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第44話 そして、性的趣向がバレた

(……さようなら。バーイ)


 あ、ペディ、僕との会話ぶっちぎった。



「無理はダメですよ、師匠。昨日倒れたばかりなんですから、今日は養生に務めるのがよろしいかと」


「そうだぞ〜。今日くらいはゆっくりしなさい! ……もう私たちは充分な程にバッジを手に入れたしね!」


 僕がスキルを使ったのを見たのか、ツモイとエリカに休むよう促される。


 確かに今日は無理はしない方がいいのかもしれないな。


「よし、それじゃあお言葉に甘えて今日はこの部屋でゆっくりしようか」


 僕はスキル「効果変更」でカップの引力を書き換えコーヒーを啜り何をして時間を潰そうか考える。


 す、スキルを使うのは本当にこれで最後だから……多分。


「それでしたら師匠、今日こそ修行を……」


 ツモイはご自慢の身体を僕に押し付けながら上目遣いで迫る。


「ゆっくりしようって言わなかったか、僕。それに僕は今日安静日なんだ」


 多分スキルを使わなければ大丈夫なのだけれど、面倒くさいものは面倒くさい。


「にゃん……」


 最近ツモイの感嘆詞が『にゃん』になってきているのはさておき、本当にどうやって時間を使おうか。


 正直なところ、僕たちはもう目標を達成したと言っても過言ではない。


 ポイント稼ぎも悪くないが、ここはまる一日遊んで羽を休めるのも悪くはないだろう。



「じゃあね〜、これならどう?」


 エリカがカードの束を取り出す。


「おお、暗示のカードだっけ、それ。面白そうだな」


 僕はエリカの意見に賛同を示す。


「いいえ、ただの白紙のカードです」


 が、どうやらエリカ曰く僕の想像は的外れだったらしい。


「わー、面白そう! エリカちゃん、どうやって遊ぶの?」


 リカンツちゃんはエリカに聞く。


「よくぞ聞いてくれました! んとね、ロクトくん一枚触ってみて」


 どうして僕なんだと思いながらカードを一枚引く。


「で、どうするんだ?」


「さ、もう一度カードを見てみて」


 うん? なにも書いてないんじゃないのか?


 そう思いながらカードを見てみると、そこには不思議と文字が書いてあった。


『ロクトの初恋の相手はリカンツの姉』


 な、なんだこれは。


 確かに僕の初恋の相手はリカンツちゃんの姉『リリスおねえちゃん』だったが。


「もーらい!」


「あ、エリカ!」


 そのちょっと人に見せるにしては恥ずかしいエピソードが書かれたカードはエリカにぶんどられる。


「ふむふむなるほどなるほど……。ロクトく〜ん、歳上おねえさんに泣かされるのが好きだったんだ〜……」


 エリカは何やら神妙かつ僕を小馬鹿にするようないやらしい笑みを浮かべる。


「僕にそんな趣味はない。ないと思う……多分。何なんだ、全く……」


「このカードはね、このカードに触れることで最初に触れた人の恥ずかしい記憶を追体験できる魔法のカードなのです! ふふん」


「な……」


 つまり僕は辱められ損というわけだ。


「これを罰ゲームにしてババ抜きとかどうかな〜って!」


 こいつ罰ゲームをゲームする前に与えてきやがった!


「なるほど、それを使えば師匠の弱みが……おっと。弱みに付け込めるエピソードが覗けるかもしれませんね」


 言い直せてないぞツモイ……。


「面白そう! やってみようよ。ロクトくん」


 リカンツちゃんも乗り気なようで、3対1。


 多数決じゃあ仕方ない。


「仕方ない、やってやるよ。その代わり手加減なしだ」


「望むところだよ! ロクトくん!」


 絶対にエリカを羞恥に塗れて卒倒させてやる。


 こうして、仁義なき本気のボードゲーム決戦が始まったのだった。


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