前来たことがあるかのように。
多分、そういう職業かスキルなんだろうけど。
「ええと、この先にアルデガルド地下大迷宮があるんだよな」
「その通り」
僕の問いかけにシュトリは即答する。
僕たちの脱出計画は、突貫工事のようなものだ。
学園は巨大な島であり、脱出するのは魔導船ともうひとつある。
だが魔導船はチェックが厳しく、入念な準備があっても入り込めるか怪しいという。
なので最低最悪の最終手段、それがアルデガルド地下大迷宮攻略だ。
アルデガルド地下大迷宮、それは前人未到のダンジョンの究極系。
この世全てはそこに繋がっているとされ、世界各地から入ることが出来る最強最悪のダンジョンだ。
踏破したものはこの世の真理を知り、究極の力が与えられるとされている。
だが、僕達の目的はそれではない。
他の入口に到達して、ここではないどこかに出る、ただそれだけだ。
アルデガルド地下大迷宮は確かに世界で最も恐れられているダンジョンだが、1階層くらいならば探索はできるだろう。
いや、そうでなければ困る。
つまるところ、この計画はそういった一か八かの大博打なのだ。
「───それで僕をスカウトしたわけか。合点がいったよ」
「だろう。俺たち真の仲間に試験の時に見せたロクトの魔術があれば、きっとうまくいくと思うんだ」
おいおい、照れるなぁ。
「───ついたわね」
そこには、荘厳で大きな扉があった。
滑らかな石をどうやって切り崩して持ってきたのか分からない不可解な作りの門が、不自然に目の前にあるのだ。
つまり、ここが地下大迷宮の入口。
「ではロクト、先導して欲しい」
「ああ、任された」
ここから先はシュトリに代わり、僕が先頭に立つ。
適材適所、仲間同士で困難を分割するの、真の仲間って感じだ。
大きく深呼吸をする。
この一歩を踏み出してしまえば、もうこの大陸には戻れない。
再開できたリカンツとも離れ離れになってしまう。
一度決めていたことだが、改めて思い返すとそれはとても寂しいことだ。
だが、僕は進むのだ。
この何千、何万歩よりも距離のある一歩を。
僕は足を踏み出す。
「がはっ」
突如背中から熱い何かが込み上げてくるのを感じる。
な、なんだ───これ。
腹からナイフが突き出して…いる?