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20.湯柱


                               !!

                               っ

                              っ

                             っ

                           ぁ

                         ぁ

                       ぁ

                     ぁ

                   ぁ

                 あ

               あ

             あ

           あ

         あ

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   あ

 あ

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         あ

           あ

             あ

               あ

                 あ

               あ

             あ

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       あ

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   あ

 あ

  あ

   あ

    あ

     あ

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       あ

        あ

         あ

          あ

           あ

            あ

             あ

              あ

             あ

            あ

           あ

          あ

         あ”

        あ”

       あ”

      あ”

        あ”

          あ”

            あ”

              あ”

                あ”

                  あ”

                    あ”

                      あ”

                        あ”

                          あ”あ”ゃぎいび








 下層から上層へ、ほとばしる熱水。

 私は魔術で作り出された(らしき)大きな気泡の中、ぐるんぐるんに目を回しながら、その衝撃に耐えるしかなかった。


 ――廻る廻る。

 ――揺れる揺れる。

 ――転がる転がる。


 辺りは水に囲まれて薄暗く、上下左右の区別なんてつかない。激流に身を任せる以外にない私は恐怖から泣き叫んだ。


「誰か助けてええええぇぇぇぇ~~!!」


 どれだけ流されていたんだろう。

 時間の感覚はなく、全てが一瞬だったようにも思えた。気づけば、私の眼前には青空が広がっていた。

 あっ、もしかして、天国……? ってことは、私……死んじゃった?

 だけど視線を反対側に向けると、アリスバレーの()()()()()()が見えた。

 なんだ、上空にいるだけか――って、いやいやいや高い高い高い!!

 これこのまま落っこちたらどっちみち死んじゃうヤツうぅぅっ!!


「ひいいいぃぃっー!!」


 今度はトマトよろしく、ペチャンコの恐怖に怯える。


「……あ、あれ?」


 でもいつまで経っても、お腹がキュッと浮くようなあの落下の感覚はやってこなかった。恐る恐る周囲を見渡すと、巨大なシャボン玉のような気泡がまだ消えずに私を守ってくれていた。

 今、それがゆっくりと、風にふわふわと揺られながら下降している。

 落ち着いてくると周囲もよく見えてきて、私と同じく気泡に守られながら降下していく多数の人影にも気づいた。〝肉体言語(ボディランゲージ)〟のメンバーだ。

 一人と目が合うとこちらの心配を取り除くためか、笑顔で白い歯を見せながらサムズアップしてきたので、私は無事であることを伝えるため、うんうんと小刻みに首を縦に振った。

 状況を考えるに、やっぱこの気泡は彼らが魔術で作り出したものっぽいね。


「ううっ……なんとか助かったのはいいけど、これ……ど、どうしよう……」


 ――プッシャアアアアアアッ~!!


 眼下にはギルドの空き地。その北西、モグラ屋さんへ続く入口からは今、大量の熱水がこれでもかと激しく噴き出していた。

 おそらく……というか間違いなく、私と〝肉体言語(ボディランゲージ)〟のメンバー一同は、今し方そこから飛び出してきたんだろう。そして、こんなにも空高く……。

 湯煙が風に乗って流れる中、ギルドの周辺では高く噴き出す湯柱に驚いた人たちが続々と集まりはじめていた。


「ヤバい、もうめっちゃ騒ぎになってる!?」


 湯柱は三階建てのギルドの建物よりも高く伸びていた。そして辺りは大量の熱水でびちゃびちゃだ。周辺の住民たちが異変に気づかないわけがなかった。


 ――パチン。


「い、急がないと!」


 空き地から少し離れた場所に着地した瞬間、気泡は音を立てて割れた。私はそのまま現場に急行し、立ち昇る熱水を見上げた。そして、もう手の施しようがないことを悟ると、ヘナヘナと地面に膝をついた。


 ――プッシャアアアアアアアアアアアアァァァ~~~!!


「あわ、あわわ……」


 あかん……これ、絶対にあかんヤツ……。


「ねえ、エミカ」

「はっ!?」


 聞き覚えのある声に振り向くと、そこにはユイが立っていた。ずぶ濡れで途方に暮れる私を見て直感したのだろう。一切の間を置かず幼なじみは追及してきた。


「これ、あなたがやったの?」


 次の瞬間、咄嗟にその場から逃走を試みるも、すぐにユイに襟首をつかまれ身動きを封じられた。


「どうして逃げるの!?」

「ニ、ニゲテナイヨ……」

「ちょっと来なさいっ!!」

「うわああぁぁーん!!」


 そのままハントされた獲物のように地面をズルズル引きずられながら、私はギルドへと連行された。


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