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146.誕生日

※本日、二連続投稿となります。前話のお見逃しにご注意下さい。



 ごまかすべきか悩んだけど、結局サリエルとも相談した上、パメラにはすべてを打ち明けた。

 彼女との関係性。

 そして今後のことも考えたなら、隠し事はないほうがいいと思ったから。


「サリエルは天使でね、私が掘ったギルド裏の温泉から噴き出してきたの。こうプシャ~って!」

「……は?」

「いやだからさ、〝天獄〟っていうダンジョンのさらに下にある場所で生まれた子でね、彼女のお父さんたちは空の遠い場所からきた人たちで今はなんかみんな黒い箱に入って静かに暮らしてるんだけど、最初はサリエルたち天使を最終階層のボスにしようとしてたの。でもね、それがうまくいかなくて、それでええっと……」

「……」

「あ、そうそう! そもそもダンジョン自体がね、元々はサリエルのお父さんたちが乗ってきた〝船〟なんだって。すごいよね。人類の存在に気づいた時、陰から応援したいからってダンジョンに作り変えたらしいよ?」

「……ダメだ。お前のいってることさっきから全然わかんねぇ」

「えー」

「パメラー、あたしは天使だよー♪」

「いや、だから天使ってなんなんだよ……。神の使者って意味なら、そのお父さんって奴? いや、連中? が、この世界の神ってことか……?」

「お父さんたちはお父さんたちだよ。人の神様は人の想像が創り出したものじゃないとー。お父さんたちは空想じゃなくて現実だから、エミカやパメラたち人類が信仰する存在には該当しないよー」

「あー、やっぱマジでダメだわ。いろいろありすぎて頭が追いつかねぇ……」


 私の説明が下手なせいもあってパメラを余計に困惑させてしまった。

 てか、そもそも私自身がサリエルや黒い箱の住人たちが何者なのか正しく理解してるわけじゃないので、当然といえば当然の結果だ。

 それでも、百聞は一見にしかず。

 帰還するためダンジョン(煙突)の底に転送したところで、パメラは驚きつつも私たちの話に真実味があることを認めてくれた。


「マジかよ、ダンジョンの底に空が!? こ、ここがお前らのいってた天獄ってところか……」

「って、サリエル早く上昇して上昇! 落ちてる落ちてるぅ~!!」

「はーい。2人ともしっかりつかまっててねー♪」


 サリエルの身体にしがみつきながら運ばれ、アリスバレー・ダンジョンの底部に移動。転送後、無事街まで戻ってこれた私たちはそのまま寄り道せず我が家へと帰った。



「おかえりなさい――」



 地下の大広間では料理の用意や会場の飾りつけなど、思ったとおりシホルが中心になってパーティーの準備を進めてくれてた。



「――えー、というわけで本日は私たち姉妹を祝うためお集まりいただき誠にありがとうございます。では、堅苦しいあいさつもここまでとして、乾杯っ!!」

「「「乾杯っ!!」」」



 参加者は、まずは幼馴染みのユイを筆頭にぺティー、ソフィア、ジャスパーにヘンリー、ルシエラ、スカーレットとモグラ屋さんを支えるお馴染みのメンバーも集合。

 そしてさらに今回はガスケさん、ブライドンさん、ホワンホワンさんなどなど冒険者仲間にも集まってもらい、パーティーは予定どおり盛大にはじまった。


「誕生日おめでとうですわ。些細な物ですが、これはわたくしから」

「ん?」


 乾杯の音頭のあとスカーレットが綺麗に包装された大きな箱を持ってやってきた。何かと思ったけど、中身は私たちへのプレゼントらしい。


「わー、くまさんだー!」


 箱を開けるとかわいいクマのぬいぐるみがたくさん。抱え上げて大喜びするリリ。昨日の一件を考えると、すごいタイムリーなプレゼントだった。


「おねーちゃんおねーちゃん! このくまさんたちもおおきくなる!?」

「んー、それはどうだろうね……」


 巨大化して暴れるようなクマのぬいぐるみは絶対に遠慮したいところだ。

 てか、誕生日にプレゼントをもらえるなんてちょっと変な感じ。スカーレットみたいな大貴族の家では当たり前の風習らしいけど、庶民の家の子である私にとっては新鮮だった。


「ほらよ、これはオレからだ」


 スカーレットのあと入れ替わるようにパメラがやってきて、これまた大きな包み紙に入ったプレゼントを持ってきてくれた。

 厳密には貴族ではないらしいけどファンダイン家も由緒正しき家系。誕生日には決まって姉妹同士で贈り物をしてたそうだ。


「そんな気使わないでもよかったのに」

「いいんだよ。こういうのはプレゼントする側の楽しみもあるからな」


 包装紙を開けると、暖かそうな白毛のコートが入ってた。キングラクーンというモンスターの毛皮から作った最高級品らしい。

 試しに羽織ってみると、全身がフワフワに包まれてすごい気持ちよかった。


「はへー、ポカポカだぁ~」

「なかなか似合ってるぞ」

「えへへ、そう?」

「ああ。さっきまでのモンスターみたいな格好には及ばないけどな」

「えー……」


 そこは及んでほしいところだ。てか、私も別に好きであんな格好をしてたわけじゃないし。


「おめでとうございます」

「エミお姉ちゃんたちおめでとー!」

「おめでとう!」

「祝」

「今日はめでてーな、姫さん!」

「「「キー!!」」」

「ぴぐぅ~」


 そのあと大勢の人にお祝いされる中、たらふく食べて飲んで。誕生日パーティーはあっという間にすぎていった。

 みんなに祝福されて14歳の私から15歳の私へ。

 成人を迎えて大人になるまで残すこと、これであと1年。

 不思議だった。

 ちっちゃな頃は大人になる姿なんて想像すらできなかったのに。

 理想に近づくため、もっともっと成長したい。

 今では、そう強く望む私がいた。


 次話、今章の〆となります(なのでなるべく早く投稿したい……)。


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