第21話★そして、僕は引き金を引いた
Sランクバカ アベル
種族:人間
ジョブ:銃射士
ジョブレベル2
型:普通
LV.12
HP:347
MP:300
魔力:170
力:110
知力:109
防御力:95
魅力:105
素早さ:137
運:140
成長率
HP:B
MP:C
魔力:B
力:C
知力:C
防御力:D
魅力:C
素早さ:B
運:B
スキル
*ガンカタEX:Lv.2
弓術のEXスキル。ただし弓は使えない。古代兵器-タイプ:銃の分解、改造、使用が可能となり、超高速の装填、射撃が可能となる。
*術式装填EX:Lv.3
魔鉱石から生成された薬莢に術式を込めることができる。
*術式解凍EX:Lv.2
薬莢に装填した術式を使用可能状態にし、古代兵器-タイプ:銃を用いることで射出することができる。ただし、初級魔術の使用以上に魔力を消費する。
*錬金術D:Lv.1
簡単な素材をやや質の高い仕上がりで錬金することができる。
*
アベルに『名前をつけ』てスキルを覗いてみたが、やはり銃に関するスキルばかりだ。
それに術式展開、初級魔術を使う分には燃費が落ちるのか。
「いやいや、強さで言ったらお前もいい勝負じゃないか、ロクト」
謙遜もいいところだろう。
これだけのガンカタを披露しておいて、何を言ってるんだか。
「僕の肩の紋章が見えないのか? 戦闘力はE、初級魔術も使えないんじゃお話にならないだろ」
僕は呆れ口調で答えた。
「けどまあ、バカでかい爆炎を起こすくらい造作もないんだろ?」
なるほど、アベルは僕の入試試験の様子を丸々見ていたらしいな。
「まあ、そういうスキルはあるよ」
「それと、俺はお前が迷宮門から一人で出てくるところを見た。察するに攻略してきたけど、余裕でしたって感じだったぜ。なあ、本当は隠してるんだろ?」
しまった、僕の能力がこんなにも早くバレてしまっていたとは。
アベルは鋭いやつだ。
僕は剣を抜刀し、アベルの首元へと叩きつける。
瞬間、空気が凍りつく。
「おいおい、落ち着けって。流石の俺も深く詮索する気はないさ。ちょっとお前の職と能力が気になるだけだよ」
そんな事を言いつつ、アベルは既に左手の早撃ちで防御術式を首に展開、右手の魔導拳銃で確実に脊髄を破壊できる位置に狙いを定め、既に術式を解凍していた。
……これだからアベルは油断ならない。
だからこそ、このヘラヘラとした男の目を覚まさせるには、剣を首元に叩きつけるくらいで丁度いいのだ。
しかし、能力を隠しておくのはもう限界だろう。
幸いにも、見ている人はそれなりに信頼できるメンツだ。
僕とアベル以外は心配そうにこちらを見つめているし、ここは見せてしまうしかない。
「いいよ、見せてやるよ。じゃあまずは初めに、その右手の拳銃を借りようかな」
僕はアベルに手を差し出す。
「いやいや、これは俺の得物だ。そうやすやすと渡せないんだよ」
だが、次第にアベルの顔は青ざめていく。
なぜなら、既にアベルの手によって僕の手に拳銃は渡されているのだから。
「ああ、そうか、そうだよな」
それもそのはず、僕は相手の行動を操作するスキル、『アジェンダ変更』によってアベルに命じたのだ、逆らえるわけがない。
そしてその銃口を、僕のこめかみにあてがう。
「ちょ、ロクトくん!」
「おいおい、待てよ、そいつはまずい!」
「師匠!」
「ロクトくん、それはダメだよ!」
みなが戦慄している。
なら、早いところ能力を見せて安心させないとな。
「大丈夫だよ、だって、今から『何も起きない』んだから」
僕は引き金をかちゃりと引く。