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50:獣人

 イヴセンティアと相対するチャイゲダは迂闊に動けないでいた。


 全獣人であるチャイゲダには、人間であるイヴセンティアの正確な実力をはかることが難しいのだ。


 チャイゲダはイヴセンティアを見据え、思考を巡らせた。

 とりあえず、騎士服を着ていることから、弱くないことは確実だろう。

 さりとて、自分が負けることなどあり得ない。

 だが少しでも手こずって、その隙にエルトリアに逃げられるのは不味い。

 不用意に剣を合わせ、もし何かしらの不測でこちらの動きを封じられれば、逃げられる可能性がある。

 すでに顔をさらしてしまったのだ、逃がすわけにはいかない。


 そう考え、慎重にイヴセンティアの隙を探るチャイゲダ。


 当初チャイゲダは、全獣人である自分の顔を見せれば、力の差を悟って投降するだろうと踏んでいた。

 しかしそれは失敗に終わった。

 馬鹿な同僚ハイゲが、目撃者を殺すことを口走ってしまったからだ。

 そのせいで相手から投降するという選択肢を奪ってしまった。


 ハイゲは舌打ちをしながら下がっていったが、舌打ちをしたいのは自分の方だとチャイゲダは思った。


 こうなったら、一瞬で目の前の女騎士を殺すしかない。


 そう判断したチャイゲダは、八卦刀を頭上に構え直した。

 速度と威力を重視した、攻めに特化した構えだ。


 イブセンティアもそれに反応して、わずかに腰を落とした。

 お互いにじりじりと間合いをはかる。


 そのとき、


 「ごふっ……」


 ハイゲのいる方からくぐもった声が聞こえた。


 闇が深く、ハイゲの姿は見えない。


 「ハイゲ、なにがあった!?」


 イヴセンティアと睨みあったまま、チャイゲダがハイゲへと呼び掛ける。

 だが、返事は無い。


 ――ゴト……、ドサッ。


 わずかに響く鈍い音。

 チャイゲダの全身に悪寒が走る。


 「ハイゲ! 返事をしろっ! ハイゲっ!」


 再びの呼びかけ。

 だが、その呼びかけに答えたのは同僚のハイゲではなかった。


 「うっさいわね」


 ゆらりと闇から現れたのは、全身に血を浴びた赤髪の少女だった。

 片手にはハイゲが愛用していた八卦刀。

 もう片手には胴体を失ったハイゲの頭。


 「オーファ!」


 少女の名を叫ぶ黒髪の少年。


 その声は、戦慄を覚えるチャイゲダとは真逆の感情に彩られていた。



 チャイゲダは任務が失敗したとみて逃走すべきか、このまま任務を続行すべきか、判断に迷った。

 新たに現れた敵性対象は、どうみても子供だ。

 脅威であるとは思えない。

 だが、不意打ちではあってもハイゲが殺されたのは事実。

 油断はできない。


 目撃者の殺害が無理でも、せめてエルトリアだけでも強引に奪取したい。

 そう考えるチャイゲダだったが、イヴセンティアの睨みが効いているせいで、不用意に動くことができないでいた。


 そんななか、オーファがレインたちのもとへ歩み寄った。


 「やっぱり、レイはあたしが守ってないとダメね」


 いつものように、自信満々な言葉。

 朗らかな笑顔。

 その顔や服は返り血にまみれ、手には苦痛に歪んだ獣人の頭部が持たれている。


 普通ではない。


 しかしレインは恐怖も嫌悪も感じなかった。

 それがすべて自分を守るためにしてくれたことだとわかっているからだ。

 感謝こそすれど、それを怖がる気持ちなんて起きるわけがない。


 だがレインの口から出たのは、感謝の言葉ではなく、謝罪だった。


 「……オーファ、さっきはごめん」

 「あんたは何も悪くないんだから、謝らなくていいわよ」

 「うん、ありがとう、オーファ」


 非を責めず、優しく許してくれる。

 理由を話せと言わない。

 いつも守ってくれる。

 レインは、その全てに感謝した。


 「オーファさん、あちらからは逃げられそうでしたか?」


 エルトリアの問いかけ。

 「あちら」とはハイゲがいた方のことだ。


 オーファが首を振って答えた。


 「あっちにもオオカミ人間が一杯いたわね」

 「そうですか……」


 チャイゲダと戦わずに逃げられるかと思ったが、そう上手くいかないらしい。

 わずかに気を落とすエルトリア。


 一方オーファはチャイゲダを睨みつつ軽く笑った。


 「あいつをぶっ殺せばいいんでしょ? まあ、まかせなさいよ。ピッピもついでに守ってあげるから、感謝しなさい」


 そう言いつつ、自身の身の丈ほどもある八卦刀を軽く片手で扱い、前へと踏み出す。


 オーファは、レインの幸福な暮らしを守るためにエルトリアという存在が必要だというのなら、必ずそれを守り抜く決意だ。

 相手が誰であろうと負けるつもりはない。


 チャイゲダを睨む眼光を、より一層鋭くする。


 その横顔を見たエルトリアは、オーファが神童とうたわれる確かな所以ゆえんを感じ取った。

 思わず息を飲む。

 だがそれを誤魔化すように、慌てて怒ってみせた。


 「ピ、ピッピではありません! エルトリアです!」

 「はいはい、エル、エル」


 チャイゲダを睨んだまま、ぞんざいな対応をするオーファ。


 「オ、オーファさんは、レイ君の幸せのためには必要な存在です。決して死なないでくださいね!」


 エルトリアの言葉を受けたオーファは、背中越しに軽く頷くだけで答えたのだった。



 「オーファ殿、私1人でもレインを逃がすくらいはできたぞ?」


 イヴセンティアはチャイゲダから視線を外さず、オーファへと声をかけた。


 「そうするとあんたが死ぬでしょ? あんたが死ぬとレインが悲しむから駄目よ」


 当然でしょと言うようなオーファの言葉。


 イヴセンティアはその言葉が嬉しかった。

 友であるオーファの存在を心強く思う。

 口元には小さな笑みが浮かんだ。


 「敵のと実力差をどう見る?」

 「正直、正面から1人で相手をするとちょっときつそうね。でも、2人掛かりなら問題ないわ」


 その会話を聞いていたチャイゲダが、突如、すぅぅぅと目いっぱいに空気を吸い込んだ。

 限界まで肺に空気が入り込み、胸が膨らむ。


 そして、


 「アオオォォォォォォォンッ!!!」


 と、耳をつんざくような大音量で、遠吠えをした。


 びりびりとした空気の振動が肌に伝わる。

 思わず、耳を抑えるエルトリア。

 きぃぃぃんと耳鳴りがして顔をしかめる。


 その直後、


 ――アオオォォォォォォォン。


 と、遠くからいくつもの遠吠えが返ってきた。


 獣人同士で連絡を取り合っているのだ。

 再び大きく息を吸い込むチャイゲダ。


 「アオオォォォォ――」

 「うっさいっ!」


 オーファは、チャイゲダの遠吠えを邪魔するように、持っていたハイゲの頭を投げつけた。


 チャイゲダはいきなり投げつけられた元同僚の頭に、ぎょっと目を見開いた。

 防衛本能が働き、反射的にその頭を斬り落とそうとした。

 だが、理性が働いてそれを止めた。

 ハイゲとは獣人連合国にいたころから一緒に飯を食い、仕事をしてきた仲だ。

 こんな姿になったからといって、ぞんざいに扱うことなどできない。

 そう考えて、武器を持っていない方の手を、頭を受けとめるために伸ばした。


 その瞬間、ハイゲの頭を追い越す速さでオーファが急接近し、チャイゲダへと斬りかかった。


 「くっ!」


 チャイゲダは卓越した反射神経と運動能力を駆使し、咄嗟に防御の姿勢を取った。


 ――ガキィィンッ!


 金属同士がぶつかり合い、甲高い音が響く。

 すかさず距離を取る2人。


 レインとイヴセンティアは、オーファの必殺の一撃が容易く防がれたことに驚愕していた。

 並大抵の人間ではオーファの攻撃に反応することすら不可能だと、身をもって知っているからだ。

 しかも、さっきの攻撃は不意を突いての一撃だった。

 それを防ぐ技量と身体能力。

 改めて全獣人の戦闘能力に高さを思い知らされ、冷たい汗が頬を伝った。


 だがオーファはそんなことでは止まらない。

 レインの敵が生きて動いている以上、止まる理由がない。


 「死ねええええッ!」


 地を蹴り、次の瞬間には肉薄し、連続して剣撃を叩きこむ。


 瞬く間に繰り出される連撃。

 だが、


 ――ガギギギィンッ!


 全ての攻撃がチャイゲダに防がれていく。


 オーファが即席で使っている八卦刀は、子供が使うには長さがありすぎるのだ。

 地面に当たらないように長剣を振ろうと思うと、どうしても剣の軌道が制限されてしまう。

 単純な剣閃では、いくら速度が速くても、チャイゲダには簡単にいなされてしまう。


 しかしチャイゲダとて余裕があるわけではない。


 チャイゲダはオーファという存在に確かな脅威を感じていた。


 「ぐぅ、なんだこのガキは、本当に人間かっ!?」


 全獣人である自分を圧倒する瞬発力。

 自身の身の丈ほどの武器を振り回す腕力。

 躊躇なく斬りかかり、命を奪おうとする胆力。

 武器を扱う技量も、小さな人間の子供が備えているものではない。

 優秀なスキルを持っているとか、そんな次元の話ではない。

 普通ではない。

 一応、このまま戦っていても負けはしないだろう。

 だが、このままではエルトリアに逃げられる。


 チャイゲダは焦りを覚えた。


 しかし、あえて自らは攻撃を仕掛けず、オーファの攻撃をいなすことだけに集中した。

 仲間が駆けつけてくるまで、時間を稼ぐつもりなのだ。

 守りに徹し、時折、エルトリアを逃がさないように牽制を入れる。


 そんなチャイゲダの側面に、オーファが素早い動きで回り込んだ。

 少しでも気を抜けば見失ってしまいそうな速度。

 超人的な動体視力でそれを目で追い、攻撃に備えるチャイゲダ。


 そのとき、


 「やああああッ!」


 完全にオーファに気を取られたチャイゲダに、イヴセンティアが背後から斬りかかった。

 死角からの不意打ち。


 だがチャイゲダは、それにすらも対応してみせた。

 ぎりぎりのところで、自らの剣で攻撃を受けとめる。


 が、


 ――ズガァンッ!


 予想外に重い、衝撃波すら伴う一撃。


 「ぐおっ!?」


 危うく吹き飛ばされかける。

 なんとか衝撃を逃がし踏みとどまったが、こんな威力の攻撃をそうそう受けとめるわけにはいかない。


 チャイゲダは、先ほど睨みあっていたとき不用意に斬りかからなくてよかったと心の底から思っていた。

 もし油断して吹き飛ばされていたら、その隙にエルトリアに逃げられていた。

 しかし、のん気にそんなことを考えている場合ではない。


 「死ねえッ!」


 背後から斬りかかるオーファの攻撃を紙一重で避け。

 続けて迫るイヴセンティアの破壊的な一撃を、やっとの思いで回避する。


 「このっ!」


 チャイゲダは歯噛みしながら、イヴセンティアに向けて剣を振った。

 無理な姿勢から放った攻撃だが、その剣速は速い。

 牽制の一撃としては十分。


 だが、


 ――ガィンッ!


 オーファが横からその攻撃を弾き落とした。


 牽制の攻撃すら放つことができないチャイゲダ。

 もはや時間稼ぎなど関係なく、防戦一方だった。



 チャイゲダは大きく後方に跳び、2人から距離を取った。

 このまま逃げるべきか、という考えが脳裏を過ぎる。

 だがもうすぐ仲間が来ると思うと、その判断を下せない。


 理性とは厄介なものだ。

 生きるための本能を、ことごとく邪魔をする。


 そのとき、オーファがハイゲの頭をチャイゲダ目がけて蹴り飛ばした。


 チャイゲダには、オーファが悪魔に見えた。

 赤い髪を振り乱し、全身が血に濡れた、赤い悪魔。


 しかし余計なことを考えている場合ではない。


 眼前に迫る元同僚の顔。

 昨日の夜も一緒に飯を食った。

 馬鹿で粗野だが嫌いではなかった。


 理性とは厄介なものだ。

 この頭を斬って落とせと本能が命令しても、それはできぬと邪魔をする。


 「くそっ!」


 チャイゲダは体勢を大きく崩しながら、ハイゲの頭を避けた。

 だが、凄まじい速度で迫ってくるオーファから目を離してはいない。

 さっきはハイゲの頭に気を取られて不意打ちを受けた。

 同じ手には引っかからない。


 チャイゲダの手前で、オーファが大きく跳びあがった。

 それを目で追わず、剣をかかげ、オーファのすぐ背後から迫っていたイヴセンティアの攻撃に備える。

 さっきはオーファの動きを目で追って不意打ちを受けた。

 同じ手には――。


 「やああああッ!」

 「引っかからないんだよっ!」


 迎え撃とうとしていたチャイゲダの眼前で、なぜかイヴセンティアが攻撃を止め、横へと跳ねた。

 そこに高速で飛来する炎弾。

 今の体勢では対応しきれない。


 一瞬、炎弾の向こうに、魔法陣の残光を残したエルトリアと、自分へと急接近するレインが見――。


 ――バァンッ!


 「がはぁっ!?」


 チャイゲダの鼻先で弾ける炎弾。

 殺傷力はないが、わずかな時間の足止めには十分だった。


 肉薄するレイン。


 「せいッ!」


 ――ゴスッ!


 「がっ!?」


 レインの掌底突きがチャイゲダのあごを捉えた。

 オオカミのようなチャイゲダの顔は、あごと首までの距離が相応に長い。

 あごという力点に加わった力は、てこの原理で、首を支点に、数倍にも膨れ上がって脳に作用する。


 白目を向き、ふらりと倒れかけるチャイゲダ。


 だが咄嗟の判断で、自らの頭に治療魔術を使った。

 魔術は苦手だが、なんとか、すんでのところで踏みとどまった。


 とはいえ、体勢を崩し、剣を取り落としたチャイゲダは隙だらけだ。


 「死ぃねええええええッ!」


 上空に飛び上がっていたオーファが、壁を蹴り、急降下しながらチャイゲダの首に斬りかかる。

 チャイゲダはふらつく足取りで、なんとかわずかに身を逸らした。

 だが、攻撃を完璧に回避するには至らない。


 ――ザシュッ!


 「ぐうっ!」


 首を斬りつけられ、苦悶の声を上げるチャイゲダ。

 かろうじて致命傷ではないが、動脈を傷つけられ、大量の血が吹き出た。

 急激に脳の血圧が下がり、激しいめまいに襲われる。

 最早、立ってさえいられず、地にひざをつく。


 そこに、イヴセンティアの斬撃が襲い掛かった。


 「でやあああッ!」

 「くっ」


 チャイゲダは咄嗟に足元の剣を持ち上げた。


 ――ズガアァンッ!


 驚異的な威力を誇るイヴセンティアの一撃。


 満身創痍のチャイゲダにはその威力を受け流すことができない。

 身体が浮き上がり、そのまま壁へと叩きつけられる。


 ――ズダァンッ!


 チャイゲダは気を失い、その身体はゆっくりと地に落ちた。



 レインたちが、やっとの勝利を喜ぶ間もなく、次なる脅威が来襲した。

 チャイゲダの遠吠えを聞きつけた獣人たちが、援軍に駆けつけたのだ。


 「ハイゲさんっ! チャイゲダさんっ!」

 「このガキどもよくもチャイゲダを!」

 「ぶっ殺してやる!」


 獣人たちは一様に牙を剥き、凶暴な顔でレインたちを威嚇している。


 流石のオーファでも、あの数を相手にしてレインを守り切ることは難しいと思った。

 だが幸いなことに、獣人たちが現れたのは、ハイゲがいた一方向からだけだ。

 逃げ道はある。


 「イヴ!」

 「わかった! エルトリア様、失礼します」

 「え? きゃ」


 イヴセンティアは、オーファの呼びかけに即座に頷き剣をしまった。

 そして、エルトリアを横抱きにすると、そのまま逃走のために駆け出した。


 オーファもレインを抱きかかえるために声をかけた。


 「レイ、あたし汚れてるけど――」

 「オーファは汚れてない。昔からずっと、きれいなままだよ」


 例え血にまみれていようが、獣人をその手にかけていようが、そんなことでオーファが汚れたりなんかしない。

 ずっと優しくて綺麗な心のままだ。


 そんなレインの言葉を聞いたオーファは、弾けたような笑顔になった。


 「っ、うん! それじゃあ、はい、抱き着いてきて」

 「わ、わかった。こう?」


 素早く正面からオーファに抱き着くレイン。

 こんなときだ、恥ずかしがってはいられない。


 「うん、そのまま腕をあたしの首に巻き付けて、脚は腰に巻き付けて。落ちないように力いっぱい抱き着いてね?」


 オーファの声は心なしか嬉しそうだ。


 「う、うん、わかった」


 レインは言われたとおりに、落ちないようにオーファに抱き着いた。

 もう獣人たちは目前まで迫っている。


 「いくわよ?」

 「うん!」


 自身の身体にレインを抱き着かせたオーファは、片手に八卦刀を持ったまま、全速力で駆けだした。

 あっという間に獣人たちを引き離し、先に走り出していたイヴセンティアに追いつく。

 そして、空いている方の手で、エルトリアを横抱きにしているイヴセンティアの腕を掴んだ。


 「イヴ、転ばないでよ!」

 「わかった、オーファ殿、頼む!」


 走りながら了解の声を出すイヴセンティアだったが、エルトリアは理解が追い付いておらず、きょとんとしている。


 「え? え? オーファさ、ひゃぁぁぁぁ――」


 エルトリアの悲鳴を無視して、イヴセンティアの腕を引っ張り、路地裏を駆けるオーファ。


 イヴセンティアは急激な加速に、脚をもつれさせて転ばないよう必死だ。


 レインは、正面からオーファに抱き着いている関係で、オーファに引かれて走るイヴセンティアやエルトリアと目が合ってしまい、微妙に気まずい。

 だが、その後方には獣人たちの追手が見えるので、今は大人しく抱き着いているしかできない。


 レインと目が合ったエルトリアは嬉しそうに笑った後で、オーファへと苦情の声を上げた。


 「オーファさんだけズルいです! レイ君にそんなに強く抱きしめられるなんて!」

 「なによ、羨ましいの?」

 「羨ましいです!」


 オーファは、素直な物言いのエルトリアに、少しだけ笑ってしまったのだった。

◆あとがき


オーファ「レイ、イヴ、エル、ジェットでストリームなアタックをかけるわよ!」


レイン「そ、それって3人でやる攻撃なんじゃ?」

イヴセンティア「悪いなオーファ殿、その攻撃は3人用なんだ!」

エルトリア「赤い神童も地に落ちましたね!」


オーファ「しょぼん(´・ω・`)」




はい、そんなこんなで、獣人ハイゲをオーファちゃんがぶっ殺しました。

人を殺したらソフトヤンデレの域を超えてしまうのでは?

と、思う人もいるかもしれません。


でも、ぶっちゃけ殺す殺さないは、病みの強さの強弱には関係ありません。

病んでいても病んでなくても、殺すときは殺すし、殺さないときは殺さないのです。


オーファちゃんがまったく病んでいなくても、たぶん獣人ハイゲは殺されたでしょう。




ちなみにですけど、獣人チャイゲダが逃げなかったのは、すぐに逃げ出すゴブリンとの対比でもあります。

理性的な獣人と、本能的なゴブリン。

戦って重症を負った獣人と、逃げて無傷(軽傷)だったゴブリン。


理性的であることが、生きること(もしくは子孫を残すこと)を目的にした生物にとって、常に最善の結果に繋がるわけではない、という感じです。


もちろん組織として考えるなら、職務を全うした獣人チャイゲダの行動は素晴らしいです。

ですが、生きるだけを目的にするなら、生存本能に従って逃げ出したゴブリンの方が(以下略←話が難しくなってきて、途中で説明するのが面倒になってきたやつ

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