第34話 そして、大戦果をたたき出した
「ごちそうさまでした」
実のところ、僕たちリカンツファミリーとツモイはポイントがマイナスになっていたので買い出しでは全てエリカの出費となっていた。
だから気が引けて沢山買えなかった食材はバランスがあまり良くないし、量も最小限のものだ。
だが、そんな状況下にありながら料理の全てがうまかった。
バーベキューは火を通すだけなので特に料理の腕が関与する隙がなく、気がつけなかった。
みんなとてつもなくおいしかったが、中でも驚いたのがツモイの作った料理だ。
汁物、魚料理、どれも逸品だった。
こんなおいしい家庭料理が作れるのなら、と少しぐらついてしまった自分が情けない。
要するにツモイは極めてメシウマだった。
もちろんリカンツちゃんが料理得意なのは知っているし、エリカも負けず劣らずではあるが、やはりツモイは天才的に抜き出ていたように感じた。
胃袋を掴まれるとはまさにこの事か……。
だから僕は敬意を評して、ごちそうさまでしたと呟くのだった。
「ふふ、師匠。そんなに私たちの料理がおいしかったのですか?」
ツモイは僕のコップに水を注ぎながらドヤ顔で言い寄る。
くそ、認めたくないが最高だよ。
「ああ、とてもおいしかったよ。みんなありがとうな」
僕はターゲットが全体であることを伝え、感謝をする。
「そう言ってくれると、がんばった甲斐があるよ」
「うん! 何回も指切るかと思ったからね……」
リカンツちゃんもエリカも喜んでくれたようで何よりだ。
このままだとツモイに話を持っていかれそうなので話を変えよう。
「ええと、まずは今日獲得したバッジの数について確認したいんだけど、いいかな」
僕がそう呟くと、みな収納を漁り出す。
「じゃあ私から! 私はね〜、じゃ〜ん! 6枚も取れたのです!」
そう、何も僕たちは考えなしに海で遊んでいたのではない。
どさくさに紛れてバッジを回収していたのだ。
大勢の生徒がいる浜辺ならばまず奇襲をかけられることはないだろうという僕の推測は正しかった。
「流石だな。このルールだと半分の生徒は奪えないんだ。1枚でも取れれば上々って感じだと思ってたけれど」
僕がふらっと呟いたのを聞いたエリカは満面の笑みでガッツポーズをする。
「時にツモイ、お前は何枚取れたんだ?」
僕が問うと、ツモイは僕にバッジを見せる。
そのバッジはツモイの手から溢れ落ちる。
「失礼を。はい、『11枚』にございます」
ツモイはいつも通りの平然とした表情で淡々と告げる。
その枚数に、エリカとリカンツちゃんは驚愕する。
「すごい……! どうやったの?」
そのリカンツちゃんの問いに、私も聞きたかったとエリカも頷く。
「はい、普通に人の目を盗んで海中にて取っただけです」
11枚、大戦果じゃないか。
「やるじゃないかツモイ。このまま勝ち逃げしてもいい……いや、するべき枚数だろうな」
正直、ツモイがここまでやるのは予想外だった。
これは僕も負けてられないな。