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44.5:小話2-2

◆キュリア貢ぐ


キュリアたちは昨日の放課後、レインと微妙な別れ方をしてしまったことを気にしていた。

それはレインにしても同じことだ。


なので、登校してすぐ、お互いにそのことを謝った。

それにより、微妙な空気はすぐに払拭された。


だが、キュリアたち女子はもっと謝りたいと思っていた。

そんなに簡単に許されるべきではないと考えたからだ。

もっと罪滅ぼしがしたい。

しかし、しつこくレインに謝ることもはばかられる。


そんなこんなで昼休みになった。


キュリアはレインに何かしたいと思った。

でも、できることなんて何もない。

手元にはお弁当があるだけ。


……。


とりあえず、キュリアはお弁当のおかずを貢いでみることにした。


「レインさん、私のエビフライをどうぞ」

「え? あ、どうも、ありがとうございます」


レインは、なぜ急にエビフライが差し出されたのかわからなかった。

だが、断って、また微妙な空気に戻ってしまうのも気が引ける。

なので、素直に受け取ることにした。


すると、キュリアがエビフライを、レインの口もとに近付けてきた。


「あの、あーん、してください」

「…………え?」

「あ、あーん、して、ください」


レインが「あーん」してくれないから、ちょっと寂しそうな顔になるキュリア。


レインは、このままでは微妙な空気に戻ってしまうと思った。

なので、思い切って口を開けた。


「あーん、ぱく」


大きなエビフライだったので、一口では食べきれなかった。

半分ほど残ってしまう。


それを見ていた他の女子たちの顔つきが変わった。


「レイ君、わたくしの卵巻きもどうぞ!」


まっさきにエルトリアがお弁当の具を差し出す。

他の女子たちも、それに追随しようとしている。

あっという間に逃げ場を失ったレイン。


キュリアは1人、手元に残ったエビフライを見た。

レインが半分食べたエビフライ。

軽く周囲を見渡す。

みんな、レインに「あーん」することに夢中だ。

誰もこっちを見ていない。

もう一度、エビフライを見た。

レインが口をつけたエビフライ。


ごくり。


その後、キュリアは周囲に気取られぬよう、こっそり残りのエビフライを食べたのだった。




◆オーファのレイン自慢、ハチの巣駆除編


カムディア女学院のお昼休み。

レインの話題で盛り上がる女子たち。

主に話しているのはオーファだ。


「それでね、レイはうっかり眠っちゃったあたしに、ひ、ひざ枕をしてくれたの……///」

「「「きゃー、レインくん優しいー!」」」

「そ、そうね、レイは優しいわね/// 他にもね、依頼中にいろいろと活躍してくれたのよ」

「どんな?」

「例えば、お婆さんがすごく難しい言葉を使っていたときも、それを難なく理解して、あたしたちに通訳してくれたの」

「「「レインくんすごーい!」」」


きゃあきゃあ喜ぶ女子たち。


だが、女子たちは「あたしたち・・」という言葉に引っかかりを覚えた。

そのことをオーファに問うと、こんな答えが返ってきた。


「実はレイの先輩の女が一緒だったのよ」

「ふーん、そーなんだ」

「でもね、その女が、ヘビに噛まれちゃったの」

「ど、どうなったの!? 毒で死んじゃったの!?」

「ふっふっふ、そう思うでしょ? ところが、毒も傷も、ぜーんぶレイが治しちゃったのよ」

「「「きゃー、レインくんかっこいいー!」」」


 再びきゃあきゃあ喜ぶ女子たち。

 1人の女子が、オーファに尋ねた。


「どうやって治したの?」

「えっと、まずは女を裸にして、そこにぬるぬるした薬を塗りつけてたわね」

「「「は、裸に……///」」」


オーファは『下半身裸』のつもりで話しているが、女子たちは『全裸』だと思っている。


「それでちょっと激しく揉みしだいてたわ」

「……ごくり/// わ、わたしもして欲しい」

「そ、そんなのダメよ! あたしだってしてもらってないんだから!」

「うう、そうだよね……。でも、レインくんの治療魔術は気持ちい良いからなぁ」


1人の女子がそう言うと、他の女子たちも口々にレインの治療魔術の気持ちよさを褒めた。

みんな、軽いすり傷などを治してもらったことがあるのだ。

オーファはそれに驚く。


「な、なんで、あんたたちがレイに治療してもらったことがあんのよ!? あたしだってまだなのにっ!??」

「だって、オーファちゃんは怪我しないから」

「うぐっ」


オーファは、自身の能力の高さを呪ったのであった。




◆女学院には女性しかいない


カムディア女学院は生徒だけではなく、教員や用務員もすべてが女性だ。

男は立ち入り禁止なのである。


レインはなぜそんな決まりがあるのか不思議に思った。

なので、現役の女学院生であるオーファに聞いてみることにした。


「なんで、カムディア女学院には女の人しかいないの?」

「うーん、それはカムディア女学院がカムディア教と深いかかわりがあるのが理由ね。カムディア教では教会で働けるのも、修道院に入れるのも、女だけのよ」

「へえ、そうなんだ。その理由もわかる?」

「もちろんよ。女神カムディアや天使たちがすべて女だって言われているのは知ってるわよね? それで、女に使えるなら女じゃなきゃいけないって考え方で、男子禁制になってるらしいわ」

「なるほど、ありがとうオーファ。勉強になったよ」

「どーいたしまして」


そんなわけで、オーファの身近にいる男はレインだけなのだ。




◆レインの性教育の行方


セシリアは受付に座りつつ、レインとオーファがベッドで仲良くしていたことについて考えていた。

自分がしっかり性教育しないといけないのだろうか。

そういう考えも浮かぶのだが、性教育なんてどうすればいいのかわからない。


悩んでいるセシリアに、隣に座っていた先輩の受付嬢(中年女性)が声をかけてきた。


「セシリアちゃん、どうかしたの?」

「実は、レイン君のことで――」


セシリアは理由をぼかしつつ、レインの性教育をどうするか悩んでいると告げた。

その話を聞いた中年女性は、少し考えてからこう言った。


「そういうことなら、男の冒険者さんたちに頼んだ方がいいんじゃないかしら?」

「そうでしょうか?」

「そうよ。やっぱりそういう話はレイン君と同性の方がいいでしょ。私が頼んできてあげるわね」


中年女性は、そう言い残して食堂へと移動した。


丁度いいところにマフィオたちが食事をしていたので、軽く話をしてから、レインの性教育について丸投げした。


だが、マフィオたちも性教育なんてどうすればいいのかわからない。

困ったマフィオは、後日、ギルドに冒険者を集めて、極秘の会議を開いた。


「そんなわけだから、なにかアイデアを頼む!」

「少し大人な店に連れて行くのはどうだ?」

「ダメに決まってんだろ、セシリアちゃんに殺されるぞ」

「うーん、でもなぁ。俺も性教育なんて受けたことないし。どうしたら良いかなんてわかんねーよ」


うんうん、と頷く冒険者たち。


「ルイズ、なんかアイデアはねぇか?」

「関連資料を持ってきた」


ドサッと置かれる分厚い本。

解剖学に基づいた、人体構造に関する専門書だ。

男女の違いについても事細かく記されている。

それはもう、細かい字でびっちりと。


「流石にレインにこれを読ませるのは可哀想じゃねーか?」

「奇遇だな、兄さん。俺もそう思う」

「おいおい」


マフィオン兄弟たちはそう言い合いながら肩を竦めた。


一方で、他の冒険者たちはその本を見て、悪い案じゃないと思った。


「本から学ばせるのは良い案じゃないか?」

「だな。ちょっと本屋に行って、フェムタイ小説でも買ってくるか」


そう言い残して、1人の冒険者がギルドから出ていった。

その冒険者は10分もしないうちに戻ってきた。


「買ってきたぞ」


一冊の本をテーブルの上に置く。


『お姉さんと僕~淫欲の夜~』


その本を見て、すごく微妙な顔になるマフィオ。

とりあえず理由を聞き出す。


「……なんでこの本を?」

「なんでって、レインの本命ってセシリアちゃんだろ?」

「いや、知らねーよ。んなことより、こんな本を俺たちが渡したってセシリアちゃんに知られたら、やべぇだろ」

「うぐ、確かに」

「下手したら、オーファちゃんまでキレる可能性がある」

「……この本は封印だな」

「そうだな」


そんなわけで、その本はしばらくの間、厳重に保管されることになった。


そして結局、ルイズが持ってきた分厚い本がレインへと贈られたのだった。




◆オーファは努力家


オーファの訓練量は非常に多い。

その訓練量は、努力家と称されるレインに輪をかけて多い。

さらには訓練の密度も濃い。


同世代最強の呼び名はそういった努力の結晶なのだ。


とはいえその努力は、生まれ持った潤沢なスキルがあるからこそできることでもある。

スキルの効果で体力が多く、疲れの回復も早いからこそ可能なことだ。


スキル以外の才能面で見ても、オーファは抜きんでている。

見ただけでほとんどの技を使いこなせるようになってしまうのだ。

レインがなにかの技術を会得した翌日には、オーファもできるようになっている。

レインが練習中の技も、いつの間にかオーファの方が先にできるようになっている。


そんなオーファについて、レインは気になっていることがあった。


「オーファって、あんまり筋肉とかついてないように見えるんだけど?」


訓練量の割には、細くて柔らかそうだ。

というか、細くて柔らかい(断言)。

あれだけ訓練をしているのに不思議だ。


「女の子には女の子の訓練方法があんのよ。イヴだって細くて柔らかいでしょ?」


魔術やらなにやら、いろいろと駆使して頑張っているらしい。

やはりオーファは才能だけではない。

努力の人である。


レインはオーファへの尊敬の念を、さらに強めたのだった。




カムディア女学院生モブヒロインとレイン


カムディア女学院の子たちは昔から『ごっこ遊び』が好きである。

かつて、レインとオーファが下水道に入り込んでしまったときも、『冒険者ごっこ』をしている最中だった。


そんなわけで今日も『ごっこ遊び』をすることになった。

場所はレインの部屋。

当然、レインも一緒である。

だが珍しいことに、オーファは不在だ。


ちなみにだが、レインと仲が良いカムディア女学院の女子は、みんなとても可愛い(重要)。


「僕、なにも聞いてないんだけど、今日はどんな遊びをするの?」

「んっとね、『お医者さんごっこ』だよ」

「どんな遊び?」

「私たちが裸になってね、それをレインくんがぬるぬるにして、いっぱい揉みしだくの」

「そ、そんな遊びダメだよっ!? というか、それはお医者さんのすることじゃないよっ!?」


慌てて止めるレイン。


「ちぇ、せっかくオーファちゃんが居ない日を見計らったのに」

「え?」

「ううん、なんでもないよ? それじゃあ、裸になったレインくんを、わたしたちが皆でぬるぬるにするなら……、いい?」

「よ、よくないよっ!? どこにもいい要素なんてないよっ!? むしろ、なんでいいと思ったのっ!? お医者さんはどうなったのっ!?」

「こんなことをするのは初めてだけど、絶対に気持ちよくしてあげるよ?」

「いや、気持ちよさの問題じゃなくてね。あ、ちょ、ちょっと待って、なにするの?」

「ふふ、レイン君、可愛い。大丈夫、痛くしないから……、いいよね?」

「ま、待って、脱がさないで!? ああ、みんなも脱がないで!!?」


女の子たちが一斉に脱ぎ始め、色とりどり下着が露わになる。

焦るレイン。


部屋の中が混沌を極め始めたとき、


――コンコン。


とドアをノックする音が鳴った。


女の子たちは、ささっ、とレインから離れて自身の服を整え始めた。

ものすごく素早い。

先ほどまでの蕩けた表情から一転して、死に物狂いの表情で服を着ている。


レインは女の子たちの服が整ったのを確認してから扉を開けた。

ノックの主はイヴセンティアだった。


「レイン、近くを通りかかったから寄ったんだが――、む、客がいたのか」


女の子たちは、「なんだ、オーファちゃんかと思って焦っちゃった」と言いながら、ほっと胸をなで下ろしていた。


「邪魔をしてしまったか?」

「いいえ、助かりましたイヴ先輩」

「うん? 助かった? なんで微妙に服が乱れているんだ? なにをしていた?」

「『お医者んごっこ』かな?」


言いながら、小首を傾げるレイン。

イヴセンティアがさらに問い返す。


「『お医者さんごっこ』? なんだそれは?」

「ただの『ごっこ遊び』ですよ」

「『ごっこ遊び』?」


市井の遊びに疎いイヴセンティアに、レインは『ごっこ遊び』の説明をしたのだった。

◆あとがき


重要アイテム、エロ本ことフェムタイ小説『お姉さんと僕~淫欲の夜~』。

ただし再登場は次章の予定です。




そんなわけで、

唐突に現在の各ヒロインの状態を『恋愛麻雀』に置き換えて解説していきます。

(この恋愛麻雀は、あがる度にレイン君から『|好感度(点棒)』をもらえるシステムです)



まず、オーファちゃんとエルトリア様は麻雀ガチ勢です。

なにがなんでも1位になって優勝したいので、「1発消し」や「海底ずらし」、「流し手」、「形式テンパイ」などを駆使しつつ、ガチで勝ちに来てます。


流し手……レイン君と女の子が良い雰囲気になったら邪魔に入る感じ。

形式テンパイ……あがれるあがれないは無視して、とりあえず「あたしにもやって!」と乗っかりにいく感じ。


ただ、この2人はソフトに病んでいる都合上、1位になるだけでは優勝できません。

優勝するには、互いに『条件(レイン君を守るなど)』を満たしたうえで1位になる必要があります。


つまり、勝手に『条件戦』になっているわけです。


余談ですが、現状のオーファちゃんは守備を重視した打ち筋で、まだまだ積極的なヒロインとはいえません。

(今後の人間関係の変化と共に、打ち筋も変化していきます)



イヴ先輩はそこまでガチではありません。

1位になったら嬉しいな、程度のスタンスです。

どちらかというと、麻雀を打つことそのものを楽しんでいるタイプです。

なので勝ちに行くことよりも、面白い手役を作ることに重点を置いています。



カムディア女学院生もイヴ先輩と同じタイプです。

本心では1位になりたいと思っていますが、オーファちゃんがガチ過ぎて太刀打ちできないので、諦めています。

とりあえずオーファちゃんの隙を見つけては、面白そうな手役をぶっこみにいきます。



セシリアさんはただ何となく卓に座っているだけのタイプです。

役もわかっていませんし、点数計算もできません。

今は・・自分の持ち点すらよくわかっていない状態です。

その割にはツモのみの手などをコツコツあがっているので、地味に持ち点が多いです。



キュリアちゃんたち王立学院の女子は、それなりに本気です。

ですが、自分の持ち点を正確に理解できていません。

もしかしたら、そこそこ持ち点が多いかも!と勘違いしている子もいるかもしれません。



以上、麻雀に置き換えた解説でした。


Q:なんで麻雀で例えたし!

A:作者は麻雀脳なので^q^;

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