第22話★そして、僕は最強剣士を生み出した
魔導拳銃の銃口を、僕のこめかみにあてがう。
それを見て、みなが戦慄している。
なら、早いところ能力を見せて安心させないとな。
「大丈夫だよ、だって、今から『何も起きない』んだから」
僕は引き金をかちゃりと引く。
だが、やはりというか何も起きない。
何せスキル『効果変更』で一時的に魔道拳銃の『引き金を引けば術式が発動する』法則を改変したのだ、出なくて当然だろう。
「はい、返すよそれ。しかし、めちゃくちゃかっこいいな、魔導拳銃」
僕はアベルにぽいと魔導拳銃を投げ渡す。
「な……。すげえ! どういう手品なんだそれ? もしかして職は『奇術師』か!」
さっきの芸当を手品呼ばわりかよ。
なんだかちょっと悔しかったので、あえて解説してやろう。
「ハズレ。これは『改造士』の能力だよ。僕の能力は行動や効果、法則を『書き換える』能力なんだよ。つまり、僕の命令は生物であろうが法則であろうが絶対服従、そういうことさ」
アベルは顔を真っ青にしながら拳銃をしまう。
「は、ははは……。なんだよそれ。チートにも程があるだろ」
「つくづく僕もそう思うよ。ただし、このことは内密に頼むよ。みんなにもな」
みなこくりと縦に頭を振る。
「じゃあ、ロクトくん。私のジョブも賢者から剣聖に変えられる?」
リカンツちゃんから質問が飛ぶ。
「今のところジョブを書き換えるスキルはないな、ごめん。ただし──」
僕にはステータス変更がある。
それを使えば、剣聖に憧れる賢者のリカンツちゃんを。擬似的に剣士に近いステータスに変えることができるはずだ。
僕はリカンツちゃんのステータスを書き換えていく。
*
嫁
種族:人間
ジョブ:賢者
ジョブレベル1
型:早熟
LV.9
HP:190→287
MP:472→0
魔力:843→0
力:94→1000
知力:245
防御力:72
魅力:199
素早さ:82→300
運:84
成長率
HP:D
MP:SS
魔力:SSS
力:C
知力:S
防御力:D
魅力:S
素早さ:C
運:C
スキル
*賢者魔術EX:Lv.6
風、水、炎、土、雷、光、闇全ての属性を使用可能。魔術師で使用可能な魔術の性能が1.5倍になる。また、二つの属性を一度に行使することができる。
*精霊召喚A:Lv.1
一個師団に相当する使用可能な属性の精霊を1体まで召喚できる。持続時間は60秒ほど。
*剣術E−:Lv.8
本来賢者には備わっていない、努力によって獲得した剣術スキル。訓練を受けた剣士との撃ち合いでも勝機を見出すことはできる。
*
剣士に近づけるとは言ったけれど、流石に力1000はやり過ぎた。
というか、元のステータスがあまりにも恵まれている。
成長率は輝かしいSの文字ばかり。
そりゃ強いですよ。
「リカンツちゃん、試しにちょっと剣を振ってみてくれ」
「うん」
僕の声に合わせて、リカンツちゃんは素振りをする。
瞬間、空間が裂け、ダンジョンの壁の一部が崩落する。
あ、やばいこれ。
どこからどう見ても火力過剰だ。
「お、おめでとう。まあ効果時間は一日ってところだけれど」
「わー、すごい軽い!」
みな、あまりの破壊力に表情が固まり、思考が停止している。
……次からはもう少し加減しよう。
「んー、でも……」
だが、リカンツちゃんはどこか怪訝そうな表情をしている。
HPにももう少し振っといた方が良かっただろうか。
少し配分が雑だったのが良くなかったか。
「どうかしたか、リカンツちゃん」
「んー、なんでもない」
そうは言うが、やはり悩んでいるようだ。
「とりあえずダンジョンを攻略しようか」
それで気が晴れてくれればいいが。
「うん、そうだね」
僕とリカンツちゃんは移動を開始する。
それを見て、みんなははっとしてついてくる。
「あの破壊力……。やばいな」
アベルもまた、ぽつりと呟いたのだった。
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