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第33話 そして、天井は白かった

まずい、野外演習に及んで僕は寝落ちしてしまったらしい。


 どうやら改造士のスキルは魔力を消費しない代わりに、疲れとしてフィードバックが来るようだ。


 流石に今日は使いすぎたってことか。


 今後は使い方を改めよう。



 ともかく僕は意識を覚醒させ、状況を把握する。



……天井が白い。


 そうか、ここは物質変更で生み出したクリーンルームのベッドの上だ。


 ベッドの上で寝た僕をちょっと褒めた。


 床で寝ると目覚めた時体が痛いからなぁ。


 さて、そろそろ起き上がらないとな。


 しかし、みんなは見当たらない。


 どこに行ってしまったのだろうと思いながらも僕は上体を起こそうとする。



 すると、その疑問にはすぐに答えが見つかった。


「むにゃむにゃ……」

 

「む〜……。バイキング、おそるべし……」


「師匠……。そこはこいくちですよ……っ。そんなにらんぼうにしちゃ……。あぁん……」


 何せ僕のベッドの中に、リカンツちゃん、エリカ、ツモイの美少女三人衆は隠れ潜んでいたのだから。



 僕の左腕を枕替わりに爆睡している一糸まとわぬ姿のリカンツちゃんが可愛いのはいつもの事として、右腕で寝ているツモイもまた寝顔が綺麗だなと思う。


 そして僕の腹部で寝落ちしているエリカも寝顔は可愛いと思う。


 思うんだけれど、ものすごいヨダレが垂れていて、もうそれどころじゃない……。



「はひ……。いただきましゅ……」


 エリカは呟く。


 いかん、これまずいやつや。


 ていうかエリカが今口に含もうとしているそれはローストビーフでも角煮でもなく、僕の贅肉──



「いっだぁぁぁあ!!」


 こいつ、マジで噛みやがった!


 僕は美少女たちをぶんぶんと振り落としながら飛び起きる。



「んぁ……。おはよ、ロクトくん」


 リカンツちゃんは眠眼を擦りながら挨拶をしてくれる。


 ああ、おはよう。


「はっ。し、師匠。なんたる失態か……! 申し訳ございません」


 ツモイは全力で土下座をする。


「いや、大丈夫だよ。それより」


 肝心なのはあの食いしん坊お姫様だ。


「う〜ん。あ、起きた! も〜、おそーい! みんなでご飯食べようと思ってロクトくんを起こそうとしたのに! あれ、起こしたっけ?」


 いや、起こされてないが。


 だけれど、そのエリカの説明で何がどうなってこの状態になったのかは理解した。


 そりゃみんな疲れてたんだろうな。


 ベッドの魔力の前では、人間誰しも眠くなるものだ。



「みんなありがとうな。待たせてごめん。さ、飯にしようか」


 テーブルの上には、僕が寝落ちした後にみんなが作ってくれたであろう滋養溢れる料理が並んでいる。


 おお、見るからに美味しそうだ。


 さて、食べるか。


 どうやら僕は眠っていた間に大分腹を空かせていたらしい。


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