第2話 そして、初めてステータスを見た
学園へは魔導船での移動だ。
それにしても、幼少の頃からの夢だった魔道船に、こんな形で初めて乗るなんて。
魔導船の中は、魔道具の効果で極めて揺れが少ない。
そして内装も木の質感を殺すことなく、かつ最新のかなりの光量を誇るビンテージ風の照明が飾られたりしていて、新旧一体となり優美な雰囲気を醸し出している。
だが、魔導船はやはり消費魔力が大きいようで、月に二本程度しか行き来しない。
そして何より乗車賃が結構馬鹿にならない。
なので子爵家の長男であった僕ですら乗ったことがなく、いつか乗ってみたいと願っていたのだった。
退屈…というわけではないが、何かしないとどうにかなってしまいそうだ。
僕は色んなものに適当に名前をつけて時間を潰すことにした。
僕の座っている椅子…椅子だからいす二郎。
あの太っているおじさんは…デイブ(デブなので)。
あれは…。
僕は次々と名前をつけていった。
(パッパラー! レベルアップ! おめでとうございます、ジョブレベルが2になりました。ステータスの詳細を開示しますか?)
突然、脳内に凄まじい爆音で謎の声が響き渡る。
「な、なんだこれ」
僕は思わずつぶやく。
(私は───。改造士のジョブレベル2にて開放された改造士のスキル使用を、ガイドさせていただく貴方様のスキル『叡智の囁き』です)
スキルは最初に名前のようなものを呟いていたように聞こえたが、聞き取れない。
恐らく名前がないからでは、と推測する。
ならば名前をつけるの出番だろう。
「分かったよ。それと今日から君は『叡智ペディア』だ。あだ名はペディ。よろしくな」
(私にあだ名など必要ありませんが…。よろしくお願いします)
中々律儀でいいやつだ。
「話を戻そうか。その、ステータスってのは鑑定の儀の時に見れたやつで良いんだよな」
「その通りです。ただし、鑑定の儀で確認できたものはステータスの成長予測に他なりません。現在ロクト様はスキルによってより詳細な数値を確認することができます」
へえ、便利なんだな。
「じゃあ、ステータス詳細開示を頼めるか?」
「承知しました。少々お待ちください」
しばらくの沈黙の後、目の前に薄い半透明の光のような画面が空中に映し出される。
「うお、なんだこれ」
「ステータス詳細でございます、ご確認くださいませ」
ロクト
種族:人間
ジョブ:改造士
型:大器晩成
LV.18
HP:420
MP:300
魔力:112
力:124
知力:180
防御力:92
魅力:194
素早さ:43
運:399
成長率
HP:B
MP:C
魔力:C
力:C+
知力:A
防御力:D
魅力:A
素早さ:E
運:SS
スキル
*剣術ALv.1
確かな剣術の持ち主。剣を握れば戦い方を自ずと理解できる。一個師団相当の戦力に匹敵する剣術スキル。
*大賢者の加護Lv.9
他者から付与された後天的パッシブスキル。本来使用できない魔術の使用を可能にし、専用の回路を通すことで通常の魔法より展開を速める。
*名前をつけるLv.1
対象に名前をつけて編集リストに保存する。名前をつけられた対象は常に座標が表示され、性格、容姿、装備品、アジェンダ(行動優先順位)などを書き換えることができるようになる(ロックされた項目をアンロックするには、ジョブレベルをあげる必要がある)。Lv.1の最大リスト登録数は10件。
*叡智の囁きLv.EX
改造士の複雑な能力の仕様を即座に理解できる。
可能な範囲でスキルの与える影響を予測することもできるが、使用者の見て聞いて感じたこと、即ち経験則の範囲に限る。
*材質変更Lv.1
視界内の対象の材質を変更可能な材質のリストから選択し、変更する。(編集リストに登録することで、いつでもどこでも変更できるようになる)複雑な材質は不可能。
*ステータス変更Lv.1
任意の自身のステータスを下げた分、他のステータスに割り振ることができる。
*アジェンダ変更Lv.1
対象の行動を置換、挿入、削除することができる。(編集リスト対応)
{編集リスト}9/10
*嫁
*バカ
*いす次郎
*デイブ
*窓
*アリん子
*指パッチンおじさん
*マッドサイエンティスト『たける』
*俺の来世(虫)
*
めちゃくちゃ色々書いてあった。