第43話 そして、会話をぶっちぎった
──改造士ロクトの朝は早い。
僕の左腕で寝ているリカンツちゃんを撫で、左手では自称弟子のやべーやつことツモイを撫でる。
ここで紳士の僕は腹部に乗っかっているエリカの感触もしっかり味わう。
朝は早い気がしたが、うん、これは無理。
*
──改造士ロクトの朝は遅い。
左手ににゃんにゃんと鳴くリカンツちゃんを抱き、右手にもまたごろにゃーと鳴く猫型の弟子を抱く。
もちろん腹部に乗る金髪猫系同級生も忘れてはならない。
ああ、幸せだ──
三度寝しようとしたまさにその時だった。
「ロクトくん、すきぃ」
そのはっきりと聞こえたリカンツちゃんの声に僕の意識は覚醒する。
やはりというか、僕のベッドの中には3匹の美少女が転がっていた。
「ペディ、コーヒーを」
(はい、ロクト様)
真っ白なこの部屋のキッチンにおいてあるコーヒー豆の入ったボトルから少量の豆をつまみ、刃状の物質を生成、それで刻んでカップに容れておく。
次に熱湯を生成し、網目の細かいフィルターを生成、空のカップの上にフィルターを乗せておく。
そしてお湯を注いでコーヒーを抽出していくのだが、それはペディに任せよう。
それにしても、やはりスキルを使うと少し頭に響くな。
まだ完全回復ってわけじゃなさそうだ。
「(ペディ、昨日頼んでおいた精神力は見れるようになったか?)」
(はい、試しにステータスをご覧になりますか?)
「ああ、頼むよ」
(では、ステータスオープン)
*
ロクト
種族:人間
ジョブ:改造士
ジョブレベル5
型:大器晩成
LV.21
HP:450/450
MP:331/331
精神力:450/1000
魔力:120
力:131
知力:191
防御力:100
魅力:206
素早さ:49
運:491
成長率
HP:B
MP:C
魔力:C
力:C+
知力:A
防御力:D
魅力:A
素早さ:E
運:SS
スキル
*剣術ALv.3
確かな剣術の持ち主。剣を握れば戦い方を自ずと理解できる。一個師団相当の戦力に匹敵する剣術スキル。
*大賢者の加護Lv.9
他者から付与された後天的パッシブスキル。本来使用できない魔術の使用を可能にし、体内の専用の回路を通すことで通常の魔法より展開を速める。
*名前をつけるLv.5
対象に名前をつけて編集リストに保存する。名前をつけられた対象は常に座標が表示され、性格、容姿、装備品、アジェンダ(行動優先順位)などを書き換えることができるようになる(ロックされた項目をアンロックするには、ジョブレベルをあげる必要がある)。Lv.5の最大リスト登録数は30件。
*叡智の囁きLv.EX
改造士の複雑な能力の仕様を即座に理解できる。
可能な範囲でスキルの与える影響を予測することもできるが、使用者の見て聞いて感じたこと、即ち経験則の範囲に限る。
*材質変更Lv.5
視界内の対象の材質を変更可能な材質のリストから選択し、変更する。(編集リストに登録することで、いつでもどこでも変更できるようになる)複雑な材質は不可能。
*ステータス変更Lv.4
自他のステータスを変更できる。ただし、合計値が変更前値と異なっていた場合、翌日はステータスの弱体化修正が行われる。持続時間25時間前後。
*アジェンダ変更Lv.3
対象の行動を置換、挿入、削除することができる。置換された行動を任意で記憶させるか記憶させないか選択出来る。(編集リスト対応)
*効果変更Lv.2
法則や効果を書き換えることができる。(編集リスト対応)
*
なるほどな、精神力は半分も回復してない。
これは疲れるわけだ。
それはそれとして、気になるところがもう二つ。
「(なあおい。これ、ジョブレベルもレベルも上がってないか、僕)」
僕はペディを問いただす。
前までは『パッパラー!』とジョブレベルが上がったのをお知らせしてくれていたじゃないか。
僕自体のレベルについては2も上がってるし。
さりげなく大賢者の魔法使える20レベルなお年頃になっちゃったけど!?
(……パッパラー! レベルアップ! おめでとうございます、ジョブレベルが5になりました。ステータスの詳細を開示しますか?)
「(今ステータス見てるだろ。誤魔化そうとするな)」
(だって昨日色々あったんだもん。タイミング伺ってたんだもん)
『だもん』って。
「(まあいいや、ありがとうなペディ)」
(……さようなら。バーイ)
あ、こいつ会話ぶっちぎった。