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コン色の空  作者: 尻尾
1/1

EP.0【赤色の空】

初投稿、初小説です。

お見苦しい点も多々有ると思います。

マイペースに更新していきますので良ければ見ていってください。

この作品は少しのファンタジーと日常で構成されていきますので苦手な方はブラウザバックお願いします。

どうか厳しいコメントお待ちしております。


…私はいつからここにいるのだろう


赤と黒で染まった外の景色を眺めながら考える。


…私はなんでここにいるんだろう


神社の中の小さな部屋で、孤独と戦いながら考える。


外からは微かに煤の匂いがして、遠くからは悲鳴も聞こえるような気がする。

部屋の外ではなにやら慌ただしく走り回る音、怒鳴り声も聞こえる。


「稲荷様のお怒りだ!!」「くそっ!!火の手が回ってくるぞ!!火消しはまだか!?」「急げ!重要な物だけでも担ぎ出せ!」「稲荷様はどうする!?」「放っておけ!どうせこの騒ぎもあいつが起こしてるんだ!燃えて死ぬんだとしたら自業自得だろ!」


好き勝手に騒ぐ男たち、どうやら外の騒ぎは私が原因だと思っているらしい。


「違うん…だけどな…」


絞り出すようにして出した声は色々な雑音でかき消されていく。

外の赤さはより一層濃くなってきて、煙の匂いも強くなる。

男たちの声はいつの間にか静かになって、聞こえるのは炎が燃え盛る音だけ。


それでもわたしは考える、なにもわからないから、なにも、ないから。


なんで……わたしは………






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「夏希ちゃん、今度一緒にお買い物行こうよ!駅前にいいお店があるんだ!教えてあげる!」


「ほんと?ありがと」


「じゃあまた明日ね!」


「うん、じゃあまた学校でね」


11月の中頃、遊歩道では帰路に着く中学生が談笑しながら歩いている。

友達と別れた女の子はその子が見えなくなるまで手を振り見送る。


「ばいばーい………はぁ…寒い…」


なんでも天気予報のお兄さんが言うには「昨日よりもずっと寒い」らしい。

わたしは寒いのが嫌いだ、身に付けるものが多くて面倒くさいし、外に出たくなくなるから。

なら出なければいいって話なのだがそうは行かない理由がある。


空は日が落ちてきていてうっすらと赤くなってきていた。


今日はどうしようか…なんて考えるまでもない。


怒られる前に行ってあげよ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




10月の初め頃、父親の急な転勤で家族で引っ越してきた。

神代かみしろ 夏希なつき

これが私の名前、14歳、中学2年生。

S県出身、今はこうやってA県の新しい家で引っ越しの片付けをしてる。


前の家は社宅だったけど、今回は借家らしい。

おかげで今回は自分の部屋が前より広い、父も自分の趣味の部屋を作るとか言って母に呆れられてる。


家族仲は良好、ちょっと父が情けないと言うか、弱いくらい。


「お父さん!!釣竿ここに置きっぱなしにしないで!荷物が片付かないでしょ!」


「ああ…わるいわるい、すぐにどかすからな」


(またやってる…)


玄関の方からお母さんの大きな声が聞こえる。

また父が何かやらかしたらしい…。


こんな感じで順調とは言えないが片付けは進んでいく。

それでも4/1くらいかな。


明日は早速学校に行かなければいけない、急な転校ということもあり不安が募る。


(仲良く、なれるかな…)


まだ外は明るい、でももう明日のことで頭がいっぱいだ。


------------------------



引っ越してきて一ヶ月と少しが経った。

なんというか、大変な一ヶ月だったなと思う。


転校初日、自己紹介の時、緊張して言葉が出てこずその上声が裏返ってしまった。

最悪な出だしだと思う、でもその事で馬鹿にしてくる子は一人もおらずすぐに私の机の周りには人だかりができた。


「前の学校はどんなところだった?」


「普通の学校だったよ、生徒はこっちの方が多いけどね」


「好きな子とかいた!?かっこいい男の子は!?」


「え、えっと…いなかったよ、かっこいい子はいたと思うけど…」


「漫画とか読んでる?どんなのが好き?雑誌とかは?ねえねえ!」


大勢に囲まれての質問攻め、男の子は遠巻きに私の話をしてるのがわかる。


結局三日くらいはこの状態が続いた、転校生っていうのは珍しいらしい。


でもおかげでいいことを知った、近くの可愛いお店、今は珍しい駄菓子屋、その他色々。

中でも私が好きな神社が近所にあると知れた、それを教えてくれた子は「あんまりお勧めしないよ」って言ってたけど…どうしてかな。


そんなこんなで一ヶ月、友達もたくさんとは言わないけど出来て学校にも馴染んできた。


そして私にも日課が出来た。


「こんにちはー」


「お、こんにちは、学校帰りかい?」


「はい、えっと…紺ちゃん、いますか?」


「ああ、いつでもいるよ、奥の賽銭箱の方かな」


「わかりました、行ってきますね」


少し長い階段を上り神社に遊びに来る。

これが私の日課だ。


宮司さんと軽く挨拶をしてから目的の人に会いにいく。

こんちゃん。

神社に来るようになってからすぐに仲良くなった巫女さん?らしき人。

私よりはずっとお姉さん、だと思うけど少し子供っぽい可愛い人だ。


「紺ちゃーん、きたよー」


人気のない神社の奥、手前の建物と比べても少し古めの一回りくらい小さい建物。

いっつも紺ちゃんはそこにいる。


「おー…?あー、夏希ちゃんじゃん!」


まるで犬のように私を見るなり走って近寄ってくる。


「遅いよー、私のこと忘れてたんじゃないの?」


「うん、忘れてたかも」


「えっ…いや、嘘だよね…?」


「嘘だよ、ごめんね、今日は日直だったから」


ああ、そうなんだ、と安心した様子の紺ちゃん。

私たちはこうやってほぼ毎日、顔を合わせてお話しする。

彼女は不思議な人だ、元気で、いつも笑顔だ。

近くにいるだけでなんだか安心する、でもここから出た姿を私はみたことがない、神社の外に連れて行こうとしたこともあったけど断られて逃げられてしまった。


「今日は学校どうだった?もう慣れた?」


「いつも通りだったよ、それともう一月経ってるんだから、心配しなくても大丈夫だよ」


「そっかそっか、あ、お茶飲む?お菓子もあるけど…」


「今日はいいかな、もう暗くなるし、帰らないと怒られちゃう」


すでに空からは赤さは消えかけ星空が追いかけて来ていた。


「それもそうか、今日も来てくれてありがとうね!」


少し残念そうな顔をするも一瞬で元通り、こちらに明るい顔を向けてくる。

それから神社の入り口まで見送りに来てくれる、紺ちゃん無邪気に手を振りながら階段を降りる私に声をかけてくる。


「またねー!」



空はすっかり暗くなり、冷えた風が頬を撫でる。

ざぁっ、と木が揺れる音がする。

きっと早く帰れと神様が背中を押しているんだろう、そんな気がした。


周りの住宅からはいろいろな匂いが漂っている。


楽しげな声も時より聞こえる。

早く帰ろう。

そんな独り言は冬の風に乗せられ空に吸い込まれていく。




これから、この街で、私は沢山の事を知っていく。

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