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15.5:小話1-1

◆オーファの姉自慢


レインにセシリアの自慢をし始めるオーファ。


「お姉ちゃんはすごいのよ!」

「うん、でもオーファもすごいよね?」

「……っ/// あ、あたしのことはいいの!」


 レインに褒められて、照れるオーファ。

 そして謝るレイン。


「う、うん、ごめん」

「あ、いや、謝らなくても、いいんだけどね?」

「うん」

「そ、それでね、お姉ちゃんのことなんだけど、お姉ちゃんって美人でしょ?」

「うん」

「男だったら誰だってお姉ちゃんの恋人になりたいわけよ」

「うーん?」

「なのに、お姉ちゃんには、今まで一度だって恋人がいたことがないんだから!」

「そうなんだ」

「そうなのよ! それどころか、男友達だって1人もいないんだから。いるのはせいぜい冒険者の知り合いくらいよ」

「そ、そうなんだ」

「それに、普段から、不用意に男の人に近づけさせないように気を使っているし、お肌だってしっかり隠して露出なんて全然してないし、ましてやお肌の触れ合いなんて絶対ないし、まさに聖カムディア教の教えを体現したような、理想的な乙女なのよ! 聖女様なのよ! すごいでしょ?」

「すごいね?」

「そうなのよ、お姉ちゃんはすごいんだから」

「うん、でもオーファもすごいところが一杯あるよね?」

「ぁぅっ/// あたしのことはいーのっ!」


やっぱり照れるオーファだった。




◆エルトリア様が見ている


王立学院、剣術の授業中。

男子は男性教員に、女子は女性教員によって別々に指導されている。


エルトリアは離れた所からレインのことを見ていた。


「よし、いいぞレイン。剣の扱いが格段に上手くなったようだ」

「はい、ありがとうございます」

「学院の外でも誰かに教えを受けているのか?」

「はい、フェムタイ式の剣術を教わっています」

「なるほど、それはいいな。学院で教えている騎士剣術だけではあまり実践的とはいえない。これからも頑張れ」

「はい、がんばります」


(レイ君、かっこいいです!)


算術の授業中。

超詰めこみ式の授業で、進行がやたらと速い。

教員が板書した問題を指し、「この問題がわかる人?」と聞くが、ほぼ全員、目を逸らす。

次に教員はレインを名指しする。


「レイン、わかるか?」

「はい、底辺×高さ÷2です」

「よし、しっかり予習してきているようだな」


(レイ君、すてきです!)


魔術の授業中。


「レイン、魔力の操作にだいぶ慣れてきたようだな」

「はい」

「その調子だ」


(レイ君……、わたくしもレイ君の役に立てる魔術を身に着けたいです!)




◆セシリアは怒ると怖い?


ギルドの食堂でレインとマフィオは食事をしながら話していた。


「いいか、レイン。世の中には、決して怒らせちゃいけない人間がいる」

「はい」

「誰だかわかるか?」

「うーん、王さま?」

「いや、セシリアちゃんだ」

「セシリアさん?」

「そうだ、セシリアちゃんは美人だが、怒らせると間違いなくこのギルドで一番怖い。なあ、ルイズ、お前もそう思うだろ?」

「そうだな、兄さんの言う通りだ」

「ほらな? 例えばこの前、俺とルイズが、うっかり受付に置いてあった鉢植えを割っちまったんだ。どこにでも生えてるような、小さな白い花が植えてある鉢植えだな。そしたら、ものすごい形相のセシ――」


いつの間にか背後に立っていたセシリア。

にこにことした笑顔だが、精神的圧力プレッシャーがすごい。


「マフィオさん? レイン君になにを教えるつもりですか?」

「なんでもないです!」

「そうですか、なら良かったです」


受付に戻っていくセシリア。


「訂正だレイン。セシリアちゃんは怒ってなくても怖かった」

「うーん?」


レインは曖昧に誤魔化した。




◆モブ冒険者たちの雑談


仕事を終えた若手の冒険者たちは、マフィオたち兄弟の話をしていた。


「やっぱマフィオさんすげーよ!」

「ああ、あのデカいゆで卵を一口でパクりだもんな!」

「普通は無理だぜ!」


うんうん、と頷く一同。


「ルイズさんもすげーよな!」

「温泉卵の殻をむくの、めちゃくちゃ早いもんな!」

「普通じゃないぜ!」


口々に兄弟を褒めたたえる冒険者たち。


「ところであの2人って、本名はなんていうんだ?」

「あー、たしか、マフィオ・マフィオンと、ルイズ・マフィオンだったと思うぜ。本名かは知らんが」


そんなわけで、あの2人はマフィオン兄弟なのだ。




◆フェムタイの人ってどんな人?


レインはフェムタイ式の剣術を教わっている。

そんなこんなで、フェムタイに興味を持ったので、マフィオに尋ねてみた。


「フェムタイの人たちって、どんな人たちなんですか?」

「そうだなー、あそこは職人気質で気難しい奴らが多い。だが、意外なことに奴らは紳士的だ。フェムタイの紳士たちはフェムタイ紳士って呼ばれている」

「へんたいしんし?」

「ヘンタイじゃない、フェムタイだ。フェムタイ紳士だ。間違えると意味が変わっちまうから、間違えねーようにな?」

「わかりました」

「よし! んでだな、その紳士たちは自分たちの欲望を決して表に出さないように、己を律して生きているんだ。立派だろ?」

「うん!」

「だが、己を律しているからこそ、色々と心の内に溜め込んじまう奴らが多いんだ。そんな奴らが書いた小説が『フェムタイ小説』って呼ばれて、一部では人気らしい」

「へんたいしょーせつ?」

「フェムタイ小説な」

「わかりました」

「んで、その小説の内容は基本的に、男女の色事を……」

「どうしたんですか?」

「いや、すまん、この話は止めよう。子供には早い」


そこにセシリアが怒った顔でやってくる。


「マフィオさん! レイン君に変なこと教えないで下さいっ!」

「うっ、す、すまん。悪気はなかったんだが」

「もう、気を付けてくださいねっ!」


ぷりぷり怒りながら戻っていくセシリア。

怒られて小さくなるマフィオ。


「な? セシリアちゃんは怒ると怖えーだろ?」

「う、うーん?」


肩を組んで耳打ちして来るマフィオに、レインは苦笑いで誤魔化した。




◆なんで『レイ』なの?


ある日の下校中。

レインは何気なく、気になっていたことを聞いてみた。


「ねえ、オーファ?」

「なによ、レイ?」

「なんで、ぼくのこと『レイ』って呼ぶの?」


なんでかというと、『レイ』と言い切るのが恥ずかしかったからだ。

なので、途中で言葉を切っていたら、そのまま定着してしまったのである。

オーファとしては、自分だけ特別な呼び方をしている気がするので、ちょっと気に入っている。

今更、変える気はない。

だが、正直に話すのも恥ずかしい。


「べ、別にいいでしょ!」


ぷいっ、と顔を背けてしまった。



別の日。

レインはエルトリアとお弁当を食べていた。


「エルトリア様?」

「なんでしょうか、レイ君?」

「どうして、ぼくのことを『レイ』って呼ぶのですか?」


なぜかというと、入学式の日にしたレインの自己紹介に原因がある。

あの日、「ぼくは、レイ――」と名乗ったところで、ブラードに言葉を遮られてしまった。

なので、エルトリアはレインの名前を『レイ』と勘違いしていたのだ。

一応、すでに勘違いには気付いている。

だが、『レイ君』という呼び方が気に入っているので、変えたくない。


「『レイ君』と呼ぶのは、ダメ・・ですか?」


うるうると涙目になるエルトリア。


「ダ、ダメじゃないです」


レインは『無能はダメ人間』云々の話から、『ダメ』という言葉に敏感である。




◆雷が怖いレイン


夜、1階で一緒に勉強しているレインとオーファ。

セシリアはまだ仕事なので、2人きり。


突然、


ピカ、ゴロゴロッ!


と、雷が鳴り響く。

驚くレイン。


「ひぃ!?」

「あんた、雷なんかが怖いの?」

「う、うん」


ピカ、ドーンッ、ゴロゴロゴロ!


さっきにも増して大きな音に、耳を抑えて怖がるレイン。

レインは、元父親に大声で怒鳴られながら殴られたトラウマで、大きな音が怖い。


「すごい音、どっかに落ちたのかな? あんた、大丈夫なの?」

「う、うん、だいじょうぶ」

「ちょっと待ってなさい」

「うん」


どう見ても大丈夫じゃなさそうなレイン。

それを見たオーファは席を外し、すぐになにかを持って戻ってきた。


「ほら、これでも被ってなさい」

「ありがとう、なにこれ?」

「お姉ちゃんのベッドのシーツ」

「っ!? そ、そうなんだ」

「とってもいい匂いで、すごく落ち着くでしょ?」

「う、うん」


オーファが持ってきた布に包まったレインは、この布がなんなのかを知って驚いた。

そして、いい匂いにドキドキするものの、不思議と恐怖心が薄らぐのを感じた。


「ほら、これも飲みなさい」

「わあ、ココアだ、ありがとうオーファ」

「とっておきのお菓子も分けてあげるわ、特別よ?」

「うん、ありがとー」


献身的にお世話をしてくれるオーファのお陰で、レインはこの日から大きな音が怖くなくなったのだった。

◆あとがき


作者の家にはネット環境がないので、

毎朝、出先でPCを借りて小説の投降をしてます。


その都合で、中々、見直しや修正ができないのですが、

誤字が多かったらごめんなさい。←いまさら

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