幕間 ~次女の答え~
※シホル視点&短いです(だから投稿できたとも言える)。
「おねーちゃん、こないー」
「そっすね。ご主人様、戻ってこないっすねぇ……」
「……」
パメラさんがいなくなったことを知ったエミ姉は、その場で私たちにリリを預けると、向かう先も告げずに全力疾走でどこかにいってしまいました。
もうかれこれ40ミニットは経過したでしょうか。おそらく、あの銀髪の女の人に会いにいったんだと思いますが、一向にエミ姉がお店に戻ってくる気配はありません。
「もしかしたら、ご主人様はお1人でパメラ様を……」
お店の壁に背中を預けながら不安そうにピオラさんが呟きます。
たしかにこれだけ待っても戻ってこないということは、彼女のいうとおりなのかもしれません。
エミ姉はパメラさんの居場所を突き止め、すでに連れ戻しに向かった。そんな大事なことを誰にも相談せず決めてしまうのはいかにもエミ姉です。もちろん私たちに余計な心配をかけさせないためでもあるのでしょう。
それでも、妹としてはもう少し頼ってほしいと思います。
私たちだって同じ家族。
何か力になれることがあるかもしれません。
「今の私に、できること……」
考えをめぐらせてみます。
たとえば、あの銀髪の女の人からパメラさんの居場所を訊き出して、私も助けに向かうというのは?
「……」
いいえ、これはどう考えても無謀です。下手をすればまた昨日のように人質にされてしまう可能性すらあります。非力や無力どころの話ではなく、足手まとい。ゼロではなくマイナスです。
やはり、私はいつものように待つことしかできないのでしょう。
「うん。わかってた。考えるまでもないくらいに――」
それでも、ただ待つのではなく、信じて待つこと。
それが私にできる唯一で、最善で最大の対処。
答えはいつも同じです。
今回も変わりません。
「家に帰りましょう」
顔を上げてどうどう胸を張ると、私はみんなに呼びかけました。
「私たちが準備をしておかないと」
「え? 準備って、今日の誕生日パーティーのですか?」
「こんな時にっすか?」
「逆だよ。こんな時だからこそ予定どおりにするの」
「で、でも……」
「大丈夫。たとえどんなことがあっても、エミ姉は必ずパメラさんを連れて戻ってくるよ。だって、エミ姉はね――」
計画性がなくて、大事なことも全部勝手に決めちゃうし、悪いことをしてもこっちが怒るまでは絶対に謝らないし、その上、妹が大好きで歯止めがないとどこまでもどこまでも甘やかす。
本当にダメダメで、締まりのないお姉ちゃん。
でも、私は知ってる。
エミ姉が、やる時はやる姉だってことを。











