第49話★そして、堕天の朋は蘇った
試験最終日となった今日、僕たちは試験最後の朝食を摂る。
後は来た場所に戻るだけ、たったそれだけで学園での生活に戻ることができる。
それも今までとは違う、潤沢にポイントがある生活。
「みんな、試験もこれで最後だ。今までありがとうな。さあ、行こうか」
「うん、頑張ろうね。ロクトくん」
リカンツちゃんは小さく頷く。
「よーし、張り切っていこ〜!」
エリカは僕たちを鼓舞する。
「ええ。このツモイ、師匠を学園へと送り届けられるよう誠心誠意努めさせていただきます」
ツモイは刀を握りしめる。
「さあ、行こう」
僕はスキルを使い、部屋を押し潰すようにして僕たちを地上に送り出す。
*
そこには何もなかった。
僕たちは確かに地上に出た。
だが、すでに広大で豊かな島は原型を留めておらず、何もかもが砂に還っていた。
「な、なんだこれは──……」
遠方に魔導船が見える。
アレこそ僕たちが目指すゴール地点。
だが、そこに立ち塞がるようにそれは立っていた。
「ロクト……ロクトロクトロクトロクトロクトロクトロクト、ロクトォ!」
その女は身体にはぼろ切れを纏い、至る所から血を流し、だがそれでも恩讐だけで足を大地に立たせていた。
その深紅の瞳を僕は知っている。
『真の仲間』。そうなるはずだった気高かったはずの深紅の怪物。
「よお。元気そうでなによりだよ、アレクシア」
*
真の仲間 アレクシア
種族:人間
ジョブ傀儡士
ジョブレベル3
型:大器晩成
LV.22
HP:300
MP:947
魔力:460
力:81
知力:369
防御力:88
魅力:645
素早さ:100
運:89
成長率
HP:E
MP:A
魔力:A
力:C
知力:S
防御力:E
魅力:SS
素早さ:D
運:D
スキル
*魔術C(変異種)Lv.EX
魔術の使用が可能となる。魔術糸を操作する能力に秀でているが破壊魔術は初級上級問わず低確率で失敗することがある。使用可能属性は四大元素:地水火風。
*傀儡B Lv.7
対象を傀儡化し、魔術糸で操作することが出来る。
*皇帝の呼び声 Lv.EX
声を聞いたものをひれ伏させることができる。意志の力により抵抗可能ではあるが、このスキルの所有者に対して僅かでも嫌悪感を抱いてなければ抗う術はない。
*
アレクシアはあの浜辺の夜、自らの使用人から逃れて生き長らえたのか。
大した根性だ、あとゴールするだけでクリアだというのに、このボロ雑巾のような姿になってまで僕を待ち続けていたのだから。
「この前はありがとうね、ロクト。おかげさまで仲間から裏切られる屈辱の味を知ることができたわ。これで対等、何をしても気が引けたりしないのだから」
随分な前口上だ、とっくに僕はそんな気持ちになっていたんだから。
「どうも。それはそうと、お前は何やってんだよアベル」
アレクシアの横には、Sランクバカの姿があった。
「わりいな、昨日の友は今日の敵ってな。けれど一つだけ言わせてくれ。……ロクト、お前は絶対に死ぬな」
アベルは銃口を僕たちに向ける。
「アベル! ……どうして」
エリカはそのアベルの行動に動揺を隠せないようだ。
だが、その動きは以前見たものに比べて隙があるように見える。
推測だが、あれは操られてるな。
そう、戦いはすでに始まっている。
「ツモイ、やれ」
「はい、師匠」
アベルの銃口から弾丸が射出する。
だがその弾は僕たちに届くことなくツモイの天叢雲剣によって切り裂かれる。
「へえ、やるな!」
「天誅、天誅にて!」
ツモイとアベルは激しくぶつかり合う。