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第50話 そして、十二の魔弾は飛び交った

「ツモイ、やれ」


「はい、師匠」


 アベルの銃口から弾丸が射出する。


 だがその弾は僕たちに届くことなくツモイの天叢雲剣あまのむらくものつるぎによって切り裂かれる。


「へえ、やるな!」


「天誅、天誅にて!」


 ツモイとアベルは激しくぶつかり合う。


 アベルは一見そうは見えないが、あいつの戦闘スタイルは二丁拳銃によるガンカタ、すなわちスピード型である。


 正直僕ではあのスピードについていくのは難しい。


 ならば目には目を、ツモイが適任だろう。



「なあアレクシア、こんな無駄なことやめにしようぜ(・・・・・・・)?」


 僕はアジェンダ変更を発動する。


「その手には乗らないわ」


 だが、アレクシアはエルの時同様にアジェンダ変更が効いてないようだ。


「…………」


「既にこの肉体の権限は私の召喚獣に譲渡したわ。お前のその能力は効かない。……ぐはっ」


 アレクシアは突如大量の血を吹き出す。


 僕たちは何もしていない、完全にひとりでに、だ。


「おいおい、そんな身体じゃ長く持たないぜ」


「ええ、もう何度死んだかしら」


 その時、地面から大量に生物が溢れ出す。


 蛇、狼、熊、そして人間。


 誰も彼もが肉体を朽ちるのを待っているものたち、すなわちゾンビだった。


 これじゃ傀儡士というより死霊術士だな。



「この私の召喚獣は炎の不死鳥、フェニックス……。魔力が尽きても死ねば……。ぐぼぁあっ! ほらっ! この通り!」


 そうか、彼女は破壊と再生を繰り返している。


 殺しても死なない、そういうわけか。


「さあ! 死になさい!」


 ゾンビたちが僕たちへと襲いかかる。


「やあ! はーっ!」


 だが、リカンツちゃんの魔術で次から次へと焼き払っていく。


「ロクトくん、リカンツちゃん。私の星のスキルでパスを繋ぐね」


 エリカは祈るように手を握り合わせると、僕とリカンツちゃんの間に白い魔術糸のようなものが浮かび上がる。


 すると、リカンツちゃんの視野や思考が僕の脳内に直接流れ込んでくるのが分かる。


「ありがとう、エリカ」


 僕も負けてはいられない。


 剣を抜き、斬撃を飛ばしてゾンビを振り払う。



 だが、長期戦は良くないだろう。


「リカンツちゃん、精霊召喚を使ってくれ。その時間は僕が稼ぐ」


「うん、分かった」


 僕は知っている、リカンツちゃんの精霊召喚を。


 彼女の召喚する精霊は国の一つや二つ、簡単に滅ぼせるほど強力なものだ。


 だが、些か召喚には時間がかかるし、無防備になる。


 だからその隙は僕が埋める。



「ほらほら! どうしたのかしらぁ? 死ね! 死ね! 死になさい!」


 顔が爛れ、原型をとどめなくなったアレクシアは叫ぶ。


 ゾンビたちの攻撃はいっそう早くなる。


「はああ!」


 僕は剣を地面に叩き付け、衝撃を送る。


『効果変更』、衝撃よトゲとなれ!


 地面から無数のトゲが生え、次々にゾンビたちを串刺しにしていく。



 一方その時、ツモイもまたアベルに引けを取らない近接攻撃を繰り出していた。


「おかしいな、俺の二丁拳銃の速度には追いつけないとは思っていたが、一振りで二度斬撃が来た気がしたんだが」


「ええ、ただ『2回切った』だけですので」


 互角、完全に拮抗している。


「やるな! だけどまあ、この勝負の勝利条件は別にお前を倒すことじゃないんだ」


「しまっ……師匠!」


 アベルの銃口は完全に僕を捉えていた。


「熱、二酸化炭素、水素、動体、骨、人肉、思考、音、匂い、生物、魔力、霊感、補足完了──死に晒せ(デモン・ファニング)!」


 僕へと十二の魔弾が飛ぶ。


 全く、アベルは面倒くさいやつだ。


 何せこれすら計算の内なのだろうから。

無人島サバイバル編もいよいよ佳境です!


おもしろい 続きが気になる


少しでもそう思われましたら、是非ともブックマーク、高評価をいただけると幸いです。


ブクマと高評価は、作者のモチベーションになり、励みになり、とても嬉しいものです。



そのワンアクションによって、私は書いていてよかったなと思いますし、今後とも面白い作品を目指して書いていけます。


繰り返しになりますが、ほんのちょっとでも面白いと思われましたら、ブクマ高評価、お願いします!

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