第23話 そして、芳醇な香りに胸をときめかせた
一撃。
賢者リカンツちゃんの剣の一撃によって、ボス『イビルスライム』は倒され、僕達はあっさりと迷宮門へと戻ってきた。
それに間髪入れず、各々の指輪からポイントのメニューが開かれ、加点の様子が表示される。
「本当に、倒せちゃった」
リカンツちゃんは自分が剣の一撃で倒したという事実から驚きを隠せないでいた。
「リカンツちゃん、すごーい!」
エリカはリカンツちゃんの手を強く握り健闘を称える。
「私も研鑽しなければ……」
ツモイもリカンツちゃんを見ると、一人呟く。
「ううん、一番すごいのはロクトくんだよ。だってこんな力、私一人じゃ出せなかったよ」
実際はリカンツちゃんのステータスがとても高かったからできた芸当なのだ、僕の能力が全てではないけどな。
リカンツちゃんの言葉に釣られるように、アベルも僕の方を向く。
……むず痒いからやめてくれ。
「全くだ。こんなとんでもスキルを隠してたなんてな」
この調子で駄弁られるのは恥ずかしいし、どこで聞かれているか分からない。
再度釘を刺しておくか。
「僕のスキルはネタが割れると対処できてしまうかもしれない。だからこの能力については内密にな」
みな、僕の提案に頷いてくれる。
まあ、そうでなければ困るんだが。
「とにかく、付き合ってくれたお礼に約束は守るからね!」
そうそう、エリカの一言で思い出した。
僕は報酬についての話をしたかったのだ。
僕が渇望するものはただ一つ。
「ああ、豪華なディナー、楽しみにしてるぜ」
そう、栄養だ。
実のところ、ここしばらくは硬いパンばかりでろくなものを口にしていない。
ここ学園では生活に必要なあれこれまでもポイントで購入する。
もちろん食料も例外ではなく、一文無しかつ負債を背負いし僕とリカンツちゃんは何も購入させてもらえないため無料の黒パンしか口にできていなかったのだ。
……僕だけならばまあいいが、豊満な胸のリカンツちゃんには滋養のある食事を摂取して欲しいと心から願っていたのだ。
だから僕とエリカは『奢り』と『安全』を取引した。
「師匠! それならば私を頼れば良かったのですよ」
ツモイはお役に立てたのにと言わんばかりの表情で僕に迫る。
「残念だけれど、それは悪手なんだな。だってツモイに貸しを作ってしまえばそれを言質にして修行を迫るだろ」
「ちっ」
この弟子今舌打ちしたよね!?
ともかく、愉快なお喋りはこの辺にして食堂へ向かおうか。
実のところ、久しぶりにまともな食事なのでかなり楽しみなんだよな。
いつもお読みいただきありがとうございます、作者のなーまんぞうです。
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私としましては感想をいただき、皆さまの声によりそって、今までを超える洗練された文章を書いていきたいと思っています!
私の成長のためにも、どうかお願いします……!
最後に、あとがきなどでボツ設定や没シナリオ、それの名残の設定なんかもぽつぽつ呟いていけたらな〜と思っています。
今後とも『追放剣士の改変無双』を今後ともよろしくお願いします!